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るるくらげ
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コメント
1件
え、えぇぇ!!?一瞬マジでゾワッとしたんですけど!!?というか茨さん語彙力ありすぎじゃないですか?そして、越後…と、言うことは新潟あたりでしょうかね…。日付…何の関係が…?めちゃくちゃ気になるんですけど!!?そういえば2001年って案外前ですね…。謎は深まるばかりです…。あと茨さん!!!語彙力ありすぎじゃないですか!!?本当に尊敬します!!!お体に気をつけて頑張ってください!!!
※あらすじの注意を読んでから、ご覧ください
3.人生を変えた写真集
2001年9月3日。
二人の探偵は、ある依頼人に呼ばれて、東京都区内に足を運ばせた。
一人の探偵、倉森が地図を見ながら「ここだ。」と一つの家を指差す。
探偵の助手、赤山がその家のインターホン鳴らし、2回ドアをノックする。
ドアの向こうから返事の声が聞こえ、ドアが開くとそこには一人の年老いた女性がいた。
橋本「今回依頼させていただきました…橋本と申します。」依頼人は、精気の薄れた声で自己紹介した。深刻そうな顔をしている。
二人は家に入ると、橋本に紹介されるがまま客室へとあがり、ソファに座らされた。
橋本は3つ茶を用意し終えると、向かいのソファに座った。
倉森「それで…今回の依頼とは?」倉森は前屈みに橋本を見つめ、隣に座る赤山はメモの準備をしている。
橋本は、少し俯きながら小さな声で答えた。
橋本「…息子が…真木が帰って来ないんです。」
倉森「行方不明ということですか?」
橋本「はい…どれだけ連絡しても返答がなくて、どこに行くかも言わず突然…」
倉森「音信不通ですか。警察には行かれました?」
橋本「はい。でも、まともに取り合ってはくれず…真木も今年で45ですし…」
確かにその年では、親元を離れただけのように見えるだろう。橋本ももう介護が必要な年に見える。介護生活から逃げるためと思われても仕方がない。
倉森「では、これから色々と質問をしますので、できれば具体的にお答えくださると助かります。」
そう言うと、倉森は赤山に目で合図を送った。 赤山は少し咳払いしてから、話し出す。
赤山「最後に息子さんを見たのはいつですか?」
橋本「そうね…8月23か24日の…夕食は一緒に食べたかしらね。」
赤山「なるほど…息子さんが行きそうな場所は?」
橋本「私も結構調べはしたのよ?でも、近くのコンビニやスーパーに聞き回っても、見てないって言うのよ。そもそもあの子、あまり外出する子じゃなかったし…」
赤山「では、何か息子さんが怪しい動きをしていた時はありましたか?」
橋本「そうねぇ…怪しい動き〜…」
橋本は眉間に皺を寄せた後しばらく黙って、少し経って「あっ!」と話し出した。
橋本「思い出したわ…!あの子、旦那の実家によく遊びに言ってたのよ。」
そう言うと、橋本は地図を棚から取り出し、旦那の実家の場所を指差した。
橋本「旦那は越後の出身でね。登山好きで、よく息子と帰省してたのよ。」
確かに、奥の部屋に登山用のブーツやリュックが見えた。すると橋本は、
橋本「まぁそれも、20年前のことだけど…」と、暗い声で言った。
二人の探偵は目を合わせる。今度は倉森が質問した。
倉森「と、言いますと?」
橋本は余計顔を暗くして俯き、小さな口を開けた。
橋本「…うちの旦那も、行方不明になった後山で遺体が見つかってね。白骨死体だった…
それで、息子も登山に行って迷子になってるんじゃないかって私思うの。」
倉森「なるほど…では、もう少し息子さんの特徴についてお聞かせ願います。」
橋本真木(はしもとまなき)。年齢45歳、中肉中背。以前まで近くのスーパーで働いていたが、要領の悪さからクビを命じられ、以降、就職はしていない。当時の服装は、白いTシャツに群青のセーター、黒いズボンを履いていた。短髪黒髪に、黒色の四角いメガネをしている。
2人はある程度情報を聞いた後、街の方に出て情報を集めに行った。
この辺りは都内にしては治安が良く、公共施設も整った、エコな街としても有名だ。
手当たり次第話を聞いたが、やはり引きこもりがちな息子だったせいか、これと言った情報が出ない。「そんな人知らない」か「話したことはない」の二つだけ。
でもある時、2人の探偵の運命を大きく変える情報を聞き入れた。
