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#普通
野々さくら
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ありあ
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信愛は、夜の病院をあとにしていくパトカーを見送りながら、小さく息をついた。
「無事に逮捕されましたね」
その横顔には、ようやく張り詰めていた緊張が解けたような安堵の色が浮かんでいる。
龍河も静かに頷いた。
「ああ、だな。ならとりあえず
中に入ろう。みんなが待ってるはずだ」
銚子も穏やかに微笑む。
「そうですね・・・」
一同は、多摩雄と忍、そして美月やそれぞれの保護者たちが待つ病院のロビーへと足を進めた。
◇ ◇ ◇
自動ドアが開き、一同が犬吠埼病院のロビーへ足を踏み入れた瞬間だった。
「銚子!信愛!」
頭に包帯を巻いた多摩雄が、こちらへ駆け足でやって来る。
「お父さん・・・」
「あなた・・・」
銚子と信愛の姿を見た多摩雄は、目を潤ませながら安堵の笑みを浮かべた。
「よかった・・・無事で本当によかった」
次の瞬間、多摩雄は二人を強く抱きしめる。
銚子はそっと夫の包帯へ目を向けた。
「あなた・・頭は?」
多摩雄は照れくさそうに笑う。
「なぁに、数針縫った程度の軽いもんさ
こんなのかすり傷。痛くも痒くもない」
その言葉に鈴子の瞳から涙がこぼれた。
「ごめんなさいね・・あなた
私のせいで・・・こんな」
震える手が、多摩雄の頭へ優しく添えられる。
多摩雄はその手を包み込むように握り、静かに首を横へ振った。
「家族の命に比べれば
こんなのどうって事ない
名誉ある傷だよ、わはは
みんなが無事で本当によかった」
そう言うと、多摩雄は龍河へ向き直る。
「馬場さんもありがとうございます
皆が無事に帰って来れたのは
馬場さんのおかげです
本当にありがとうございました」
そう言って、深々と頭を下げた。
龍河は少し困ったように笑う。
「いえ、俺は約束を果たしたに過ぎません」
その様子を見ていた忍が近寄り、龍河の肩を軽くぽんぽんと叩いた。
「よくやった馬場」
美月も胸を撫で下ろしながら微笑む。
「みんな無事で何よりよ。 よかった・・・」
そう言って、ハンカチで静かに涙を拭った。
茜は苦笑しながら肩をすくめる。
「もう、心配し過ぎ」
美月は笑みを浮かべて答えた。
「そりゃ心配するわよ」
やがて銚子は、多摩雄たちの後ろにいた保護者一人ひとりの前へ歩み出ると、深々と頭を下げた。
「この度は大切なお子さんを
私個人の事に巻き込んでしまい
申し訳ありませんでした」
浦添絹は優しく首を横へ振る。
「いいんですよ、白縫さん」
花牟礼秋穂も穏やかに微笑んだ。
「事情は旦那さんに全て聞きましたから」
八乙女鳴子は感心したように銚子を見つめる。
「でもまさか白縫さんがあの御船愛子
だったなんて正直驚きましたよ」
焔垂は思わず母へ尋ねた。
「母さん・・・御船愛子を知ってたのか?」
鳴子は懐かしそうに目を細める。
「未解決事件調査隊は大学生の頃
よく見てた番組だったからね」
菅生小夜は目を輝かせる。
「ほんと、有名人に会った気分ですよ」
すると小夜は悪戯っぽく笑った。
「サイン貰っちゃおうかな♬」
「あ♬それナイスアイディア♬」
茜は小夜を感心するように親指を突き出す。
朝陽はそんな茜と小夜を見比べながら、素直な感想を口にした。
「なんか茜先輩とお母さんって似てますね」
茜は思わず吹き出す。
「それって、もしかしてディスってる?」
朝陽は慌てて両手を振った。
「ま、まさか!と、とんでもない!」
焔垂が笑いながら言葉を続ける。
「蛙の子は蛙ってのはまさにこの事だな」
信愛も照れ笑いを浮かべた。
「まぁ親子だからね(笑)」
すると絹が銚子へ優しく語りかける。
「お一人で随分辛い思いをされていたんですね
その気持ち、凄くわかりますから
どうか頭を上げてください・・・」
銚子はゆっくりと顔を上げ、小さく微笑んだ。
「ありがとうございます」
その空気を見届けた龍河は、静かに口を開く。
「まぁ、何事もなく無事に終わりましたし
今日のところは帰らせてもらいますよ」
多摩雄はもう一度深く頭を下げた。
「馬場さん、本当にありがとうございました
感謝の言葉をどれだけ並べても足りないくらいです
今度お礼に伺わせていただきます」
龍河は照れくさそうに頭をかきながら笑う。
「いえ、乗りかかった船って言葉も
ありますし、 気にしないでくださいよ」
そのやり取りを見ていた茜が、呆れたように笑った。
「馬場さんもそろそろ寝なきゃ死んじゃうよ」
焔垂も苦笑しながら頷く。
「確かにそりゃそうだな」
さくらは龍河の顔をじっと見つめた。
「明らかに憔悴しきってるって顔してるしね」
すると忍が豪快に笑いながら口を開く。
「なぁに、馬場はまだまだ大丈夫だろ?
なぁ?まだやれるだろ?あと二徹くらいな?」
龍河は眉をひそめると、思わず笑いながら突っ込んだ。
「おいコラおやじ、このやろー(笑)
労基駆け込んでやろーか!人生終わらすぞ?」
その言葉に忍は腹を抱えて笑う。
「わははは、冗談だ冗談、今日はしっかり休め
明日も公休扱いにしといてやるから」
龍河はガッツポーズを作るように拳を握った。
「っしぁ~・・明日は一日中寝るぞ〜・・」
忍は満足そうに頷く。
「なら帰りはオレが運転してやる」
龍河は心底ほっとしたように息をついた。
「はぁ~・・・助かりまぁ〜・・す」
緊張の糸が切れたように全身の力を抜いた龍河は、忍と並んで病院の出口へ向かう。
仲間たちに見送られながら、疲れ果てた様子の龍河は忍と共に病院を後にした。
コメント
1件
×××さん、305話読了です…! 無事に事件が解決して、本当に良かった…。多摩雄さんが家族を抱きしめるシーンで、私も目が潤んじゃいました。龍河さんの「明日は一日中寝るぞ〜」の一言に、長かった戦いの終わりを感じて、じんわり温かい気持ちになりました。みんなの無事が何よりですね。お疲れ様でした、×××さん🌙