テラーノベル
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それから一同はハイエースと黒塗りのワンボックスカー、それぞれの車へと乗り込んだ。
先頭を走るのは、坪野の側近二人が運転する黒塗りのワンボックスカー。
その後部座席には銚子と坪野が腰を下ろしている。
その後ろを、龍河がハンドルを握るハイエースが追走していた。
車内には怪異探求倶楽部の面々が乗り込み、夕暮れの高速道路をひた走る。
目的地は、多摩雄、忍、美月が待つ犬吠埼病院。
約3時間近い道のりだった。
運転席から龍河がバックミラー越しに声を掛ける。
「今日は疲れただろ?まだ市内までは
だいぶかかるから寝てていいぞ」
信愛は慌てて首を振った。
「いえ、そんな悪いですよ」
そう言いかけたものの、言葉は途中で止まり、大きな欠伸が漏れる。
「馬場さんだけ──ふぁ〜・・・」
涙が滲むほどの大きな欠伸だった。
その様子に龍河は吹き出す。
「だ〜はっは、無理すんな無理すんな」
焔垂が助手席から振り返った。
「でも馬場さんは大丈夫なんですか?
ずっと運転しっぱなしですよね?」
龍河は軽く笑う。
「俺は気にすんな。編集長に鍛えられて
眠気コントロールできる様になったから」
その言葉に茜は苦笑した。
「うわぁ〜・・・やっば」
龍河は肩をすくめる。
「まぁ、ウチはそこそこブラックだからな(笑)
だから気になくて寝てていいぞ」
そして穏やかな口調で続けた。
「着いたら起こすからよ」
信愛は申し訳なさそうに頭を下げる。
「す、すいません・・・」
龍河はふと思い出したように口を開いた。
「まぁ、だからと言っちゃなんなんだけど
タバコ吸っていいかな?ずっと我慢しててさ」
信愛は優しく微笑んだ。
「あ、気にしないでください。吸ってください」
すると茜が口を尖らせる。
「え〜・・副流煙が〜・・」
焔垂は呆れたように言った。
「別にいいだろ。運転してもらってんだから」
龍河は慌てて手を振る。
「電子!電子!電子!
電子タバコにするから!な?」
さくらも頷く。
「気にせずに吸ってください」
「サンキュ〜♬」
龍河は満面の笑みを浮かべ、センターコンソールから電子タバコを取り出した。
ゆっくりと一口吸い込み、満足そうに息を吐く。
白い蒸気が車内へとふわりと広がった。
「ぶぅわ〜・・・」
龍河は満面の笑みで口から漂った煙を吐き出した。
「かぁ〜♬ガソリン入ったわ〜♬生き返るぅ〜♬」
朝陽が興味深そうに尋ねる。
「美味しいんですか?タバコって?」
龍河は笑いながら首を振る。
「美味いって言うか・・・キマる♬」
その言葉に茜が吹き出した。
「きゃはは、やっばっ(笑)」
朝陽は少し不安そうな顔になる。
「え?それ吸ってるの本当にタバコですか?」
龍河は思わず笑った。
「薬物じゃねーわ(笑)まぁ、あれだ
喫煙者にとってタバコは──」
何か言い掛けたその時だった。
助手席から、小さな寝息が聞こえてくる。
「すぅー・・すぅー・・」
信愛は身体を窓にもたれさせたまま、静かな寝息を立てて眠っていた。
龍河はその姿を見つめ、小さく微笑む。
「ふっ、疲れてたんだな」
そしてバックミラー越しに後部座席を確認し、焔垂たちに優しく語りかける。
「みんなもゆっくりしてろ」
焔垂が小さく頭を下げる。
「ありがとうございます」
◇ ◇ ◇
どれほど時間が経っただろうか。
「う、うー・・・ん」
信愛はゆっくりと瞼を開けた。
ぼんやりした意識のまま辺りを見回す。
龍河信愛が目を覚ましたことを横目で確認すると、優しく声をかけた。
「お、起きたか?」
「あ、馬場さん・・・」
信愛はまだ眠たそうな目を擦る。
(今何時だろ?)
そう思い、ダッシュボードのデジタル時計へ視線を向けた。
表示された時刻は、すでに22時35分を過ぎていた。
思わず目を丸くする。
「もう、こんな時間!?
