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19話 近いのに遠い人
逢坂くんに「もう教えることはない」、と言われてから数日が経った。
しかも笑ってしまうくらい、何事もなく普通の日常が過ぎていく。
私と逢坂くんの関係も、飲み会の前のような距離に戻った。
それもただの同期で特別仲が良かったわけでもなく、仕事上でしか会話しない私たちに。
（周りが誰も私たちのことに気づかないのがいい証拠だよね……）
こうなりたくなくて逢坂くんに好きと言わなかったのに、結果としてこうなってしまったことが私の胸を切なく締めつける。
そんな毎日の中でひとつだけ大きな出来事があった。
逢坂くんと会議室のことがあってから一週間ほどが過ぎた日。
高野部長の異動の話が、朝礼の場で正式に皆に伝えられたのだ。
「皆、ずっと気にさせていて申し訳ないね。再来月に新しい支社の立ち＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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