テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ダンジョン
リーさん
368
蒼依ジン
304
#婚約破棄
霞花怜
551
#バイオハザード
SOMAMON7A
377
シューシュー…
機械が結界を維持している。
「……….」
孝典は地下室のベッドに横たわっていた。
―――翌日
ヴァールたち五人は、孝典が眠っている地下室前にある長椅子に座っていた。
マートンがヴァールの方を向く。
「エルミドから聞いた話じゃ、目を覚ますのは今日か明日だったよな?」
「うん、タカノリさんには本当に酷な体験をさせてしまった…」
「目が覚めたら皆でタカノリに謝ろーぜ」
トロイがヴァールの肩に手を置いた。
「あぁ…」
――― その頃、地下治療室では
「(…….どこだ…ここ….)」
孝典の視界はぼやけていた。
「目ぇ覚めたか?」
隣にはエルミドが座っていた。
「俺は…天国に来たんだな」
その言葉を聞いてエルミドが腹を抱える。
「くっくっくっ、すまん、悪ぃが引き戻しちまった」
横から聞こえる声に、孝典は不思議に思い、横に首を向けた。
そこには眼鏡姿の男がぼんやりと写っている。
「誰だ…あんた」
「お前の脚を掴んでやった回復魔法師だ」
「回復…魔法師ってことは、俺…助かったのか…?」
「あぁ、待ってろ外の奴ら呼んできてやる」
「待ってくれ、会わせる顔がない…..」
エルミドは目を閉じ、ため息を吐いた。
「わーった。目覚めてないことにしてやっから、もう少し気失っとけ」
「….ありがとう」
ガチャン…
「みんな…..」
孝典は自分の愚かな選択を悔いていた。
―――地下室前の廊下
ガチャ…
エルミドが部屋から出てきた。
すかさずヴァールが立ち上がり尋ねる。
「タカノリさんは?」
「まぁまぁ慌てなさんな。あともう少しかかりそうだ」
「そうですか…」
「だからまた明日来な」
五人は治療院を後にし食堂へ向かった。
終始無言のまま食堂に着き席に座ったが、それぞれの表情は重かった。
「やっぱり俺の…」
「やっぱわたしの…」
ミリアとマートンの言葉が被った。
「はぁ、やめだやめだ。あの場面で誰が悪いとかは無かった。それぞれが最善の動きをしてたはずだろ?」
「あぁ、…その通りだね」
「私もトロイさんの言う通りだと思います。自分を責めすぎるのはよしましょう」
「…だが僕には、F級であるタカノリさんを自分の判断で連れてきてしまったという、リーダーとしての未熟さや責任がある」
再び場が静まる。
五人は食事を終え、宿に向かい身体を休めた。
――――翌朝
「あれ、ミリアは?」
四人は治療院へ向かう準備を終えエントランスに来たが、ミリアが見当たらないためトロイがメレナに尋ねる。
「見てくるわね」
そういうとミリアの部屋に向かっていった。
コンコンッ…
ノックをしたが返事をする気配がないので、心配になりドアを開ける。
「…ミリア入るわよ」
メレナが不安な表情でドアを開けると、そこには机で寝ているミリアがいた。
「まったく、この子ったら」
「…あれ..メレナ..?」
ミリアが目を擦りながらぼんやりとメレナを見る。
「もう朝よ、顔洗ってらっしゃい」
「うん…」
ミリアは机の上にあった物をポケットに入れ、準備を始める。
それを見てメレナは不思議そうな顔をしていた。
「おっまたせー!」
「待ちくたびれたぞぉ〜」
「よし、みんな揃った事だし行こう」
ミリアが集合し、五人は再び治療院へ向かった。
建物の中に入り地下室へと降りていく。
「おはようさん、朝早くからえらいねぇ」
「おはようございます。タカノリさんの状態は?」
「入って見てきな」
エルミドがふっと笑いながら答えた。
「それじゃあ…」
五人は急ぎ足で孝典の居る部屋に入る。
ガチャ…
そこには上半身を起こして座っている孝典がいた。
「タカ…ノリさん…..」
「みんなおはようございま….」
「タカノリっ、すまねぇ俺が迂闊なせいでこんな事態を招いちまった」
「ワタシも気を抜いてごめん!」
孝典は自分だけが後悔していると思っていた為、謝罪を受けるなど考えてもいなかった。
「ふ…二人とも頭を上げて、悪いのは俺なんだ。俺は…逃げろって言うヴァールさんの言葉を無視して戻ってきたんだ。俺がちゃんと逃げていれば皆の足を引っ張ることもなかった」
その言葉を聞き、ヴァールが口を開く。
「いいえ、あの場面でタカノリさんがいなければ僕たちはミストウォーカーを追い詰められなかった。タカノリさんは僕たちを救った恩人です」
「ヴァールさん…」
「まださっき目覚めたばかりなんだ、その辺にしといてやりな」
壁にエルミドがもたれている。
「すみません病み上がりにこんな話を….」
「いえ、皆の助けに少しでもなれたなら良かったです」
「よしっ、治ったんならさっさと出てっておくれ〜」
エルミドとヴァールたち五人は部屋を出て、孝典は普段着に着替えた。
ガチャ…
「お待たせしました」
孝典のいつも通りの表情に、五人は微笑んだ。
そして治療院の外へ出る。
「リピーターになんじゃねぇぞ~」
「ハハハ…」
孝典はエルミドに向かい深くお辞儀をした。
「ありがとうございました!」
「あぁ、今日からまた頑張んな」
