テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
目黒side
スマホを確認したのは、仕事から帰って、風呂に入ってからだった。そこには、 1件の通知。
ラウールからだ。
︎🤍『会いたい』
たった一言。
でも、その言葉の向こう側にある気持ちは、すぐに伝わってきた。
何通かやりとりはしていた。
けどラウールから”会いたい”って言葉を送ってくるのは、珍しい。
俺はソファに腰を下ろして、メッセージをじっと見つめた。
指は何度も通話ボタンを押そうとするけど、押さなかった。
🖤 (こっちは今深夜だけど、あっちはまだ昼間の撮影中かもしれない)
ラウールは自分で選んで今の場所にいる。
自分で決めて、自分で立って、ちゃんと責任をもって、そこにいる。
俺は、その強さも知ってるからこそ、甘やかしたい気持ちを、ほんの少しだけ飲み込んだ。
そして返事を打つ。
『俺も会いたいよ』
『あとちょっと、頑張れ。帰ってきたら迎えにいくよ』
短いけど、ちゃんと届くように。
🖤「大丈夫、ラウールは強い子だし」
でもその強い子が、俺だけには甘えてくれるのが嬉しいと思った。
翌朝、いつもより少し早くスタジオに入ると、先に阿部ちゃんがいた。
コーヒー片手にスマホを見ていて、こっちに気づくと、ふわっと笑った。
💚「おはよ、めめ。今日早いね」
🖤「うん。なんかいつもより早く目ぇ覚めちゃって」
腰を下ろすと、阿部ちゃんがスマホを置いてさらっと言った。
💚「昨日、時間あってラウールと電話したよ。誕生日だったし、声だけでも聞きたくて 」
🖤「そうなんだ。どうだった、元気そう?」
💚「うん、元気だったよ。でもやっぱちょっと寂しそうだったかな」
🖤「そっか…」
俺は無意識に、スマホを触れた。
ラウールからの「会いたい」が何度も頭によぎる。
💚「もうすぐ帰ってこれるみたい」
🖤「うん。空港まで、迎えに行くよ」
そう言って、コーヒーを一口飲んだ。
ラウールが頑張っているのも、寂しさを隠してるのも、わかってる。
だからこそ、帰ってきた時は、余計な言葉なんかいらないくらいに、抱きしめてやりたいな。
コメント
5件
最近忙しいのと、テスト期間になってしまって、更新するのも、大好きな作者さんの作品も読めてない😭ごめんなさい🙏