その後二人はレストランへ行った。
海斗はジーンズに白シャツ、美月はベージュの膝丈のワンピースに着替えていた。
一階にあるレストランの窓にはライトアップされた木々が映し出されてなんともいえずロマンティックだ。
きっと朝になればここからは素晴らしい八ヶ岳が一望できるだろう。
二人は窓際のテーブルに案内されると、海斗が「今日は飲めるね」と言ってワインを注文してくれた。
レストラン内にはムードあるジャズが流れている。
遅めの時間だったのでレストランは空いていて他には二組のカップルがいるだけだった。
料理はフレンチのコースで、新鮮な高原野菜がふんだんに使われとても美味しかった。
二人は今日のライブの話で盛り上がりながら食事を堪能した。
デザートを食べている時海斗が聞いた。
「この後星空を撮影してみるんだろう?」
「うん。薄雲がだいぶ消えてきたから今夜は期待出来そう」
美月は嬉しそうだ。
食事を終えてレストランを出た二人は、駐車場へ行き車に積んであるカメラと三脚を取り出した。
空を見上げると雲はすっかり消え去り宝石を散りばめたような満天の星が広がっていた。
部屋に戻るとすぐに美月は三脚とカメラをテラスに持って行きセッティングを始めた。
海斗はテラスの椅子に足を組んで座ると美月が準備をするのを見ていた。
今回は望遠鏡はないので三脚にカメラを載せるだけのシンプルな設定だった。
今夜は天体写真グループの人達から教えてもらった「固定撮影」で撮影するらしい。
準備の合間に美月はテラスから夜空を見上げる。標高が高く住んだ山間には天の川がくっきりと見えた。
星の一粒一粒の輝きも東京で見るものとは比べ物にならない。それほど明るい星だ。星明かりで足元が照らされるほどの光量を放っている。
美月はカメラのピントを合わせるとレリーズを押す。固定撮影の場合10秒かけて一枚の写真を撮る。
レリーズを押してから10秒後にカシャッという音が響き渡った。
それを何度も繰り返す。時折レンズの向きを変えながら色々な角度で星空を撮影した。
夢中になって撮影している美月を見て、海斗は二人が初めて出逢った夜の事を思い出していた。
美月との出逢いが今までとは違うから美月に魅かれたのか?
それとも美月が今までの女性達とは違うタイプだったから魅かれたのか?
海斗は考えてみるがどちらも違う。
そこで海斗は確信した。『美月だから』魅かれたのだと。
美月を知る度にどんどん魅かれていく自分がいた。
何度会ってもどれだけ一緒に過ごしても会いたい気持ちは募るばかりだ。
海斗は美月と出逢い『本当に人を好きになる』事の意味を知ったような気がした。
その時二人は同時に夜空を見上げる。
その瞬間火球クラスの大きな流れ星が夜空を駆け抜けて行った。
「アッ!」
「流れ星!」
二人は同時に叫ぶ。
「すごかったね」
「うん。一瞬だからいつもお願い事をしそびれちゃうわ」
「何をお願いするの?」
「秘密」
美月は微笑みながら楽しそうに笑った。
「あと数日でペルセウス座流星群の活動が活発になるからそれの一部かも」
「ペルセウス座流星群かぁ。そう言えば昔兄貴が庭で観測をしていたのを思い出したよ」
「お兄様は今も星を見たりしているの?」
「うん。自宅の庭に望遠鏡を出しっぱなしにしているみたいだよ。兄貴は星好きが高じて今は高校で物理を教えているんだ」
「そうなんだ。私が入っている天体写真のグループにも学校の先生をやっている人がいるわ。いつも親切に色々教えてくれるの。他にも色々な職業の人がいて皆天体っていう同じ趣味で繋がっているの」
美月は穏やかに言った。そして続ける。
「天体好きの人はロマンティストが多いかも。ロックをやっている人もロマンティストが多いでしょう?」
「確かにロマンティストな奴が多いな。うるさい音楽をやっていると不良っていうイメージが今も昔もあるけれど実は純粋な奴が意外と多いかもしれない」
「海斗さんも純粋だものね」
「俺は一途なんだよ!」
海斗はそう言ってから言い直した。
「いや、俺は美月だけに一途なんだな」
「私なんかのどこがいいの?」
すると海斗は美月を後ろから抱きしめて言った。
「全部だよ。俺は今のままのそのままの美月が好きだ」
そして海斗も聞く。
「美月こそ俺のどこがいいの?」
海斗は美月の髪に鼻を埋めて返事を待った。
「全部かな?」
美月が恥ずかしそうにクスッと笑って言ったので海斗の胸がズキンと疼く。
海斗は後ろから美月を抱き締めたまま美月の顔を自分の方を向かせると、そっと唇を重ねる。
その瞬間、夜空には大きな流れ星が綺麗な流線形を描いてスーッと流れて行った。
コメント
3件
ぅはぁ〜(〃ω〃)🩷🩷🩷 バックハグ(〃ω〃)🩷 キュンキュンするぅ🩷🩷🩷ええなぁ⤴️⤴️⤴️🤭
甘いよ〜ᯒᯎ″❤︎ᯒᯎ″❤︎ 甘々だよ〜( ⸝⸝˘͈ ᵕ˘)(˘͈ᵕ ˘͈♡)ピトッ…💓 虫の音も静かに穏やかに聞こえる満開の星空の下、更に2人の愛が深まるね*☆࿐✩*꒰ঌ★˖⊹༺♡༻⊹˖☆໒꒱*★࿐✩
どんな時も美月ちゃんと海斗さんのそばに🌙と🌟があっていつまでも2人を見つめて照らしてる印象ですね〜✨最初に出会った時も🌌の下だったで美月ちゃんが星の撮影をしてて…2人と🌙🌟はセットなんですね👩❤️💋👩💞 甘々ないこの時間でお互いを癒して愛を深めて〜プロポーズのシチュエーションが楽しみ🎶😋🌷