図書館長「ああ、その人なら知ってますよ。」
隣駅付近の図書館の館長をしている若い男が声を上げた。
倉森「詳しく聞かせてもらっても?」
図書館長「直木さんは、うちの図書館をよく利用してくれていて、たまにお話しするんです。」
赤山「どんなお話をされるんですか?」
図書館長「そうですね…世間話や趣味の話が多いです。テレビでやってた山を登りたいな〜とか、駅近くのコンビニ弁当が美味い〜とか。」
図書館長「あと最近ですと先週、『古びた図書館』について熱弁していましたよ。」
倉森・赤山「古びた図書館…?」2人は口を揃えて訊いた。
図書館長「はい。どうやらオカルトにハマっているらしく、度々その図書館を見に行くんだとか。」
倉森「その図書館とはどこに?」
図書館長「確か〜…あ、越後って言ってたような気がします。どうやら、山の上に建っているらしく、築50年でもう使われていないらしいんです。調べればすぐ出てくるんじゃないでしょうか?」
2人は図書館のパソコンを借り、その『古びた図書館について調べた。』
橋本の旦那の実家に近い山にあるらしく、そこまで高くないので一般人でも登れるらしい。
赤山「どうなんでしょうね…一応、視野に入れておきますか。」
倉森「いや、橋本直木がその古びた図書館に行ったのは確定だろう。」
倉森はキッパリと言い切った。
赤山「え、どうしてです?」
倉森「家に登山道具が置かれたままだったのを確認している。それに、橋本直木の当時の服装はかなり軽装だったらしいしな。時系列的にも、先週話していたのならその熱意はまだ冷め切ってはいないはずだ。」
赤山「そうですかね〜…?断定するにはまだ早いんじゃ…」
倉森「ま、とりあえずご実家の町に出向こうか。それで街の人に話を聞こう。 」
東京から新潟行きの電車に乗り、到着した後、しばらく街の人にまた話を聞き回った。
するとやはり、橋本直木らしき男が山に登るのを見た住民が複数人いた。
2人は、橋本直木はその図書館にいると断定し、役所に訪問の許可を得てから、その山を登った。
2001年9月3日。今宵、探偵2人が向かったのは古びた図書館だった。
「息子を探して欲しい」という依頼を解決するため、この森に囲まれた築50年近い図書館に足を運ばせている。
そして今、その探偵2人は死体を目の前に、怯えていた。2人とも混乱して、声も出ていなかった。 しばらくして、倉森が先に冷静を取り戻し、その水死体の状況を確認する。
その遺体の体は吐き気がするほど人としての形を失っており、落下したせいかほぼ中身が抜けて皮だけのように見えた。性別も年齢もわからない。
ただ、服の一部が確認できた。白いTシャツに群青のセーター、黒いズボン…わずかに残る髪は、確かに黒く短かった。おそらく、この遺体は橋本直木のものである。
倉森は、螺旋階段の下でうずくまる赤山を慰めた。
倉森「落ち着くんだ。怖いだろうが、今怯えて固まるのは探偵のすることじゃないぞ。」
赤山の顔は真っ青で、全身を震わせている。生まれて初めて見る死体がこんなにも酷いのだ。仕方もない。
赤山は精一杯力を振り絞って、震えた小さな声を出した。
赤山「こ、この人は…もしかして…橋本直木さん…」
倉森は静かに頷いた。
倉森「こうなっては依頼の捜査もできないな。ここは本業に任せよう。」そう言って、携帯で110番に連絡した。
通報から15分、警察はまだ到着していなかった。
赤山も冷静を取り戻し、改めて遺体を見ると嗚咽がした。
赤山「警察はまだ来ないんですか…?」
倉森「山だから、車では来にくいのだろうか…一応、すぐ向かうとは言ってくれたんだがな。」
倉森「警察からはここを離れるなと言われた。酷いこと言うよな、ずっとこんな死体のそばにいなきゃなんねぇんだ。」
2人はお茶もろくに喉を通せなかった。先程までこの濡れた図書館に夢中だった倉森も、今や俯きがちである。
少し経って、静かだった赤山が突拍子もないことを言い出した。
赤山「…倉森先生はこれ、事故だと思いますか?」
倉森はその言葉に驚いた。自分たちがそこまで踏み入っていいものなのだろうか。
赤山「僕は違うと思うんです。」
倉森「まぁ…そうだろうな。」
赤山「橋本直木さんは、何者かによって…“殺された”。」その眼差しは真っ直ぐであった。
倉森「死因は明白だな。問題は誰が、どうやって殺したのかだ。もし、図書館内を水でいっぱいにして殺したのなら、やはり突き止めるべきは水源だ。 」
赤山「この際、犯人を見つけてからやり口を吐かせた方がいいんじゃないですかね。」
