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第2話「碧い門と赫の影」
📷 シーン1:星峰特区の闇
乾いた風が吹き抜ける廃れた街路。建物のほとんどが瓦礫と化し、壁には碧族に対する標語が赤い塗料で塗りたくられている。
ナヴィスは、ボロ布をまとった風のフード付きコートを着ていた。無造作な銀髪は隠れきらず、青い瞳だけが街の色とは明らかに異なっている。
その隣を歩くギアは、レンズ付きのゴーグルを目にかけ、メカパーツが露出したコートをひらりとなびかせていた。彼の手元には小型のデバイスと、碧いエネルギーが内蔵された「碧いとびら」の試験ユニット。
「ここの空気、マジで嫌いだな。埃も多いし、腐ったフラクタルが漂ってる」とギアがぼやいた。
「でも、それでもここに人がいる。生きてる人が、助けを待ってる」とナヴィスは静かに返す。
📷 シーン2:赫察総局の罠
「ナヴィス、熱源感知。南東30メートル、移動中」
耳元に、すずかAIの冷静な声が流れる。
「兵士か?」
「2体。赫察総局所属と推測。武装は軽装。戦闘態勢に入っています」
「なら、こっちも迎え撃つさ」
ナヴィスはコートの内側から小型フラクタル発射ユニットを引き抜いた。碧色の紋が浮かび上がる。
「《フォールトシフト》」
一瞬にして彼の姿が歪み、別の角度へと再出現する。その直後、赫察の兵士が放った閃光弾が虚空を裂いた。
「っ、もう撃ってきたのかよ」
ギアが舌打ちしつつ、腰の装置を起動。
「《クローク・ファントム》」
彼の身体が半透明になり、赤外線にも感知されない隠密状態に。
赫察の兵士はすぐに気づかぬまま接近される。次の瞬間、ナヴィスが正面から飛び出す。
「《リバースバリア》!」
撃ち出された弾丸が碧色の壁に反射し、逆に兵士の脚を貫く。
「こっちは本気だぞ、赫共産部隊の犬ども!」
ナヴィスが叫びながら跳躍し、もう一人の兵士に拳を叩き込む。
「《スカイライン・ドライブ》!」
碧い軌跡を描いた飛び蹴りが炸裂し、兵士は地面を転がって動かなくなった。
📷 シーン3:碧いとびら、開放
ギアが倒れた兵士の近くに駆け寄り、端末を操作する。
「時間がねぇ、ナヴィス。碧いとびら、使うぞ」
「了解。付近の生存者には?」
「こっちに二人。カムリン族だ。戦闘で動けねぇみたいだが……行けるか?」
「やるさ。俺の背中に背負ってでもな」
ナヴィスは、瓦礫の隙間から顔を出していた少年をそっと抱き上げ、ギアの開いた扉へと駆ける。
「《碧いとびら》、転送開始——」
扉がゆっくりと開き、青白い光が瞬く。その中に、ナヴィスと少年の姿が飲み込まれていく。
——だが、扉の向こうにはまた、新たな戦場が待っている。
次回 → 📷 第3話「赫の眼が光る夜」