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ミーシャに救出してもらいボス討伐の報酬として彼の素材とレアドロップと思われる『複眼の杖』というかなり見た目が悪趣味な杖を手に入れた。
「何この杖きっもちわるいの。」
「杖の先が雲の顔を模してるみたいで複数の宝石かなんかが埋め込まれてるわね。」
「杖自体の素材もよくある木製とか鉱石加工したものじゃなくて、素材の味をそのまま活かしたみたいな感じじゃない?」
「多分クモの足とかかな?あのクモ毛が生えてたしこの杖もそうみたいだね。」
「よく躊躇無く触れるねぇ?触感もこのゲーム再現されてるから私は遠慮したいんだけど…」
「それじゃあ二個落ちたこの杖私が貰っていいの?」
「剣士の私には無縁だからいらない」
「それじゃあ遠慮なくこれ貰ってくねぇ♪」
「何が嬉しいのよそれ……。」
「この杖見た目こそキモイけど性能はかなりいいみたいだし、説明見た感じこの杖まだ未完成品なんだよねぇ」
「はぁ?」
『【毒蜘蛛の毒脚】
ポイズンスパイダーの強個体が稀に落とす杖。
アイテムとして使うと【毒霧】【毒の糸】【縛りの眼差し】のいずれかがランダムで発動する。
杖先に黒く光る石には魔力が込められているがセーフティーが掛けられている。同じ杖を複数集め強化することで真価を発揮する。』
「ね?複数集めることに意味があるみたいなんだよ」
「説明聞いて確かに優秀だったけどそれでもなお私は要らないし装備したくない。」
「この装備してればナンパとかされないよ?男でも虫が苦手な人いっぱいいるし、私のお兄ちゃんとか特にそうだね。」
「あんだけ身長もあって程よく筋肉もついててカッコイイ顔に声もしてるのに?」
「カッコイイかは知らんけど、虫はダメで特にクモとゴッキーはアウトでそれ見つけると女の子みたいな声出すよ?」
「なんかちょっとお兄さん見る目変わったかも。」
「勝手に惚れて勝手に冷めんな、うちの兄ちゃん泣くぞ?心が弱いんだから。」
「えぇ……。」
「それよりほら、もう大量発生も終わったしそこのワープポータルから帰るよ。」
「は〜い…。」
談笑しながら部屋の中心に出来た魔法陣に乗ると二人の体は光に包まれ気が付くと洞窟の入口に戻されていた。辺りを見渡すとまだ例の冒険者達が入口でごちゃごちゃしていたが、二人が突然現れたことと先程手に入れたボスドロップアイテムの杖をウキウキで装備したミーシャを見てみな戦慄し入口の横に綺麗に並んだあと何故かそのまま優しく出迎えられて敬語を使われた後お見送りまでされたのだった。
その後アルナの工房に戻り先程の出来事を伝えるとアルナは見た目にそぐわずゲラゲラと笑い、二人の頭をワシャワシャと撫でる。
「むぐぇ!?」
「ふごぉ!?」
「アッハッハッハッハッ!!そりゃ二人とも敬語使われちゃうわよ!」
「別にただあの洞窟制覇しただけですよ?」
「大量発生した蜘蛛を討伐するついでにやっただけで……。」
「あそこの洞窟のボスってね二種類いるんだけどその片方がアンタが倒したポイズンスパイダーの強固体。で、コイツは初心者達の登竜門って言われててね。あれを倒せてようやくチュートリアル完了って慣れた人たちは言ってるんだが、それを二人はその装備でかつフルヘルスで成し遂げたんだからビビられるわけよ!」
「えぇ………。」
「もしかしなくても私これまた話題になるタイプでしょ?」
「タイトルはそうね【破滅を呼ぶ戦姫プリンちゃん、手始めに蜘蛛を瞬殺】とかかしら?」
「慎ましく生きてたいんですけど私…。」
「てか、アンタがもとより有名なせいで私も巻き添え食らって有名になりそうなんですけど?」