すいません。こんな時間まで寝て」
龍河は優しく笑った。
「ゆっくり眠れたか?」
信愛は照れ臭そうに笑う。
「あ、は、はい・・ぐっすり・・あはは」
「あはは、そりゃよかった」
龍河は前方を見据えたまま続ける。
「もうすぐ病院に着くからな」
信愛は首を傾げた。
「病院?」
窓の外へ目を向ける。
そこには見慣れた狗頸市内の夜景が広がっていた。
「あの・・病院って?」
龍河は穏やかに答える。
「犬吠埼病院だよ、そこに向かってんだ
君のお父さん、多摩雄さんも居るからな」
龍河は前を見据えたまま静かに口を開いた。
「編集長の話だと警察も待機してるって話だよ」
信愛は小さく頷く。
「ああ、なるほど・・・」
焔垂もどこか緊張した面持ちで窓の外を見つめた。
「う、うー・・・ん」
信愛が目を覚ましたのをきっかけに、焔垂たちも次々と眠りから覚めていく。
龍河はハンドルを握りながら微笑んだ。
「もうすぐ着くからな」
茜が窓の外を覗き込む。
「あ、近所じゃん」
朝陽は心配そうに龍河を見た。
「馬場さん?眠気とか大丈夫ですか?」
龍河は笑って答える。
「大丈夫大丈夫。家帰って死ぬほど
12時間くらいぐぅ〜すり寝るから」
その言葉に信愛はようやく目的地を理解したように声を漏らした。
「あ、犬吠埼病院」
やがてハイエースは病院の敷地へと入っていく。
正面玄関には数台のパトカーが停車し、赤色灯の光が夜の病院を静かに照らしていた。
信愛は驚いたように目を見開く。
「パトカーがあんなに!?」
龍河は落ち着いた口調で答える。
「坪野を逮捕しに来た警察だよ」
「なるほど・・・」
「さあ、降りようか」
龍河の合図で全員が車を降りる。
「うー・・・ん」
茜は長時間座り続けて固まった身体をほぐすように、大きく背伸びをした。
「やっと着いたぁ〜・・・」
ハイエースとワンボックスカーがパトカーの後ろへ停車すると、数名の警察官と一人の刑事が歩み寄ってきた。
「馬場!」
「あ、ご苦労さまです」
龍河が軽く頭を下げると、刑事は呆れたようにため息をついた。
「ったく!こうなる前に警察に通報しろ!バカ!」
刑事は龍河の頭を軽く叩く。
「すいません・・・」
「高校生まで巻き込んで何考えてんだよ!」
龍河は苦笑するしかなかった。
「まぁ、そう言われたら返す言葉も無いっスね」
刑事は肩をすくめる。
「まぁ、とりあえず今は良い」
そう言うと黒塗りのワンボックスカーへ視線を向けた。
「ヤツが坪野か?」
「はい・・・」
「わかった・・・」
刑事は短くそう言うと、ゆっくりとワンボックスカーへ近づいていく。
ドアが開き、坪野が静かに姿を現した。
刑事はまっすぐ坪野を見据える。
「天縁教団教祖・・坪野康仙ですね?」
「ええ・・・坪野です」
「監禁、略取誘拐、複数の殺人容疑で
あなたへの逮捕状が出ています
署までご同行願えますか?」
坪野は抵抗する様子もなく、小さく頭を下げた。
「分かりました・・・」
刑事は続けて側近二人へ視線を向ける。
「あなた方教団関係者で間違いありませんね?」
男は2人は揃って頷いた。
「はい・・・間違いありません」
「わかった・・なら我々と一緒に
署まで来てもいます、よろしいですね?」
「はい・・・」
坪野と側近2人は警察官に促され、そのままパトカーへ乗り込んでいく。
刑事は今度は龍河たちへ向き直った。
「それから馬場、あと白縫銚子さんと高校生の君ら」
銚子が一歩前へ出る。
「はい・・・」
「後日署まで来ていただけますか?
詳しい事情をお聞きしたいので」
銚子は少し驚いたように尋ねる。
「今からじゃなくて大丈夫なんですか?」
刑事は穏やかな表情で首を横に振った。
「あなた方は帰ってきたばかりです
お疲れでしょう?ですから今日は
一旦お帰りになられて結構です」
銚子は深く頭を下げた。
「分かりました・・・
お気遣い頂きありがとうございます
後日、必ず伺わせていただきます」
刑事は満足そうに頷いた。
「では我々は署に戻りますので
これで失礼致します」
そう言って一礼すると、刑事はパトカーへ乗り込む。
静かにエンジン音が響き、数台のパトカーは病院を後にした。
コメント
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×××さん、第304話読み終わったよ〜!🚗💨 龍河さんが電子タバコ吸って「ガソリン入ったわ〜♬生き返るぅ〜♬」って言うシーン、思わずニヤけちゃった😂 眠気コントロールできるってブラック企業すぎるけど(笑)信愛ちゃんがぐっすり寝ちゃうのも可愛かったな〜😭💕 そして病院ついて坪野が逮捕される流れ、ここまで32話からずっと読んできた身としては感慨深い……! 刑事さんに「バカ!」って叩かれる龍河さんもお約束でワロタw ×××さん、本当にお疲れさまです!!✨
#ボカロ
ありあ
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ありあ
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