第7話やる気スイッチが強制すぎて勉強しすぎてダウン
「うおおおおおおお!!!」
教室の一角で、水地燃が机にかじりつきながら、猛スピードでノートに数式を書き殴っている。
「すっげえ……燃、どうしたんだよ。」
目蒲がメガネをクイッと上げながら、隣のジグマと顔を見合わせる。
「完全に火がついてるな……まるで別人のようだ。」
「いや、まさに火がついてるんだけど。」
目蒲は、水地の頭の上でバチバチと燃え盛るファイアを指さした。
「やる気スイッチ、入りすぎだろ……。」
「計算! もっと! 解きたい!!」
水地はシャーペンを握りしめ、鬼のような形相でノートに向かう。
「おいおい、大丈夫か?」
目蒲が声をかけるが、ファイアはニコニコしながらしっぽをフリフリ。
「だいじょーぶ! だいじょーぶ! やる気って最高でしょ?」
「いや、やりすぎは危険って言葉を知らないのか……?」
「このままいけば、テストで満点取れるぜ!!」
「でもこれ、やめどき分かんなくなってない?」
「やめるなんて、もったいない!! もっと勉強!! もっと燃やせ!!」
ファイアがパチパチと火花を散らしながら、さらに水地のやる気を煽る。
「うおおおおお!!!」
水地の筆記速度がさらに上がる。ノートがめくれるたびに紙が舞い散る。
「なあ、ジグマ……」
「……うん、これはちょっとまずいな。」
目蒲とジグマは顔を見合わせ、静かにうなずいた。
「よし、消火活動だ。」
目蒲が深呼吸し、ファイアに向かって言い放った。
「ファイア、やる気スイッチオフにして!」
「……え?」
ファイアの表情が固まる。
「オフ??」
「そう、やめさせるの!」
「えっ、スイッチって……オフにできるの??」
「「できねぇのかよ!!!」」
目蒲とジグマが同時に叫ぶ。
「ちょ、待て! じゃあ、どうすんだよ!?」
「うーん……やる気が尽きるまで待つ!」
「それがヤバいんだって!!」
目蒲が慌てて止めようとするが、時すでに遅し――
バタンッ!
水地が机に突っ伏して、動かなくなった。
「……限界、きた。」
「やっぱりな!!!」
目蒲が頭を抱える。
「うーん、頑張りすぎたね。」
ファイアがしょんぼりとしっぽを揺らした。
「だから言っただろ! ほどほどが一番なんだよ!!」
「ご、ごめん……次からは、もう少し加減する……。」
「いや、次もやる気スイッチ入れる気満々じゃねぇか!!」
こうして、やる気スイッチの暴走は幕を閉じた。
だが、この後、水地がやる気スイッチの影響で体力を使い果たし、翌日のテスト中に爆睡してしまったことは、また別の話である……。
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