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コメント
2件
ジンさん…松米さんの気持ちを考えると心苦しいよね🥹桜ちゃんのこと本当に愛してるし、真実を打ち明けてもきっと受け入れてくれそうな気がするな…
ジンさん…😭 あなた真人間だもの🥹 アッパに恥じない息子でいたいよね😌思いを貫いて✊️ そして今はもう愛してやまない桜ちゃんにあらためて求婚して欲しいな✨️😌
「う~ん!そんなこと言わんと黙って受け取ってくれ!ジンさん」
松吉が言った
「祖父は孫への贈り物が大好きなもんじゃ!」
米吉も笑顔で言った
「これをアンタが持っていてくれたら、死んだ後も一緒にいられる気がする」
ギュッと時計ごと米吉のしわくちゃの両手に包み込まれた、温かくて骨ばった、小さなしかし紛れもなく力強い手から、この人達の温もりが伝わる、思わずジンは胸が苦しくなった
「どうか受け取っておくれ!」
ジンはしかたがなく時計を受け取った、すると松吉と米吉がガシッとジンを抱きしめた、二人の腕はとても力強く、老いた体のどこにこれほどの力があるのかと思うほど、その腕はジンをしっかりと包んでいた
「末永く仲よくしようぞ・・・息子よ・・・」
.。. .。 .:・.。. .。.:・
ジンは自分の胃が急降下した気がした、胸が苦しい・・・空気が冷えた気がした、さまざまなイメージや感情や記憶が一度に蘇り、ジンの中でひしめき合った
ほんの少しでも気を緩めれば、ガクッと膝から崩れ落ちてしまいそうだった
思い出した、家族というものを・・・18歳の頃からずっと独りで生きてきた、朝食を作ってくれる人はいなかった、帰りを待っていてくれる人も・・・休暇を一緒に過ごしてくれる人達も、ただひたすら前だけを向いて、父の夢という一本の細い糸を頼りに、この国で踏ん張ってきた
その孤独を当たり前のことだと思っていた、なのに今・・・自分の周りには義父がいて、義祖父がいて、桜がいて、その先には桜の溢れるほどの身内がいる
これほど温かい人達に自分は嘘をついている
―息子よ・・・正しい事をしろ―
.:・.。. .。.:・
父さん
.:・.。. .。.:・
桜は家族に愛されている、これ以上みんなを騙せない、もし自分がしていることがこの優しい人達にバレたら?
永住ビザが欲しいだけの偽装婚がバレたら・・・途端に刑務所に入っている桜の姿を思い浮かべた
自己保身の塊の自分の浅はかな企みがバレて、娘が犯罪者になったと知ったら・・・この優しい義父はどれほど心を痛めるだろう、米吉おじいさんにおいては心臓発作で倒れてしまうかもしれない
150年の山田家の歴史の証の時計を、見ず知らずの詐欺師に握らせたと知ったら——
ジンの口がカラカラに干上がった、松吉の腕の温もりが、まだ背中に残っていた
グスッ
「おっと・・・年を取ると涙もろくていかん!」
「さぁ!明日は朝一で式のはじまりじゃ!みんなが待ってるぞ!」
「今夜は別々だがゆっくり寝てくれな!ジンさん!」
松吉と米吉は満面の笑顔で去って行った
当然ながらジンはその夜は一睡も出来なかった