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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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「ヤダ」
「なっ⋯⋯」
「だから、ヤーダ!」
誰がそんな提案を呑むというのだろうか。
俺は驚いているカグアレイズに向かって、言葉を続ける。
「お前、大昔に、この国を滅ぼそうとしたんだよな? そんな悪いヤツを、俺が野放しにするわけないだろ。封印は張り直しておく。今度、優秀な魔術師でも呼んでくるよ」
「いや、まてまてまて、待ってくれ!」
目ぼしい禁術書だけ持って、階段へと歩き出す俺を慌てて引き止めてくる。なんなんだ、この魔人は。俺は早く部屋に戻って、じっくりと魔術研究がしたいのに。
「悪かった、悪かったよ。確かにいきなり過ぎたよな。いいか、よく聞いてくれや。俺を封印したのは、あくまで大昔の魔術師だ。今の人間たちに恨みはねぇよ」
神妙そうな顔をして、カグアレイズは俺を説得してきた。
「本当に〜?」
「あぁ、本当だ! だからよ、封印さえ解いてくれればいいんだ。礼は弾むぜ! そうだな、大金持ちになるってのはどうだ? おれは金を創り出せるんだぜ!」
そういってカグアレイズが片手を掲げると、ジャラジャラと金貨が溢れ出す。けれども、俺の目は誤魔化せない。
カグアレイズの手から、金貨を1つ摘み上げると、パッと元の木片に戻してやった。
「やっぱり、精神属性の魔術だったな。『幻牢』か?モヤが少し残ってたし、あまり練度の高い魔術とは言えないな。こんなんじゃあ、小売商も騙せない」
悔しそうにするカグアレイズをよそに、俺は木片を眺めてそう答える。
そもそも、今の俺は公爵家の息子だ。金には困ってないんだよな。
「じゃ、じゃあ不老不死だ! お前を死なない身体に作り変えてやるよ!」
「お断りだよ。無駄に長く生きるつもりはないし、第一、どんな危険があるか分かったものじゃない」
魔法や魔術は、万能ではない。それこそ非科学的な現象を生み出せるので、何でもできると思われがちだが、当然リスクもある。たとえ不老不死の術式を作れたとしても、術者にも被術者にも負担がかかるはずだ。
図星だったようで、カグアレイズは更に顔を歪めた。
「やっぱり封印だね。1カ月以内には、封印の得意な魔術師を連れてくるよ」
「待て、待ってくれって! おれは本当は良い魔人なんだよ! ちょっと人間たちに幻覚見せただけでさぁ!」
「う〜ん、でも嘘だったらやばいしな。それに、幻覚を使って廃人にでもしてたら、洒落にならないからね」
もう面倒だし、俺が封印を施してしまおう。そう思って、俺が石板に手をかけた時である。
「な、ならば魔術はどうだ⋯⋯?」
「⋯⋯ほう?」
俺に反応があったのを見て、魔人が歓喜の表情を浮かべる。そのまま次々とまくし立てた。
「数百年も前からある、古代魔術だ! おっと、今は禁術とか言われてるんだったか? とにかく、ソイツを教えてやろう! どうだ!? アステル!」
「いいね、面白い」
言うまでもなく、俺は禁術を知るためにここへ来た。本に記されている事だけでなく、実物を目にすることができるなら、これ以上ない大収穫だろう。
俺は石板に手を触れて、魔力を流し込む。既に壊れかけていたこともあり、あっという間に、封印の鎖は崩れて消えた。ブワッと黒い煙が現れる。
ゴトリと音を立てて、石板が床に落ちた。封印が完全に解けたようだ。
「ハハハハハッ! ありえねーよ、このガキは! マジで封印解いてくれやがった!」
煙が晴れて、魔人の姿があらわになる。
屈強な肉体に、1本の角。悪魔のような翼を持ち、宙に浮かんでいる。下半身には茶色い毛が生えて、狸と狐を合わせたような尾があった。まさしく、魔人。
嬉しそうに飛び回って大笑いしているカグアレイズに、俺は声をかける。
「要望に応えられて、何よりだ⋯⋯で? そろそろ教えてくれないか?」
「ん? あぁ、禁術を見せてやるんだったな」
カグアレイズはニヤリと笑うと、手を掲げて魔力を練り始めた。魔人というだけあって、魔力量は人間と比べるべくもない。
そんなことを考えながら感心していると、カグアレイズは俺の方に手を向けてきた。まさか⋯⋯?
ドォォォォォン⋯⋯!
