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『奈美さん、初めまして。当方三十二歳の豪と申します。あなたのプロフィールを拝見し、興味が湧いたので、一度お会いしてみたいと思い、DMさせて頂きました。よろしければ、今度の土曜日、お会いしませんか? あなたのご要望を、ぜひ叶えさせて頂きたいです。十三時に、立川駅北口のオブジェ前でお待ちしています』
事務的なプロフィール文に対し、やたら丁寧なメッセージに、奈美は目を見張る。
「文章は丁寧でも、実際会ったら、ヤリモクの狼かもしれないよねぇ。日時指定と場所指定してるし」
警戒心を抱きながらも、エロ系SNSのDMにしては、場違いなくらいに真面目に感じる。
「これって、来いって事だよね……」
奈美は、パソコンと睨み合いながら、腕を組んで考えた。
彼女の中では、こういうSNSで交わされる言葉って、もっと軽くて馴れ馴れしく、やらしいイメージ。
けど、奈美に送られたDMは、とても丁寧な内容。
文面に好意を感じたのか、この豪って人に興味を持ち、一度だけでもいいから会ってみたくなった。
「この豪さんって方、どんな人なんだろう?」
奈美は、まだ見知らぬ口淫相手を想像してみる。
彼女の好きなタイプ、オラオラ俺様系か? または秋葉原にいそうなタイプか? あるいは、大人しい雰囲気の草食系男子とか? 全く想像できない。
モニター画面を見つめつつ逡巡し、奈美は立ち上がって、クローゼットを開ける。
唯一持っている、お気に入りのパステルブルーのロングワンピースを取り出した後、再びパソコンデスクに向かって返信を打ち始めた。
『豪さん、初めまして。お返事ありがとうございます。今度の土曜日は空いてますので、お会いしてみたいと思ってます。豪さんの指定した時間と場所に、淡いブルーのワンピースを着て待ってます。よろしくお願いします』
打ち込んだ文章を何度も読み返した後、ドキドキしながら送信ボタンをクリックした。
マウスを握っている手を見やると、微かに震えている。
「はぁ……送信ボタン…………お……押しちゃった……」
大きな仕事をやり終えたような疲労感に包まれ、奈美はベッドの上に倒れ込んだ。