エルミドは白衣のポケットから煙草を取り出し、孝典達の背を見ながら一服する。
「フゥー….今日も頑張りますかっ」
孝典たちは治療院を出て、まずは腹ごしらえをしに食堂へ行くことにした。
「何食べようかな~、昨日魚だったし、今日は肉にするか」
「いいね、俺も肉にしようかな」
孝典とトロイが話している中、ミリアが立ち止まった。
しばらく歩いた後、一同がミリアに気が付いた。
「ミリア…?」
「あ…あのさっ、これ」
ミリアがポケットからペンダントを取り出し、孝典に差し出した。
「…どうしたのこれ?」
孝典が尋ねるとミリアは顔を赤くした。
「…商店街で売ってたから買ったの…!」
メレナはなにか見覚えがあると思い、考えていた。
「あっ、それ今朝のやつ。もしかして徹夜して作ってたの?」
「….まっ…」
ミリアは照れて下を向いてしまった。
急いでペンダントを孝典に渡し、メレナの後ろに隠れた。
「……防御魔法と回復魔法を組み込んだから大事にしなさいよ」
「ありがとな、ミリア」
孝典たちは食堂で食事を終えるとギルドに向かった。
ギルド職員が孝典たちに気付くと、奥の部屋へと案内された。
部屋の中にはバドルが立っている。
「話は聞いた、ミリアを救ってくれて感謝するタカノリ」
バドルは頭を下げ、孝典は一日にこんなに頭を下げられ困惑した。
「や…やめてくださいよ、僕はやるべき事をやったまでです」
バドルがヴァールを一度見る。
「孝典、実はな……」
バドルはローザから監視を頼まれた事、孝典を試験と偽り試したことを話した。
「本当にすまなかった…!」
「僕も黙っていて申し訳ありませんでした!」
二人が頭を下げる。
「いやいやっ、ローザの立場からしてみれば疑うのは当たり前ですし、誰も悪くはありません」
「ありがとう、タカノリ。師匠には昨日手紙を出しておいた。もう届いてるはずだ」
「そうですか、ありがとうございます」
ヴァール達は顔を見合わせ、孝典に提案をする。
「あの、タカノリさんがもし宜しければ僕達のパーティーに正式に加入しませんか?」
唐突な誘いに孝典の頭は真っ白になった。
「えーっと、俺F級ですよ?」
「構いません、メンバーとはもう話しました」
孝典は考えた末に答える。
「申し訳ありません。お誘いはものすごい嬉しいんですけど、俺にはまだ力が足りな過ぎる。それに色んな場所を旅して見てみたいんです」
その答えを聞いてトロイとマートンは笑った。
「ハッハッハっ、まさかS級パーティーの招待を断るとはな」
「まぁ、それがタカノリらしいな」
ヴァールが孝典に手を差し出した。
「わかりました。でも気が変わった時は連絡してください。タカノリさんならいつでも歓迎します」
「ありがとうございます」
二人は握手を交わした。
一同はギルド前で別れの挨拶をしている。
「元気でやれよタカノリ!」
「あぁ」
「怪我をした時は放置したらダメですよ?」
「気をつけます」
「達者でなタカノリ」
「お前もなマートン」
「….ペンダントなくしたら殴るから」
「….ハハハ」
「タカノリさん、なにかあればいつでも駆けつけます。短い間でしたがありがとうございました」
「俺の方こそ本当にありがとうございました!」
孝典とヴァールたちは、それぞれ反対方向に進み始めた。
――――― 翌朝
日の出前、王国を霧が包んでいた。
コツッ、コツッ…
階段を上がる黒コートにハットを被った男がいた。
階段を上がった先には、怯えながら男を見ている少年がいる。
「くっ、くるな!」
男は構わず歩みを進める。
少年の前に立つと冷たい視線で見下ろす。
「……..」
次の瞬間―――
霧と共に男と少年は消えていた…
(つづく)
《ステータス》
・三田 孝典 (みた たかのり)
・レベル3
・F級冒険者
・【固有職業:きのこマスター】
・【良質級:霧吹き】
【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】
・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】
【会話:レベル2】【ガチャシステム】
==================================
最後まで読んで頂きありがとうございました!
応援、コメント頂けると励みになります!
〝孝典は復活し、ヴァールたちに別れを告げた。そして謎の黒コートの人物は一体誰なのか!?〟
次回お楽しみに!
(*・ω・)*_ _)ペコリ
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第13話、読み終わりました……。 孝典が目覚めて、自分を責めるシーン、すごく胸にきた。 「悪いのは俺なんだ」って言いながら、みんなも同じように自分を責めてて、そのすれ違いが切なかった。 でも、ちゃんと謝り合って、分かり合えるところが、この作品の優しさだなって思う。 S級パーティーの誘いを断った孝典の選択も、すごく孝典らしくて好き。 「力が足りない」って自分の弱さを受け止めた上で、旅に出るっていう決断。 そして、最後の黒コートの男……なんだろう、あの存在感。 霧と共に消えるシーン、絵になるなって思いました。 次回も気になります。続き、楽しみにしてますね🌙