🔥 シーン1:青い火の記憶
夜更けのごはん処、誰もいない厨房にひとり。
タエコは鍋を磨きながら、ふと“あの頃”を思い出していた。
「……せやったな。あの頃のうちは、戦う料理人やった」
炎と瓦礫の中、炊き出しをしていた日々――
🪖 シーン2:戦場調理、発動
十数年前、前線の仮設拠点。
フラクタルで組まれた防御陣のすぐそばに、小さな炊き出し区画があった。
まだ若かったタエコは、戦闘服に分厚い調理エプロン。
右腕にはフラクタル加熱リング。後ろには傷だらけの仲間たち。
「待っとき! 今、あったかいの作るさかい!」
《FRACTAL_COOK_MODE=HEAT+REGEN》《STAMINA_RESTORE=MAX》
鍋の中で、碧素スープと干し肉、藍根菜が青く沸き立つ。
湯気の向こうに、戦意を取り戻していく碧族兵の顔が見えた。
🥘 シーン3:「食うて、生きるんや」
砲撃の音が遠く響く中で、タエコは叫ぶ。
「――あんたら、食べる力があれば、生きられるんやで!!」
熱々の鍋を手早く分け、手渡していく。
一杯目。二杯目。食べ終わった仲間たちは立ち上がり、また“杭”を打つべき場所へ向かっていった。
その姿を、タエコは涙を見せずに見送った。
🍲 シーン4:現在の厨房で
「……あの頃の鍋、もう一回振るってみるか」
タエコは静かに、当時と同じレシピを入力する。
すずかAIが、やさしい声で囁く。
「記録再生:過去レシピ“命鍋(いのちなべ)” 認識。再現可能ですか?」
「ふふ、あの頃より腕、上がっとるかもな」
碧の湯気が立ち上がり、厨房に“あの日の温度”が戻ってきた。
命の火と鍋の火は、きっと同じ温度。
それを知ってる料理人が、ここにいる。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!