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「言いたくないかもしれないけど…………離婚の原因は……?」
様子を伺う純に、恵菜は乾いた笑みを貼り付ける。
「私……結婚していた頃、今よりも二十キロくらい太ってて……」
「ええぇっ!?」
彼女の容姿から想像もつかない言葉が飛び出し、再び大きな声を発してしまった彼。
「私が激太りした事で、元夫は、私を女として見られなくなって…………高校時代の後輩の女と……不倫…………してたんです……」
恵菜の言葉に、純は内心ギクッとしてしまい、表情が崩れないように耐えた。
待ち合わせの時に見た、彼女の訝しげな表情。
運が悪く、セフレだった女に声を掛けられた。
恐らく恵菜は、純も元夫と同じように、他の女にも手を出している、女癖の悪い男と思っているだろう。
(不倫が原因ならば……俺みたいな男は…………警戒するよなぁ……。けど、こんな俺が……彼女に惚れてしまったんだよなぁ……)
恵菜は、コーヒーカップに砂糖とミルクを入れ、スプーンでくるくる回している。
虚ろな瞳の色で俯きながら、当時の結婚生活について、話を続けた。
激太りした恵菜を見兼ねた義母が、ダイエットした方がいい、と言い続けた事。
彼女だけならまだしも、電話で恵菜の母にも同じ事を言い、元夫は、彼女の事を陰でブタ呼ばわり。
「いくら何でも…………ひどいな……それ……」
彼女と少しは打ち解けられたのだろうか。
気付くと、純は、素の状態で恵菜と会話している。
「姑に言われて、色んなダイエットを試しましたが、全然体重が減らなくて……」
「でも相沢さん、今は、かなりスマートなのでは? 何かきっかけがあったとか……?」
その後に続く恵菜の話は、純の想像を絶するものだった。
元夫の不倫と、姑に痩せろ、と言われ続けていた彼女。
全く体重が落ちなくて、心が板挟みになっている時。
食べ物を見ると吐き気がして、食事ができなくなったという。
水分とヨーグルト、サラダは一口分しか受け付けない身体になってしまったらしい。
「…………」
恵菜の状態を聞き、純は愕然とした。