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「行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
一緒に釣り行きたかったな〜と思い甥も見送ったので朝ご飯を食べようと柊斗は台所へ向かう
「ふぁ〜あ……ん?」
物置部屋のドアが空いていることに気づく。誰か入ったのかなと思いドアを閉めようとするが……
「あれっ?」
前見た時より妙に位置が違うのだ。梅子がものを探しに動かしたのかもしれないが梅子は動かしたものは元の位置にちゃんと戻す人なので違う。
可愛い甥がしたのだろうと思い元の位置に戻そうとした時、 パタッと何か紙のような物が落ちる。拾い上げるとそれは古い写真であり、柊斗と姉の桃、そして父である菊人が海を背景に写っていたいた。
「懐かしい…家族で釣りをしに行った時だよね……」
菊人は約16年前、柊斗が7歳の時に亡くなってしまった。年齢は確か34辺りだったと思う。そして2歳上の姉の桃も今年の7月に交通事故に会い亡くなってしまった。なのでこの写真の人達の中で柊斗しか生きていない
「母さんは長生きしてるのになんでこの2人は長生きしなかったんだろう…」
ポツリと言葉を呟き片付けの作業に入る
「あら?柊ちゃんここにいたのねぇ」
「あぁ母さん。懐かしいものが見つかってさ〜この写真とか」
「あらまぁ私が撮った写真だねぇ。瀬戸内の方だったかしら?」
「そうだったと思うよ〜……ん?」
上を見上げると古そうな箱が危なげない所に置いてあった
「よいしょっと…母さんこれ何?」
「ん〜なんだったかしらねぇ」
少し重く何か貴重品が入っているのでないかと思いゆっくり下におろし、箱を開ける
「…………何事?」
それはお手玉やけん玉など昔ながらの遊びの道具が詰め込まれていた。どれもこれも少し色褪せており、使い込まれていたと考えられる
「これ…母さんの?」
「いやぁ?まずこんな物があったなんて知らなかったわぁ。」
箱を閉じ梅子と話し物置部屋から出ると、何かが通った気がした。
キャーキャー
カモメの声がする中、暑いので日陰の所で釣りをしている。本当は甥も誘いたいところだったが友達と遊んでいるので中々誘え無かった。
「おや?柊斗君」
「あっマムラさん」
マムラさんは柊斗が子供の頃からのつきあいであり、よく面倒を見てくれていたのだ。
「今年も帰ってきたんですね
「うん。毎年来るのが恒例になっているからね。今日はどんな感じ?」
「今日は2匹位釣れましたね。母さんと甥に捌いてもらおうと思ってます」
「甥…まさちゃんの事?」
「はいそうです。色々あって夏休み中は居るんですよね」
それを聞いたマムラは少し戸惑いを顔に出したが直ぐに元に戻した
「そうなんだね。いつの間にかあんなに大きくなってね〜…僕のこと覚えているかな?」
「まぁ…あの時はまさちゃん赤ちゃんだったし……覚えてないかも」
「なら残念。君も子供が出来たら僕に見せてね」
「ははっ僕はもう27なんで出来るかどうか」
「恋愛に年齢は関係ないよ」
そう言いマムラは立ち上がり柊斗と別れる。
そうだね…ぼくもできるかな?真っ青な海と眩しい空を見上げながら柊斗は呟いた
「マムラさんって覚えてる?」
「……マムラさん?」
柊斗が釣った魚を食べながら尋ねる。麻村は驚きの顔をしており焼き魚が箸から落ちていった
「マムラさん…俺、会ったことあるのか?」
「あるわよぉ、でも貴方が1歳の時だったから覚えてないのも仕方がないよねぇ」
答えようと口に出そうとしたが梅子が答えてくれた
「そうだったんだ…」
「ん?知り合いなの?」
「あっあぁ…最近あったから……」
「そうだったんだ。僕も今日会ってねー。前と全く変わってなかったよ」
「前?何時?」
食いつくように麻村は質問し柊斗はよっぽど気になっているんだなと思い答える
「言うて1年前だけどねぇ。僕も昔からお世話して貰ってたからマムラさん全く変わってないから体調管理意識してるんだな〜って思うんだよねぇ」
それを聞き麻村はさっきより驚いていた
「ばあちゃんが若い頃から此処に来てたからねぇ。長い付き合いだよ」
「そうだったんだ…あっご馳走様でした」
急ぐようにして麻村は部屋からでた
「…気になっているのかしらねぇ」
「えっそれどう言う意味?」
「ふふっマムラさんにだよ。私も昔綺麗な人だなって思ってたの。だからね、聴いたの。何でそんなに綺麗なのかって」
懐かしむように微笑み言った
「そしたらね、こう言ったの」
その答えはとある出来事を思い出させた。あの時、好奇心で神社の裏の小屋みたいな所に行き男と出会ったのだ。その男は和服を着ており髪がボサボサであったが綺麗な顔立ちをして居た。その人に言ったのだ。
「何でそんな格好してるの?」
男はこう答えた
「生きていないから」
その声は柊斗が出会った中でとてつもなく低く、諦めがついていた
「生きていなって言ったのよ。まぁ冗談だと思うけどねぇ」
「ははっマムラさんそういう所あるよね〜」
はて、本当にそれは冗談なのか。彼等に本当かどうか聞いて本当だと言ったら信じはしないが天邪鬼様にお願いしようと思う