「私が【破滅を呼ぶ戦姫】ならアンタは【冷笑の女帝ミーシャ】とかどうよ?w」
「ネットのおもちゃにされるとかデジタルタトゥー過ぎるでしょ……。」
「とにかくとんだ大物が私の工房に来てくれて依頼してくれるなんて運がいいねぇ!」
「それで、一応これ装備作りに必要な糸なんですけど数足ります?」
「もちろんこんだけあれば充分すぎるわよ。ただ、一つ心配事があるの。」
「それは?」
「二人はお金どれだけあるの?」
「「あっ………。」」
「一応これでも商いとしてやってるからお金は頂くわけだけど払えるのかしら?」
「ち、ちなみに作った場合いくらになります?」
「お二人さんの大物感を買っても数万ゴールドとかは頂くかしら?」
「プリンお前所持金は?」
「雑魚狩りしかしてないからようやく4000ゴールド間近…。」
「私も蜘蛛退治で手に入ったとはいえ3000手前……。」
「二人が出し合っても雀の涙くらいしか出ないわねぇ…。」
「そ、それじゃあこの話はなかったことになるんですか?」
「それはお二人さんが可哀想だからしないけど、だからと言って安値で売るほど私もお人好しじゃないの。せっかくの新しい顧客獲得のチャンスなんだしね。」
(この人こんな綺麗な見た目にそぐわず結構言うこと言うなぁ……。)
「で、そんな私からお二人さんに耳より情報よ!」
そういいウィンドウを開いたかと思えば運営からのお知らせを開きとあるメールを開いたあとスクロールしある文のところでスクロールをやめて二人に見せる。
「近々運営が初めてのイベントを開催するの。そのイベント内容がいわゆるバトルロワイヤルで専用のバトルフィールドで戦闘してもらい倒した数がポイントになるポイント制バトルなの。これの上位十名に入ると全員に5万ゴールドが配られるんだって。さらに、順位によって送られる景品もあってこれも上に行けば行くほど豪華になるみたいだから、これに参加するのはどうかしら?」
「お金が手に入るのか…。」
「今の私らはお金に困ってるしピッタリといえばピッタリか…。」
「開催予定日は今日から丁度一週間後。それまでに少しでも強くなって是非うちを利用してね?あのクモさんを使った防具私も作りたいし?」
「…分かりましたよ。それじゃあそれに参加して資金稼ぐんで絶対作ってくださいね?」
「は〜い毎度ありぃ♪じゃあ選別で二人にはこれあげる。」
そういいミーシャにはシルクのローブを渡しプリン(プリンセス)には鉄の剣が渡される。
「こ、これは?」
「未来のお得意さんに対しての選別よ。もちろんお金は取らないわ。ちなみにそれどっちも私が作った装備だから市販品よりもクオリティが高いのよ?」
「あっホントだ。アイテム名の横にキングクラウンが付いてる。」
「これ付いてると生産職が作ったアイテムってわかるの?」
「そうね。しかもキングクラウンは最上位の出来栄えだから同じ名前の装備でも効果に差が出るんだよ。」
「そんないいもの初心者の私らが貰っちゃって大丈夫なんですか?」
「私の鍛治スキル上げで作ってただけだし問題ないよ。一応エンチャントっていうのも申し訳程度にしてるから。」
「私のローブは火耐性が付いてる。」
「私のには軽量っていうのが付いてるよ?」
「火耐性は言わずもがな炎に強くなる。耐性あげれば火傷にもならないわよ?
で、軽量っていうのは攻撃力が落ちちゃう代わりに速さが上がるから手数で攻めるであろう剣士には適してるかなと思って付けてみた。使いにくかったらごめんねぇ?」
「い、いえ!お気遣い頂きありがとうございます!!」
「お礼もできていい子ね。それじゃあ一週間後のイベント楽しみにしてるわよ。」
「「はい!!」」