テラーノベル
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アルドの目が鋭くなる。
「……どういうつもりだ」
低い声。
夜風が二人の間を抜ける。
アルドはセレスティアを睨んだ。
「お前には、城の警備を任せてたはずだ」
「勝手に出歩くな」
セレスティアは翼を揺らしながら、呆れたように肩をすくめる。
「そう怒らないでよ」
苦笑。
「こっちはこっちで、色々あったのよ」
アルドの眉が寄る。
セレスティアは、やれやれと息を吐いた。
「あなたが城を出て、十分もしない頃だったかしらね」
――
デブル城。
静まり返った玉座の間。
外では黒い霧が城を覆っている。
アルドが去った後。
セレスティアは巨大な結界を展開していた。
淡い金色の光。
複雑な術式。
城全体を包む、超高位防御結界。
「これで最後、と」
指先を鳴らす。
結界が完全に閉じる。
セレスティアは満足そうに頷いた。
「さてと……」
玉座へ腰掛ける。
脚を組む。
「暇だし、魔王の様子でも見に行こうかしら」
その時。
ピシッ――
空気が揺れた。
セレスティアの目が細まる。
「……侵入者?」
ありえない。
この結界は神格級。
普通の人間どころか、上級魔族でも突破は不可能。
だが。
確かに反応がある。
城門前。
黒衣の男。
長い紫髪。
片目を隠す前髪。
ロビンフットだった。
彼は結界を見上げながら、小さく笑う。
「おかしいなぁ」
軽い声。
「“魔王城”って噂を聞いて見に来ただけなんだけど」
指先で結界へ触れる。
「……珍しい結界だな」
そして。
ロビンフットは静かに詠唱を始めた。
「◼︎◼︎▧▧_□□□◻︎(天の母、我は光の者)」
地面に魔法陣が広がる
「〇¶††□◻︎◻︎(大地は神、その輝き我)」
結界が反応する。
「■■■口口″″!!(分かり見た前、天の者)」
次の瞬間。
ピキィ――
結界に一本の線が走った。
まるで。
“扉”が開くように。
いや。
何かを“迎え入れる”ように。
セレスティアの表情が険しくなる。
結界が、開いた。
神格級術式を。
理解して。
“正しい手順で”。
ロビンフットは当然のように中へ入る。
そして。
光が弾ける。
突如、ロビンの目の前に光の柱が現る。
翼を広げゆっくりとその姿を現す。
ロビンの目の前へ現れた。
翼を広げる。
金色の瞳が細まる。
「まさか」
静かな声。
「この結界術の破り方を知ってるなんて」
一歩。
「あなた、何者?」
沈黙。
ロビンフットは優雅に一礼した。
「まさか、天使――」
顔を上げる。
「いや、“女神様”に会えるとは」
微笑む。
「お初にお目にかかります」
「私、“フリーン・ジーン”と申します」
一拍。
「ある場所では、“ロビンフット”と呼ばれています」
セレスティアは警戒を解かない。
「……何しに来たの?」
ロビンは逆に首を傾げた。
「そういう女神様こそ」
紫の瞳が細まる。
「なぜ、この城に?」
笑う。
「まさか、“魔王討伐”なんて言いませんよね?」
セレスティアが少し視線を逸らす。
「……色々あるのよ、まぁ神々の事情よ」
「へぇ…おもしろい」
その顔。
まるで。
“何かを見抜いた”ような笑みだった。
夜の森。
遠くで戦火が揺れている。
爆発音。
怒号。
グラディウスは、まだ燃えていた。
アルドは深く息を吐く。
「……とりあえず」
セレスティアを見る。
「城に“ヤツ”が来たのは分かった」
眉を寄せる。
「でも、だからって」
周囲を指差した。
「わざわざお前がロビンに化けて、こんな回りくどい事してた理由は何だ?」
セレスティアは、少し気まずそうに視線を逸らす。
「……恥ずかしい話」
翼を小さく畳む。
「脅されたのよ」
沈黙。
アルドが固まる。
「……は?」
数秒。
そして。
「脅された!?」
思わず声が大きくなる。
「あんた、一応聞くけど女神なんだよな!?」
セレスティアが即座に睨み返した。
「悪かったわね!!」
少しムキになる。
「こっちだって、あんな秘策持ってくるとは思わなかったのよ!」
アルドは頭を押さえた。
(この世界の神、大丈夫か……?)
アルドは咳払いして話を戻す。
「……そんで?」
杖を肩へ担ぐ。
「俺は何すればいいんだ」
セレスティアは少し驚いた顔をした。
「あら、察しがいい」
「どうせ」
アルドはため息混じりに言う。
「俺のことも含めて脅されたんだろ」
一拍。
セレスティアが真顔になる。
そして。
「理解が早くて神だわ」
「お前が言うと腹立つな」
セレスティアは軽く笑ったあと、静かに表情を変えた。
空気が少しだけ重くなる。
「……じゃあ、結論から言うわね」
そして
アルドに内容を説明した
夜風だけが流れる。
遠くの戦火。
木々の揺れる音。
数分後。
説明を聞き終えたアルドは、無言のまま立っていた。
やがて。
ゆっくり口を開く。
「……それが」
視線をセレスティアへ向ける。
「それが、本人の希望なんだな?」
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