倉森「どうやって犯人を見つけ出すって言うんだ?」
赤山は上に指を刺した。
赤山「写真からヒントを得るんです。おそらく犯人はここの図書館を利用していた…となると、上の写真を撮って飾ったのも犯人のはずです。」
確信はないだろうが、確かに写真は重要なヒントになるかもしれない。倉森はポケットに入れていた写真を取り出し、もう一度見つめた。
倉森「…あ、」 写真の隅にうっすら何かが書いてあるのが見えた。
倉森「何か隅に書かれているな。」
赤山「なんて書いてあります?」
しかしあまりに薄く、文字も途切れているようで、何が書かれているかは全くわからず、 見えたのは斜めの線と0の下半分のようなものだけだった。
赤山「これ、日付じゃないですか?2階に登ったら何かわかるかもしれません。」
倉森「じゃあ…登るか。」
2人はギィギィと螺旋階段をゆっくり登った。ついでに、死体が引っかかっていたであろう場所を見ながら。確かに人一人分かかりそうな木の柱があるが、それは人間が自力で運んで置けるような高さじゃない。やはり図書館が水でいっぱいになり、その時柱の隙間にでも挟まったのだろうか。
2人は螺旋階段を登り切り、2階に足を踏み入れた。倉森は注意深く辺りを見回す。
倉森「…特に変わったところはなさそうだ。犯人はもうこの場にいないのかもな。」
赤山「まだわかりません。隠し扉とか…あったりするかもですし。」
写真は、壁のおよそ2分の1を占めており、これまた左右対称な位置に半分ずつ飾られている。倉森は右側、赤山は左側の壁の写真を見ることにした。
そして、一番に声をあげたのは赤山だった。
赤山「あ!やっぱりこれ日付ですよ。」赤山は一枚の写真を取り、倉森に見せた。
集合住宅を引で撮ったような写真で、 『1987 12⁄3 記念日 』と右端の白枠に記載されている。
倉森「記念日?なんだこれ。」
赤山「建築記念とかですかね…?僕にはよくわからな、」
倉森「これは他の写真も調べる必要がありそうだな。警察も早く来てくれって話だよ…」
倉森「なぁ赤山くん?」
赤山「…」 赤山の顔は、またもや真っ青になり震えていた。
倉森「どうした…?写真に何か写ってるのか?」
赤山「…き、きっと偶然だ…だってこんな…こんな場所…」狂ったのか、笑みを浮かべ冷や汗をかいている。
倉森は赤山の持っている写真を取った。
その写真に、人間や動物はいない。ならばこの集合住宅自体に何か因縁があるのだろうか。
…どこかで、見たことがあるような気もする。しかし、しばらく考えても思い出せはしなかった。
倉森は他の写真も確認することにした。何か思い出すかもしれない。
すると、ふと目に入る写真があった。
その場所を理解した瞬間、倉森は額に汗をかいた。急いでその写真を引き剥がし、日付を見る。
『1980年 8月3日 記念日 』
倉森は、声も出ず、驚愕していた。
すぐに赤山の手を取り、階段を急いで降りて図書館の出入り口へと掛けて行った。
2人はお互いに、その奇妙さを理解していることに気づいていた。
ドンと大扉を押し開き、荷物も捨ててただただ山をかけ降りる。
倉森「おかしい…おかしいおかしい…!」倉森は額に大量の汗をかいていた。
なんで、なんであの写真と日付が…?もしかして、犯人は“あのこと”をしっているのか?だとしたら、赤山くんも同じ心情なのだろうか?とにかく今は逃げなければ…!警察はどこだ!警報音すら聞こえんぞ!?一体いつまで時間をかけているって言うんだ!
2人は焦り、足をもたつかせながらも山を急いで下っていった。
もうすぐで山の麓に来るという時だった。足に何かが引っかかって2人は転げ落ちた。
倉森「くそっ…!なんだってんだよ!?」足にまとわりつくそれを取る。
服の一部のようだ。青色で、でも所々に赤い血痕のようなものがある。硬めの素材。そして、服のポケットから出てきたのは、警察手帳。
赤山「く、倉森先生…!あ、あれ…!?」赤山は怯えた目で正面を指差した。
山道には、同じような青色の服や、警棒、黒色の帽子…それらに全て、赤色の血痕がついている。
しかし、それ以上に目を引くものが正面に立っていた。
銀色の化け物が、こちらを見つめていた。
それは3mを超え、とんがった目に大きな口、ギザギザの歯を持ち、頬には大きな傷跡が。
クチャクチャ、バリバリと咀嚼し、その大きな口の隙間から、人の腕が微かに見えた。
木よりも太い腕と足は、血で濡れている。
探偵は理解した。
もう、助けてくれる人間はいない。
ー3話・終ー