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人の心って、決めたつもりでも、簡単に揺れる。
「期待しない」って決めたのに。
「何も思わない」って決めたのに。
目が合うだけで、
声を聞くだけで、
それだけで、全部揺らぐ。
琉叶は、自分に腹が立っていた。
――私は、弱い。
距離を取ろうとしても、心は勝手に近づく。
教室で笑っている洸を見ると、胸がぎゅっとなる。
苦しいのに、嫌じゃない。
その矛盾が、一番しんどかった。
昼休み。
友達と話しながら、笑いながら、ふと視線を向ける。
洸がいる。
無意識だった。
やめたいのに、目で追ってしまう。
――もうやめたい。
――苦しいだけじゃん。
――何も起きないじゃん。
心の中で、何度も言う。
でも、感情は理屈じゃ動かない。
放課後、帰り道。
夕焼けがやけにきれいだった。
空が赤くて、
雲がゆっくり流れていて、
その静けさが、逆に苦しかった。
琉叶は、立ち止まって空を見上げながら思った。
――この気持ち、どこに置けばいいんだろう。
持ち続けても苦しい。
逃げても苦しい。
どこにも、正解がない。
ただ一つ確かなのは、
好きなままでは、前に進めない。
それだけだった。