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すかいお~あ@毎日投稿&猫化?
けだま15号🍓🐾໊
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【ワトソンの回想】
外で、子供の声がする。
———
遠くから、聞こえてくる。
———
歌っている。
———
私は、窓のそばへ歩く。
広場に、子供たちが集まっていた。
輪になっている。
———
一人が、声を出す。
———
アヴォン・ナ・カイリン
娘の川
霧の夜には
近づくな
石は濡れて
足を取る
———
別の声が重なる。
———
一人は石に
つまずいて
二人は霧に
道を失い
三人は水に
消えていく
———
歌は止まらない。
間を置かず、続く。
———
アヴォン・ナ・カイリン
娘の川
落ちた娘は
名を失う
水は流れ
歌が残る
———
最後の節に入る。
———
四番の人は
川に帰る
川は名前を知っている
———
誰も、それを言い直さない。
ただ、そのまま歌う。
———
「奇妙な歌だ」
私は、思わず口にした。
———
「子供の遊びですよ」
背後から声がした。
振り返ると、神父が立っていた。
———
「昔からある歌です。意味など、誰も気にしていません」
そう言って、わずかに笑う。
だが、その視線は子供たちではなく、別の方を見ている。
「……そう言えば、羊飼いもこの歌を歌っていましたね、 ただ、歌詞が少し違っていたような気がしますが」
———
「そうか」
ホームズが短く答える。
———
しばらく、歌を聞いている。
———
「だが」
ホームズが言う。
———
「少し、違うな」
———
神父は何も答えない。
———
ただ、歌を聞いている。
———
遠くで、水の音がする。
———
重なっている。
———
途切れない。
———