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舞鶴鎮守府。
病室。
加賀が一人の眠る女性の前に立っていた。
「……松原提督、あなたの仇をとれるかもしれません」
松原コノハ。舞鶴鎮守府の提督だ。今は半グレの暴行により、寝たきりとなっている。
「提督にも会ってもらいたいのです……早く、起きてください」
そう言って、加賀は拳を握りしめた。
広間。
舞鶴鎮守府所属の艦娘達が集められていた。
「ねぇ、なんでここに集められたの?」
「分かんない。なんでだろ」
そこへ、伊勢がやって来た。
「皆、注目! お知らせがあるわよ!」
そして広間に入ってくるのは、数人の男達。
「今日からここで皆と過ごすことになった『裏神』の方々よ!」
困惑する艦娘達。
そして、壇上へと上がる香坂。
「皆様、はじめまして。私、裏神トップの香坂慎太郎と申します」
彼は艦娘達を見渡す。やはり、全員が何かしらの怪我をしていた。
「私達は、あなた方が半グレの被害に合っていると聞きました。毎日怯えてすごしていたら、本業の戦いに支障をきたすでしょう……そこで、私達は半グレを撃退し後方支援を行いと感じ、ここに留まらせてもらうこととなりました」
少し表情が明るくなる者がいた。しかし、彼らを疑うものもいた。
「……信用できないね」
声を上げた一人の艦娘。
「き、北上さん? ちょっと……」
近くにいた者達が宥めようとするが、彼女はその声を遮った。
「あんたら、どう見たって一般人じゃないでしょ。いきなりやってきた怪しい奴を信用できるわけない。半グレのスパイだったりしてもおかしくないよね」
「ちょっと北上……」
伊勢は迷いながらも彼女を注意しようとする。彼女の話も決して間違いではないからだ。しかし、香坂はそれを止めた。
「いいですよ……いきなり信用してくれるとは思っていません。ただ、親睦は深めたい……そこでです。辰巳、あれを」
辰巳が持っていたのは、大きめのクーラーボックス。それを開けると、中に入っていたものを取り出した。
「信用してもらわなくてもいいんです。仲を深めたいのです。こちら、神戸牛となります」
そして、タンタンがバーベキュー用のセットを持ってきた。
「というわけでバーベキューをしようと思います。自由参加ですので食べたい人は集まってください」
そして、彼らは庭へと向かっていった。
「……何がバーベキューさ。そんなんで釣られるもんか」
確かに最初は他の艦娘も迷っていた。だが、しばらくして漂ってきた肉の匂いにつられ、何人か外へ出ていってしまった。
北上がちらっと外を見ると、そこには楽しそうにする艦娘と裏神の面々がいた。
「………」
そこへ、伊勢が近づいてくる。
「まあ……無理に信じなくてもいいよ。確かにちょっと謎めいた人達だし」
彼女はそう言って苦笑いした。北上は鼻を鳴らすと、その場からさった。
庭。
大勢が神戸牛バーベキューを楽しんでいた。
「ん! 美味しい!」
「こんなお肉食べたことない!」
「皆さまが喜びそうな肉を、この烏丸が選びました」
和気あいあいとした雰囲気……しかし、それは誰かに見られていた。
「なんだぁ……艦娘の奴ら、呑気にバーベキューだと?」
「荒らしてやるか?」
近くを通った半グレが、その光景を目撃したのだ。彼らが殴りこもうとしたその時。
「待て、あそこの男達を見ろ」
サングラスをかけた男がその後ろに現れた。
「うおっ、備瀬さん!」
備瀬と呼ばれた男は、裏神メンバーを指さす。
「あそこにいる者達は只者ではない。今突撃するより、本部に戻り報告したほうがいい」
そして、彼らはその場から去った。
半グレとの戦いの戦況は、裏神の参戦により激変していく……。