ガチャ
「仕事疲れた…」
ぼそっと誰にも聞こえないような声で呟く。
できるだけ音が鳴らないよう配慮し、そっとドアを開ける。
普段より、随分と帰りが遅くなってしまった。
日付が変わってしまっている。
「ロボ太は寝てるか…」
最近、ロボ太不足で死にそうだ。非番の日はたくさんかまおう。
「あれ?電気……、ついてる?」
もしかして侵入者?と胸をどくどくと鳴らしながら部屋に入る。
「あ」
なんだ、ロボ太か。と、机に突っ伏すように寝ている弟の姿に胸を撫でおろす。仕事柄からか、こういうことをよく考えてしまう。
「ん、紙?」
寝ているロボ太のそばに、1枚の紙が裏返して置いてある。それを、何も考えずに表へ向ける。
「……これ」
絵だ。きっとロボ太が描いたのだろう。
絵の中ではスカーフをした男の人と、黄色い服を来た男の子が仲良く手を繋いでいた。
『兄さんお誕生日おめでとう』
と、不恰好な字で書いてある。
あまり、上手とは言えないのかもしれない。
でも、今まで見てきた中で、一番素敵で、綺麗な絵だった。
「(うるっ)」
嗚呼、駄目だな…
最近疲れていたのもあって、涙腺が緩くなっている。
せっかくの絵に涙が溢れないよう、すぐさま袖で目を擦る。
そして、絵をそっと元の位置へ戻す。
自分、誕生日なこと忘れてたな。
「ふふっ…ありがとな〜ロボ太」
ロボ太をそっと抱きかかえ、ベッドへと運ぶ。
「おやすみロボ太」
そっと、栗色の髪を撫でた
ロボ太Side
「え?誕生日の祝い方が知りたい?」
「うん」
天乃ロボ太は、同級生を尋ねていた。
なぜなら、明日は兄の誕生日である。
「心ないロボロがお祝い……www」
「あるわ!!!笑うな!!!」
「誰をお祝いしたいん?」
「絵斗兄さん」
「ああ!あのかっこいいロボロの兄さんか!!!」
「たしか刑事やっとるんやってな」
そう、兄は刑事である。毎日、遅くに帰ってくるのに家事もこなしてくれるし、すごすぎて逆に心配であった。
「今さらなんやねん。毎年祝ってたんとちゃうん?」
「そうやねんけど………」
「?」
「なんか、わからんくなってしもて…」
「ほぇ〜」
皆、少し考える気になってくれたようだ。
「はいはい!!!なんか食べもん作ってやったらええんちゃうか!!」
緑色のパーカーを着たゾムが、元気に声をあげる。
「お前は食害したいだけやろ」
と鬱がツッコむ
「え〜なんかピアノでも弾いたったら?」
「ええやん。お前も兄さんもピアノ好きやろ?」
「たしかにめっちゃええねんけど……」
トントンが言う。
しかし、言葉を濁す
「兄さんの誕生日明日やねん。練習する時間ないわ…」
「あ、明日ぁ?それはやばい」
そう、ほんとうに時間がない。
「あああどうしよ………」
すると、鬱が少し考えてから言葉を発した。
「絵でも描いてあげたらどうや?」
「絵ェ?」
あまりに幼稚な答えに2度聞きする。
たしかに昔、小学生になっていないか、低学年かで、絵は毎年のようにあげていた。
「あー、ええもな…」
「え゛…トントンまでぇ…」
唯一のまとも枠、トントンさせ言い出してしまうのだからこの世の終わりだ。
「さすがに幼稚すぎんか?俺もう小6やで?」
「お前はまだ幼稚園児みたいなもんやろ 」
多分身長のことを言っているのだろう。気にしているからやめてほしい。
「うっさいわ。これからデカくなんねん」
「まぁ、ちょっと祝い方幼いか?」
と、ゾムが俺の話をガン無視して言う。
「ちっちっち。わかってへんなぁ…その幼さがええねん。」
「はぁ?」
「疲れた心に、そういう懐かしいのが染みるんよぉ…」
何かそれっぽいことを言い出した鬱に少し納得してしまう。それに捏島が付け足す。
「そうそう。それに、ロボロのとこの兄さんは、ロボロが何しても喜んでくれると思うで…」
ロボロんとこの兄さんお前のこと大好きやもんな!!wと、元気に言葉を続ける。
だが、そこからは、寂しさと、何か色々な感情が混ざっているような、変なものが捏島からは少し、感じ取れた。
つまり捏島は変ということだろう。
「 なるほど…ありがとうな!お前ら」
「おう!なんかあったらまた言えよ〜」
「ありがとうな!」
「ん…」
朝だ。朝…どうやら寝ていたようだ。
ふと、場所に違和感を覚える。
昨日は机で寝落ちしてしまったのに、今俺がいる場所はベッドの上だ。
台所のほうからいい匂いと、綺麗な鼻歌が聞こえてくる。
「絵斗兄さんおはよぉ………」
眠たい目を擦りながら挨拶をする。
「お!ロボ太おはよ!!」
朝から元気だなぁと、大きな声に関心する。
そんなことより、確認しなきゃいけないことがある。昨日描いていた絵を、絵斗兄さんに見られていないか心配だったのだ。
あいにく、昨日と同じように机の上に裏向きに乗せてあったのでほっと胸を撫でおろす。
紙をそっと手に取る。