視界が閃光の白一色になり、もうもうとほこりが立ちこめる。やはり、俺に向けてきたか。
「これが『命刻拡閃砲』だ⋯⋯。ま、聞こえちゃいねえだろうがな。さぁて、これからどうするか⋯⋯」
「うんうん! なかなかに面白い術だな! 生命力そのものに干渉して、当たった者の寿命を奪い取るのか。面白い!」
なるほど、これは確かに禁術と呼ばれて、封印されるのも分かるというものだった。
現代では有り得ないような、変わった術式だ。もっと見てみたい。
「どんどん撃ってくれたまえ、カグアレイズ!」
俺が『命刻拡閃砲』を受けて無事だった理由。
氷属性上位魔術──『氷鏡界』
周囲を鏡のような氷壁で覆い、防御膜を構成できる魔術だ。これなら外を見ることができるし、氷は生命を持たないので、純粋な破壊力で壊す以外の手段はない。
「ゼェ、ゼェ⋯⋯。だぁぁ、なぜ効かない!?」
あれからカグアレイズは何度も同じ技をぶつけてくるが、一向に状況は変わらない。名前に『砲』が付くだけあって、十分な威力も備えているようだが、それでも俺の氷壁は破れなかった。
⋯⋯そろそろ飽きてきたな。
「クソが! これでも喰らいやがれ!」
お、何か別の禁術でも見せてくれるのだろうか。カグアレイズは両手を合わせて、さらに魔力を練り上げていく。
「奪い去れ、命を侵し、白い闇となれ⋯⋯『破威・命刻拡閃砲』ッ!」
ゴウッと吹き荒れる魔力の嵐。なるほど、破壊力に重点を置いたか。風圧に押されて、俺の身体は半歩後ろへと下がる。放たれた白い魔力波は俺の『氷鏡界』にぶつかり、そして時間が経つとともに消えてしまった。
「クソッ、ふざけやがってぇ! 今度こそ⋯⋯!」
「あー、もういいよ、その禁術は理解できた。だからさ⋯⋯」
俺は右手を翳し、魔素を集めて魔力に変換する。攻撃禁術は十分に観察することができた。そうだな、取り敢えず、普通の上位魔術から撃ってみるとするか。
「次は防御禁術を見せてくれ!!」
「何を⋯⋯って、ぎゃあああああ!」
俺の展開した魔術がカグアレイズを包み込み、悲鳴が叫ばれる。
火属性上位魔術──『煉獄門』
対象の周りに炎の門を顕現させ、その内側を煉獄の如き灼熱空間へ変える魔術。
そこら中に火や水をぶちまけてしまっては、周りの貴重な禁術書を台無しにしてしまいかねない。この魔術ならば、安心してカグアレイズの防御禁術を観察できる⋯⋯と思ったのだが。
「あれ、何で防御しなかったんだ?」
一分ほど続けてから魔術を解除すると、そこには身体の所々が焦げたカグアレイズの姿があった。
「す、スミマセンでしたぁ!!」
「えぇっ、どうしたんだよ、土下座なんかして」
「許してくだせぇ、アステル様! もう悪さしませんので、どうか!」
空中で器用に土下座しながら、涙目でそう訴えてくる。身体が焦げただけで、何をそんなに怯えているのだろう。
「別に、そんなことどうでもいい! さ、早く続きをやろう! 他に禁術はないのか?」
「ヒィッ!? ほ、本当に勘弁してくだせぇ! もう身体が持ちませんよ!」
「えぇ、そうなのか?」
魔人というのはよくわからないな。よし、ならばコイツを使って、肉体の構造を解明して⋯⋯。
「このカグアレイズ、アステル様にお仕えすることを誓います! 使い魔にでもなんにでもしてくだせぇ!」
「使い魔かぁ⋯⋯」
よくわからないが、ここまで必死にされては仕方がない。今日のところはこの辺にしておくとするか。
それに、使い魔になってくれるなら、禁術の研究も捗るだろう⋯⋯うん、いいかもしれない。
「よし、なら決まりだな。早速契約だ!」
「へい!」
俺とカグアレイズは手を繋いで、互いに魔力を流し合う。眩い光が溢れ、契約が完了した。
こうして新たに、カグアレイズが仲間になったのだった。
コメント
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第4話、楽しく読ませていただきました!アステルくん、まさかの封印解除からの「禁術見せて」の流れ、最高でした(笑) 魔術への探究心が強すぎて、魔人に攻撃されても「なるほど面白い!」って冷静に分析してるところがツボです。最後はカグアレイズがまさかの土下座からの使い魔契約、良いコンビになりそうな予感…!次が気になります🌟