テラーノベル
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甘月 莉兎
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カーテンの隙間から差し込む朝の光が、まぶたを叩く。
すちは、昨夜のなつの温もりを探して、萌え袖の手で隣のシーツをなぞった。
「……なつ、さん……?」
返事はない。
跳ね起きると、そこには誰もいなかった。大きなサイズのベッドは、すち一人では広すぎて、余計に寒さが身に染みる。
(……あれ。……LANさんは? みことさんは……?)
慌ててベッドから飛び出し、萌え袖のパーカーを振り乱しながら廊下へ走る。
リビング、キッチン、訓練場——。
どこに行っても、人の気配がしない。昨夜の賑やかな夜中のパーティーが嘘のように、アジトはしんと静まり返っていた。
「……う、そ。……やっぱり、夢だったの?」
胸の奥が、冷たい氷を押し付けられたように痛む。
マフィアにとって、朝は急な任務(しごと)が入るのが当たり前。でも、何も知らないすちにとっては、それは「拒絶」と同じ意味だった。
(……いらない、って、なったんだ。……僕が、可愛くないから。……役に立たない、から)
過呼吸気味に肩が上下する。
視界が歪み、また無意識に萌え袖を捲り上げようとしたその時。
「——っ、はぁ、はぁ……出さなきゃ。赤、……出さないと、また……あの部屋に……」
すちが、キッチンにあった果物ナイフに手を伸ばした。
ギラリと光る刃先を、震える手首に当てようとした瞬間——。
「すち!! ダメだ、やめろ!!」
背後から、怒鳴り声と共に強い衝撃が走った。
ナイフが床にカランと音を立てて転がる。
振り返ると、そこには任務用の黒いスーツを羽織り、硝煙の匂いを纏ったいるまと暇72が、息を切らして立っていた。
「……なつ、さん……。……いるま、さん……」
「バカ野郎! 何してんだお前は!!」
いるまがすちの肩を掴んで、烈火のごとく怒鳴る。
その瞳には、怒りよりも深い恐怖が浮かんでいた。
なつは、無言ですちを床から抱き上げ、心臓の音が聞こえるほど強く抱きしめた。
「……悪かった。急な襲撃があって、起こさずに出ちまった。……怖かったよな、ごめん」
「……捨てられたって、思った。……おれ、もう……いらないって……」
「んなわけねぇだろ! お前を置いていくくらいなら、俺たちが死ぬ時だけだ!」
いるまがぶっきらぼうに、でも必死にすちの頭を撫でる。
そこへ、遅れて戻ってきたLAN、みこと、こさめも合流した。
「すちくん! 怪我はない!? ごめんね、お土産にパンケーキの材料買ってきたから!」
「……すち。約束しただろう。返却は受け付けない、とな」
LANが、血の気の引いたすちの頬を両手で包み込み、深く溜息をつく。
五人は悟った。この繊細な「至宝」を一人にする時間は、まだ一秒たりとも作ってはいけないのだと。
「……よし。今日はもう、誰も任務に行かない。全員で、すちと一緒にいる日だ」
ボスの宣言に、すちはなつの胸の中で、ようやく止まった涙を萌え袖で拭った。
次回♥️100
コメント
4件
はい、大好きです ありがとうございます いや〜皆、優しすぎません???? そこが大好きなんですがね!!!!????
えっ…好きまじぎゅんぎゅんぎゅん好きすぎてm