テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第二話〇〇side
大介が母さんに何か囁いてる。なんだろ、と思っていると、母さんが血相変えてこっちに来た。うお、なんだ、と思うまもなく、叱り飛ばされる。
「〇〇!あなたまた男の子と取っ組み合いの喧嘩したの!」
うわ、と思う。これ絶対大介チクったじゃん。大介は後ろでお腹抱えて、声を殺して笑い転げている。大介のバカヤロウ。
「だって、あいつ大介のロッカーに画鋲入れてたんだよ!」私は必死に反論。その瞬間、大介の顔から笑みが消える。母さんはぁ、とため息をついて言った。「〇〇、ボクシングやってみない?」
「え…?」大介も驚きの表情。
どういうこと。どっからボクシング出てきた?
「今近所のジムで、ジュニア募集してるの。あなたそしたらプロ意識で喧嘩で手が出ちゃうことないかなって。」おー、なるほど。そういうことなら。
「やって…みたいな。」
大介は、目をキラキラさせて、かっこいい!って言ってる。「なら、やりましょう!大介は?」「俺はダンスでいい。」「決まりね!早速応募するわよ!」
おいおい話が早すぎないか。ジムに到着。大介もついてきてる。
ーガラガラー
選手たちが一斉にこっちを向く。
「おぅ、ジュニアか?俺の名前は木村。よろしく。」
「あっ、あの…木村選手!?」
「俺のこと知ってるのか?」
「大っっ好きです…」
「ジジイ、俺こいつ気に入った!俺がコーチする!」
母さん、大介は呆然としている。
すると奥の方から、お爺さんが出てきた。
「ようこそ、鴨川ジムへ。ジュニアの応募かな?まずは名前を聞こうか。」
「は、はい。本名は佐久間〇〇ですが、表面では
〇〇 〇〇という名前で過ごしています。」
「それなら腕前を見せてもらおうじゃないか。」
サンドバッグを一度だけジャブで打て、と言う。
「わかりました」
ドゴォォォン
ジムが揺れる。
「おいおい…その歳でこんな逸材は初めてだ…これからよろしく頼むぞ。」
え、え?なんで私のパンチでこんなにジム揺れてんの?木村さんも呆気に取られてるよ?私ってこんなパンチ強かったの?こんなの…自分に惚れるしかないじゃん。
「よろしく、お願いします。」
すると、女の人が入ってきた!
「お!ジュニアの新入り?」
「あ、はい、あなたは、もしかして…セコンドの栗林さん⁉︎」
「え、しってんの!?」
栗林さんは驚いた様子。そこに木村さんが口を挟む。
「そうだよ、俺のことも知ってんだぜ!?惚れるしかねぇだろ!おい、お前のストレートこいつに見せてやれ。」
「え、でも…」
「つべこべ言ってねぇでほら!」
「わか、りました。」
ドゴォォォン
強烈な一発。
栗林さんはお目々まんまる。
「わぁぁぁ、あんたすごいね!今夜串カツいかない?」
やった!串カツ大好き!
「え!良いんですか!じゃあゴチになりまーす」
「おうよ、俺も行く」
「あんたのは自分で出しなよ!」
木村さんは頭をかきかき。
「えー」
それを見てた大介がクスッと笑う。
それを見つけた木村さんは、
「おい、そこの坊主、名前は?」
大介はびっくり仰天。まさか話しかけられるとは。
「あ、、佐久間大介、といい、ます、」
栗林さんはケタケタ笑って言う。
「なーにかしこまっちゃって!あんたももちろん来るよな?」
「え、ぼくは、」
「いいじゃん大介!来なよ、串カツ好きでしょ!」
「えーそれは〇〇が仲良くなるのが早すぎるから行けるのであって…」
「じゃあ大介も仲良くなればいいでしょ!」
それまでずっと黙っていた母さんが口を開く。
「行ってきなさいよ、大介。」
「シャァァァァ!」私、栗林さん、木村さんは揃ってガッツポーズ。
その日の串カツの内に、すっかり仲良くなった4人だった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!