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#普通
野々さくら
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ありあ
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「ふぅ~・・・これで安心」
銚子との電話を終えた信愛は、ほっとしたように安堵の息を漏らした。
その様子を見ていた茜が、何やら楽しそうに口元を緩める。
「ふふふ」
「な、何で笑ってんの?」
信愛が怪訝そうに見返すと、茜はニヤついたまま言った。
「なんか信愛って、お母さんと
会話してる時めっちゃ可愛いよね」
「は?何?それ」
思いがけない言葉に、信愛は戸惑ったように眉をひそめる。
「ね?朝陽くぅ〜ん?」
突然話を振られた朝陽は、目を丸くした。
「え?な、何で僕に振るんですか?」
そんなやり取りを横目に、焔垂が話を本題へと戻す。
「まあ、そんな事より、お母さんは
協力してくれるって事でいいんだよな?」
「うん!来てくれるって」
信愛は元気よく頷いたものの、ふと高館先生へ視線を向けた。
「でも私たち、高館先生を置き去りにして
話を進めちゃったけど、これで良かったですか?」
「ああ、もちろん。有栖のことを
調べてもらえるんなら、ありがたいからな」
宗太郎は穏やかに答える。
すると、さくらがぽんと手を叩いた。
「なら次は宗くんの番だね」
「お、俺?」
突然話を振られ、宗太郎は自分を指差す。
「そうだよ!さりげなくひよりさんに伝えなきゃ
有栖ちゃんを保育園に入園させないか?って」
「ああ・・・そうだよな」
「宗くんの腕の見せどころだね!」
「お、俺にできるかな?」
宗太郎は不安そうな表情を浮かべ、思わず胸元に手を当てた。
そんな彼を安心させるように、信愛が力強く言う。
「大丈夫ですよ!私たちもサポートしますし」
「そうですよ!」
朝陽もすぐさま続く。
「あはは・・・ありがとう」
宗太郎は額に滲んだ汗をハンカチで拭った。
妻に怪しまれず、自然に有栖の入園を勧めなければならない。
考えれば考えるほど、緊張が増していくのだろう。
そんな宗太郎をよそに、信愛は時計を確認するように顔を上げた。
「なら、ひよりさんが帰ってくるまで勉強しとこうか」
「えー?勉強すんのー?」
茜が露骨に嫌そうな声を上げる。
「何驚いてんの?今日はあくまでも『課外授業』
ってテイでここに来てるんだよ?
奥さんが帰ってきた時に私たちが
勉強せずに喋ってるだけだったら?」
その言葉に、さくらが納得したように頷いた。
「確かに疑われちゃうね」
「確かにその通りだな」
焔垂も同意する。
「チェ~・・・わかったよ」
渋々と受け入れる茜の隣で、朝陽が小さく首を傾げた。
「そんな嫌がらなくても」
「朝陽くんは嫌じゃない?」
「僕はむしろ有り難いですね
2年の数学が出来る訳ですし」
「あ、そうだった。朝陽くんはそう言うよね」
茜が呆れたように笑う。
その様子を見ていた宗太郎が、少し考えてから口を開いた。
「なら数学やるか」
「はい!お願いします」
信愛が元気よく返事をすると、皆もそれぞれノートや筆記用具を取り出し始めた。
こうして高館家のリビングでは、ひよりの帰宅を待つ間、宗太郎の指導による即席の勉強会が始まった。
◇ ◇ ◇
勉強会を始めてから、しばらく時間が経った頃だった。
「ただいま~♬」
玄関の方から、明るいひよりの声が響いてくる。
買い物を終えて帰宅したひよりは、そのまま元気よくリビングへと入ってきた。
「あ、おかえりなさい」
信愛が顔を上げて出迎える。
「お!?みんな勉強頑張ってるね」
テーブルを囲んでノートを広げる一同を見て、ひよりは感心したように目を輝かせた。
「どんな感じ?捗ってる?」
「高館先生、すごく分かりやすいんで捗ってます」
信愛がそう答えると、ひよりは嬉しそうに宗太郎へ目を向けた。
「へぇ~そうなんだ」
そして興味を引かれたのか、信愛のそばへ歩み寄る。
「どれどれ・・・どこやってんの?」
ひよりは信愛の肩越しから、そのノートを覗き込んだ。
「あぁ~!連立方程式か!」
懐かしそうな声を上げると、どこか遠い記憶を探るように首を傾げる。
「私すっかり忘れちゃったな〜」
その言葉を聞いた宗太郎は、ひよりが帰宅したことを機に勉強会を切り上げることにした。
「なら、ひよりも帰ってきたし
ここまでにしておこうか?」
「うわぁ~・・やっと休憩だぁ~・・
知恵熱で寝込んじゃうトコだった〜・・」
待ってましたと言わんばかりに、茜がぐったりと横たわる。
「こらこら茜」
信愛が呆れながらたしなめると、ひよりが楽しそうに笑った。
「ふふふ、ならすぐにご飯の支度するね」
「やったぁ~♬」
茜は先ほどまでの疲れが嘘だったかのように、嬉しそうな声を上げた。
コメント
1件
信愛がお母さんと電話してる時の「めっちゃ可愛い」って茜に言われるシーン、すごくほっこりしましたね。普段はしっかり者の信愛の、ちょっと照れくさそうな反応が自然で、思わず頬が緩みました。それにしても「課外授業」ってテイでちゃんと勉強してるのが笑える。茜が「知恵熱で寝込む」って嘆く姿も、リアルで好きです。今回も和やかな日常と、その裏にある有栖ちゃんの件への緊張がうまく混ざってて、読んでて温かい気持ちになりました!