テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
8話 くだらない依頼
開けた場所
地面は平ら
遮るものはない
中央に
勇者が立っている
背は高く
肩は広い
鎧はよく整い
剣は一本
腰に下げている
顔は
どこかで見た
あの顔だ
少し離れて
ふっくらが立つ
丸い体
短い腕
手のひらは小さい
両手には
投げるための
剣がある
自分のものではない
さらに後ろで
琶が見ている
巨大な体
重なった鱗
畳まれた翼
尾は地面に伸び
動かない
合図はない
ふっくらが
剣を投げる
空を切る音
剣は
弧を描き
戻ってくる
勇者の周りを
一周する
触れない
当たらない
ふっくらは
もう一本
投げる
また
戻ってくる
空に
線が残る
線は
重なり
形になる
星
歪んだ
角の多い
意味のない星
勇者は
動かない
見上げても
いない
琶は
腕を組み
何も言わない
評価もしない
最後の一本が
戻ってくる
音が止まる
依頼は
完了
理由は
説明されない
意味も
求められない
ふっくらは
剣を地面に置く
少し息が
上がっている
勇者は
うなずき
去っていく
背中は
最初と
変わらない
空に描かれた星は
すぐに
消える
何も
残らない
それで
終わる