毎年していたことだけど、なぜか今年はいつもの何倍も恥ずかしい。緊張する。
ふーっと息を吐く。
「かっ、絵斗兄さん!!!お誕生日おめでとう!!!!!」
「…」
目を大きく見開いて、ぱちくりと何回か瞬きをする絵斗兄さん。
兄さんにも聞かれてしまうのではないかと思うくらい心臓がばくんばくんと鼓動する。
「ロボ太ぁぁ〜〜〜〜〜(泣)」
「えっ…えっ」
言葉を待っていると、まさかの突然名前を呼んで泣き出してしまった。
「に、兄さん!?どうかしたの??」
「うれしすぎて…(泣)」
「えぇ…w」
困惑しながらも、内心嬉しかった。泣き出すほど喜ばすことができたのだから。あいつらに、お礼言わないとな。
「ありがとな!ロボ太」
「うん!!」
暖かい手が頭をふわりと撫でる。
喜びと照れで顔が暖かくなるのが分かる。
「よーっし!朝ごはん食べよっか!!」
「やったー!」
「今日兄ちゃん非番だから学校迎え行くな!」
「はーい! 」
「あ!そうだ…この絵額縁に飾らないと!!えーっと…amazonでっと……………」
「兄さぁん!?」
絵斗Side
ロボ太を学校へ迎えに行く道中だ。
我ながら、いい演技だったかなと思う。
演技と言っても、うれしさで泣いたのは本心だし、絵を先にみてしまったことを偽っただけだ。
朝から口角がずっと上がりっぱなしだ。
何度もロボ太が言ってくれたお祝いの言葉を思い出しては暖かくなっていた。
元気な子どもたちの声が聞こえてくる。
「お。刑事サーン〜今日はご機嫌ですか〜?気持ち悪いくらいにこにこしちゃって〜」
校門近くで聞き慣れた声が聞こえてきた?
この学校の教師であり、親友の猿山らだおだ。
「うっせぇ!!逮捕するぞ!!」
「それはちがくない?w」
2人で笑い合う。
「あ!ロボロのお兄さん!!!」
「ほんまや!」
「こんにちはー!」
と、ロボ太の同級生の子がこちらへやってくる。
その中にはロボ太の姿もあった。
「兄さんただいま!」
「おかえり〜ロボ太〜」
「お兄さん聞きましたよ!ロボ太からの誕プレが嬉しすぎて泣いたんですってね〜〜」
ニヤニヤと捏島に話しかけられる。
少し顔を赤くしながら答える。
「なっ!!ちょっと〜言わないでよロボ太ぁ〜」
「ごめんって兄さんw 」
「じゃあな猿ゥー!!」
「らだお君またねー!」
「せんせーまた明日っ♡」
「先生さようならー」
「お前らなぁ……w」
個性が出るなぁと、にこにこと見守る。
「せんせー!!さようならー!!!」
と大きな声で言うと「近所迷惑」と軽く小突かれる。
「じゃあまた明日〜気をつけて帰れよ〜」
「はーい!」
「じゃあロボ太、このでっかい子供をしっかり見守っといてやってな」
「誰が子供だ!!」
「刑事さん置いて行っちゃいますよ〜!!」
「はやくはやくー!」
「なっ!?もうあんなとこまでぇ…」
らだぁとじゃれてるうちに、子どもたちが先の方まで行ってしまってる。ロボ太がそれを追う
「じゃあな。らだ」
「おう。”また” な」
キキッーーーーーーーーーーー_____
ら_ぁ
ロ__
ごめん
“また”が来るはずだったのにな
ゴトッと、棚に立て掛けていた額縁を手に取る。
しばらく触れていなかったので、薄く埃が付いてしまってある。それを手で軽くとると、額縁から絵を出した。
「ごめんな………ロボ太……………」
絵の中ではスカーフをした男の人と、黄色い服を来た男の子が仲良く手を繋いでいた。
『兄さんお誕生日おめでとう』
と不恰好な字で書いてある。
「いつまでも手、繋いでたかったなぁ…」
「来年は、また祝ってくれる?」
ぽつ、ぽつ、と
絵に雫が落ちる。
「これじゃあ、雨が降ってるみたいだな…ロボ太…………」
返ってくるのは沈黙だけ。
「ロボ太…」
虚空の中、弟の名前を呼び続けた。
どうしても不穏が入れたくなってしまうッッ!!
ほのぼのも書きたいなぁ
そういえば!!ぺいんとさん誕生日おめでとうございます!!!大遅刻ですね!!はい🥲
天乃兄弟が書きたくて、せっかくならぺいんとさんが誕生日だったのでこんな感じにしてみました!!
絵斗は、絵の中のように過ごせることが当たり前だと思っていてみたいですね。
雨が降る日だってあると思います。
なんか納得いかない………
意味不なところとか多いと思うんで、分からないとことかなんやこれっていうとこはコメントで質問とかしていただけるとお答えします!!
色々とご想像におまかせします☆
前回いいね500ありがとうございました!!!
想像以上のいいね数だったのでとっても嬉しかったです🥹
今回もいいねコメントしていだけると嬉しいです!!!
時間とモチベがないのでいいね制にさせてもらいます!!すみません😭
次回……♡250
コメント
2件
不穏の書き方上手すぎな? 私の語彙力足りてないから神より上を表せないじゃん…! どうしてくれるの!(?) (まとめ:ぽぷらは神以上の天才)