テラーノベル
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「音羽さん、感謝する。一応彼氏にも許可を取るとするか。怜、いいよな?」
「ああ、もちろん。ってか、俺も奏と一緒にお前の自宅に行ってもいいか? お前ん家の立派だろう防音室でサックス吹いてもいいんだったら、奏をお前の自宅に行かせてやってもいいぞ?」
「…………好きにしろ」
怜はニヤリと笑いながら許可を出すと、侑は緩く癖の掛かった前髪を掻き上げながら『…………どれだけ恋人に過保護で溺愛しているんだ』と、呆れながらため息を吐く。
(この二人はワンセットか。親友カップルなら、まぁ……いいだろう)
侑と瑠衣はそれぞれ怜から楽器を受け取り、四人はリビングへ戻っていった。
「ねぇ瑠衣ちゃん、早速曲決めようよ。って、いきなり馴れ馴れしく話しちゃってごめんなさい。嫌だったら言ってくれて構わないので……」
突然砕けた話し方になった奏に、瑠衣はドキっとするものの、不快な感じは全然せず、寧ろ嬉しく思っていた。
こういうサバサバした雰囲気の同性は、今まで会った事がない。
「いえ、音羽さん、とても気さくに話してくれるので嬉しいです」
「なら、同学年なんだし、敬語やめて普通に話してくれたら嬉しいなぁ。私の事も奏って呼んでくれた方がいいし」
「う……うん」
瑠衣が覚束ない様子で返事をした後、二人は早速スマホの動画サイトを開き、トランペットのソロ楽曲を検索している。
そんな女性二人の様子を見ながら、雑談する侑と怜。
「しかし、お前の恋人は高校時代に吹奏楽部強豪校でトランペットも吹きつつ、ピアノ講師をやってるって事は音大のピアノ科に進んだんだろ? 吹奏楽部の練習と音大受験の練習、相当大変だったのではないかと思うのだが……」
「彼女が吹部に入ったのは、クラッシック以外の音楽ジャンルをもっと知るためだと聞いてる。ちなみに、俺と奏は学部は違うが、大学の先輩後輩なんだ」
「共通点が多いんだな。仲がいいワケだ。って事は……」
「彼女も音大は響美学園だよ。俺は大学出た後は、リペアの専門学校に進んだけどな」
まだ残るコーヒーを口にしながら男性陣が雑談をしていると、瑠衣と奏が唐突に声を上げた。
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