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目が覚めた自分は立っていた。
「…………え」
そして、自分の手には血がびっしょりと__
「うそだ……」
そしてもう一つ。
__目の前にはヒロスケの首が置かれていた。
うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘うそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそうそありえない嘘!!!!
あたり一面真っ白なヒロスケの羽が散らばっていて
厨房のキッチンには羽と首がない血のしたたる大きな肉の塊。
「ゆ、夢だ……さっきのが現実なんだ」
「夢じゃありませんよ35番」
「っ!!」
「わざわざマスターが来てあげたのですよ?まずはお礼をしなさい」
「お前が____」
「はい?」
「お前がヒロスケを!!!」
殴り掛かろうとしたが魔法によって足に電流が流れ顔から転倒する。
鼻血が流れるが気にせずすぐに立ってまた殴ろうとするが今度はあばら骨が折れた様な激痛が走った。
「ぐ、が……」
「哀れですね、マスターに対して暴力が許されるとでも?」
「ごろじでやる」
「あのベルドリの様にですか?」
「っ____!!!!!」
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!
「ぐ、ぎ……ぐ」
「ほう?此方にまだ向かってくるとはアナタの身体には今全身の骨を折られたのと同様の疑似的な痛みがあるはずですけどね……」
死んでもいいからコイツは殺さないとダメだ!!!!
「お前だ!お前しかあり得ない!お前は絶対に殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!」
俺はこいつが許せない!
「殺したのはアナタでしょう?此方のせいにしないてください?」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!俺を魔法で操ったな!ヒロスケを……ヒロスケを殺したのはお前だ!」
「口が悪いぞ、35番。今まで隠してたのか?」
「関係ないだろ!答えろ!」
「しつけが必要ですね」
「っ!?!?ガ、アァァアア」
熱い熱い熱い熱い熱い!身体全身が熱い!
焼ける!焼けている!
痛い……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
誰かが何か鋭利なもので俺をみじん切りの様に切り刻んでいる!
「グググ……ガ、痛い痛い痛い痛い!」
「ここから先はもう許しませんよ、あまり変な癖がつくとお客さんに迷惑がかかりますからね」
くそ、が!
「はぁ……はぁ……じゃぁお客さんに残念でしたって伝えとけ!」
「ちっ、まだ理解してない様だな。ほら、もっとキツいのいくぞ」
「グァぎぎぎぎぎぎぎぎ、や、やめろぉ!ぐぞがぁ!」
「どれくらい持ちますかね、35番。」
「ガ、ぴぎぎぎぎ痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い」
し、死ぬ、このままじゃ!
死ぬ!死ぬ!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ痛さで!熱さで!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
………死ぬ?……もぅいいや……
「……ぐ……ぐ…………」
「おや?身体が痙攣して反応がなくなりましたね?魔法はまだ続いてるはずだが……壊れたか?」
……こんなに辛いことばかりなら、死んだ方がマシ……
「おーい?35番?」
「……死んでやる」
「ボソッと言っても聞こえませんよ」
……母さん。
……父さん。
……ヒロユキ……ごめんよ。
もう無理だ……耐えられない……
包丁……ある……
「どこにいくのですか?なるほど」
あ、血がついてる……
ごめんよ、ヒロスケ……
どっちの世界の天国に行くか解らないけどこっちの天国なら__
__今からすぐ会いに行くよ。
……
「な、なんで……」
俺の意思とは裏腹に包丁をもった手は首の手前で止めていた。
体の自由が効かない。
「残念でしたね、奴隷がまず思いつくのは自殺です、それを対処しないわけがないでしょう?」
そ、そんな……それじゃぁ……
「自分で死ぬことも……出来ない?」
「そう!その顔ですよ!全てに絶望しているその顔!いい奴隷になりましたねぇ!」
「ぁ……え……」
全て自分の何もかもが粉々に砕け落ちる感覚がした。
考えも。
身体も。
心も。
口の動かし方も忘れ声さえも出ない……
「訓練はクリアです、次の案内が来るまでゆっくりと休んでいてください」
マスターは帰っていく……
「…………」
奴隷……
俺は……奴隷……
「__________っ」
俺は言葉にならない叫び声を喉が潰れるまで絶望に呑まれながら叫んだ。