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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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山のように積み上げられた、壁一面の本棚を見上げて、俺は歓喜のため息を漏らす。いつ見ても素晴らしい。どこを向いても本、本、本!本当に夢のような空間だ。
今日は何の魔術書を読もうか。基本属性の習得は一通り終えた。そろそろ特殊系の術に手を付けてみるのもいいかもしれない。同じ本を何度も読み返すのも、さすがに飽きてきたところだ。
⋯⋯そういえば。以前読んだ『魔術における注意点』とかいう本に、『禁術』というものがあった。この書庫に、それに関する本はあるだろうか。
そう思い立った俺は、本棚についている梯子をよじよじと登り、背表紙を1冊ずつ確認していく。
しかし、ほとんど読み終えたものばかりで、目当てのものは見つからない。さすがに禁術書なんてものを、こんなところには置かないか。
残念に思いながら、梯子を降りようとした、その時だった。ふと本棚の1箇所に目が留まった。梯子の中間くらいの高さ。5cmほどの幅で木目が途切れて、別の木材が嵌め込まれている。模様がほんのわずかに違う。至近距離まで近づかなければ、まず気付かない程度の違いだ。
⋯⋯ここに、何がある?
そう思って手を伸ばした時、後ろから声をかけられた。
「アステル様ー! そんなところにおられたら、落ちてしまいますよー!」
クラリスが慌てた様子で駆け寄ってくる。首を動かして、壁にかけられた時計を見る。どうやらだいぶ時間が経っていたようだ。俺は仕方なく、スルスルと梯子を降りていく。
「あぁ、よかった。あまり危ないことはしないでくださいね?」
剣術ごっこは危なくないのだろうか? クラリスの判断基準が分からない。
「入浴のお時間ですので、呼びに参りました。さぁ、行きましょうか」
クラリスに捕まり、大浴場へと連れて行かれる。正直、風呂は面倒くさい。
前世は平民だったから、毎日のように入浴する習慣もなかった。身体を綺麗にする魔法や魔術はないのだろうか。
いや、それよりも、あの木材である。ただの傷や修繕跡とは思えない。何かがあるという確信があった。
風呂や食事が一通り終わったら、もう一度あそこへ行ってみよう。今日の夜にでも、調査に向かうとしようか。
深夜。屋敷の中が暗くなり、しんと寝静まった頃。俺はベッドから起き上がり、慎重にドアを開けて廊下へ出た。音を立てないように、ゆっくり、ゆっくりと歩を進めていく。窓から差し込む月明かりを頼りに廊下を進むと、やがて書庫の入り口が見えてきた。
⋯⋯人影?
目を凝らしてみると、なぜか2人の兵士が、扉の前で見張りをしている。
「ふぁ〜あ⋯⋯」
「おい、サボるなよ。この書庫を守るのが、俺たちが領主様から任された、重要な仕事だ」
「わかってるよ。しっかし、こんな毎晩のように見張りをする必要があるのか? 魔術書が貴重なことは十分わかるが⋯⋯」
「なんだ、知らないのか。この書庫の地下には、封印された魔人が眠ってるって噂だぞ。大昔にこの国を滅ぼそうとしたんだとか」
⋯⋯これはいいことを聞いた。
やっぱり、この書庫には何かがあるらしい。しかし、見張りがいては扉を開けることができない。どうやって攻略するか。
少し考えてから、妙案がひらめく。よし、眠らせよう。
精神属性下位魔術──『夢環』
対象の夢や意識へ干渉する魔術である。兵士2人はガクリと座り込み、いびきをかきはじめた。
少し心苦しいが、仕方ない。俺の地下探索が終わるまで、眠ってもらうとしよう。
俺は静かに扉を開けて、書庫への侵入を果たす。一息つきながら、部屋の明かりをつけて、昼に確認した、あの本棚へと駆け寄った。
「確かここら辺に⋯⋯お?」
あの木材の部分に手をつけて少し押すと、わずかにへこんだ感覚があった。そのままぐっと押し込んでみる。
ズゴゴゴゴ⋯⋯。
低く重い音が書庫の中に響き渡った。俺は慌てて周囲を見回す。
⋯⋯大丈夫か?
幸い、どこも変わった様子はない。念のため梯子を降りて、くまなく調べてみる。すると、床に敷かれたカーペットの中央が沈んでいた。
灯台下暗し。
俺は分厚く重量のあるカーペットを、ズリズリと引っ張ってどかす。そこには、地下へとつながるであろう階段があった。
「おぉぉぉーー!」
地下へと降りると、そこには古く軋んだ本棚と、いくつかの石板が積み重なっていた。上の書庫に負けないくらいの蔵書と、広い空間。俺は数多ある本の中から1冊、手に取ってみる。
大当たりだ。間違いなく、ここには隠された魔術が多く眠っている!
よし、今晩のうちにできるだけ読み込んで、研究を⋯⋯。
「ゲラハハハハ! まさかここにガキがやってくるなんてなぁ! いよいよ見張りをつけなくなったのかぁ?」
下品な笑い声にムッとして振り返る。誰だ、俺の至福の時間を邪魔するのは。
「おれの名はカグアレイズ。灰魔石板の魔人だ」
なるほど、コイツがこの地下に封印されている魔人らしい。本棚の中にある、1つだけ本に紛れた灰色の石板からは、禍々しいオーラが漂い、カグアレイズと名乗った魔人と鎖で繋がっていた。
「へぇ、封印されているはずなのに、どうして出てこれるんだ?」
「なぁに、もう数百年も経とうとしてるからな。封印が劣化してるんだよ。あと鎖が4本千切れれば、おれは自由の身だぜ」
そう話しているうちに、鎖の1本は音を立てて引き千切られてしまった。
「お、また1本壊れたな。とはいえ、残り3本が壊れるのを待つのも面倒でな⋯⋯。お前、名前は?」
「アステル」
「そうか、そうか。なぁ、アステル。お前、ただもんじゃねえだろ? ここで会ったのも、何かの縁だ⋯⋯」
そう言って、カグアレイズは卑しく笑った。
「おれの封印を、解いてくれねぇかい?」
コメント
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みぅです🤍🥀 第3話、読み終えました。アステルくん、好奇心旺盛で探究心が止まらない感じがかわいくて、でもちゃんと見張りを眠らせる賢さもあって…静かなヤンデレ気質を感じますね。そして最後の魔人カグアレイズの登場、ぞくっとしました。「封印を解いてくれ」って、絶対罠っぽいのに、つい続きが気になってしまう…!書庫の隠し部屋と石板の謎、どんな展開が待ってるんだろう。蒼依ジンさんの描く世界観、すごく引き込まれます🌙