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わあ、亜佑美が朝陽くんを家に招いてご飯を作るなんて…! 二人の距離が静かに縮まっていく感じがたまらなく可愛いです。特に「大切な友人」というSNSの下書きを見せながらも確認を求める朝陽くんの真面目な一面と、その言葉に胸がくすぐったくなりつつも物足りなさを感じる亜佑美の複雑な心境が絶妙でした。最後の着信、気になりますね…! 続きが楽しみです🤍
「その、パンケーキ食べたの遅かったからお腹空かなかったじゃない? でも、流石にお腹空いてきたなって……」
亜佑美は指先をぎゅっと握りながら言い訳をするように続ける。
「それに、結局お礼出来てないし、これ以上どこかへ連れて行ってもらうのも申し訳ないし……藍島くんが良ければ、なんだけど……家でご飯、食べない? 有り合わせにはなっちゃうけど作るから」
予想もしていなかった誘いだったのか、朝陽は目を丸くした。
「良いんですか? でも、これから作るなんて大変じゃ……」
「ううん、全然!」
慌てて首を横に振る亜佑美。
本来なら付き合ってもいない男を簡単に部屋へ上げたりはしないけれど、朝陽はこの前看病に来てくれた時に既に一度部屋へ上がっている。
それに何より、彼は他の男たちのような下心を持っている人ではない――亜佑美はそう信じていたからこそ、家へ招くことへの躊躇いは不思議な程無かった。
一方で朝陽は暫く固まったように亜佑美を見つめた後、隠しきれない嬉しさがそのまま浮かんだように満面の笑みを見せた。
「その、それじゃあお邪魔します!」
弾んだ声に亜佑美の胸までくすぐったくなる。
「うん」
亜佑美も小さく笑い返すと、朝陽は急いで車を駐車場へ停め直し、エンジンを切って二人で車を降りる。
夜風がふわりと吹き抜ける中、並んでマンションのエントランスへ向かうその時間が、亜佑美にはどこか特別に感じられた。
部屋へ入ると亜佑美は靴を脱ぎながら振り返る。
「適当に座ってて。すぐ作るから」
「はい……あ、俺も何か手伝います!」
律儀にそう言いながら後を追いかけてきた朝陽に亜佑美はくすりと笑った。
「大丈夫だよ。そんなに時間かからないし」
「でも……」
「今日はいっぱい運転してもらったから、藍島くんは休んでて」
そう言われてしまえば強くは出られなかったのか朝陽は、「分かりました……」と少し名残惜しそうにしながらも素直にソファーへ腰を下ろした。
その姿を横目に亜佑美は冷蔵庫を開ける。
「えーっと……」
中を確認し、続けて冷凍庫、更にはパントリーまで覗き込む。
使えそうな食材を頭の中で組み合わせながら、ふと思い出したようにリビングへ声を掛けた。
「藍島くん、苦手な物とかある?」
「無いです! 何でも食べられます!」
その返事に少し笑みを零しながら亜佑美はキノコや玉ねぎ、ベーコンを取り出していく。
(すぐ作れるなら……やっぱりパスタかな)
メニューが決まれば早い。
キノコの和風パスタと、簡単なオニオンスープにしようと頭の中で思いながら、慣れた手つきで鍋に火を掛け、玉ねぎを切り始める。
じゅわっとバターの溶ける音と香ばしい匂いが部屋へ広がっていく中、ソファーに座る朝陽は静かにその様子を眺めていた。
やがてスマートフォンを取り出すと、何かを打ち込み始める。
その姿を亜佑美はちらりと盗み見た。
(……誰かとメッセージのやり取りでもしてるのかな)
友人か、仕事関係か、それとも……考え始めると妙に落ち着かなくなる。
自分には関係ないことなのに胸の奥がそわそわして気が気ではない。
そんな気持ちを振り払うように亜佑美はパスタを湯切りし、フライパンへ加えていく。
醤油とバターの香りがふわりと立ち上る中、スープの方も完成し、亜佑美は手を止めて食器棚からお皿を取り出すと、お皿の音が聞こえたことで顔を上げた朝陽はすぐに立ち上がる。
「凄く美味しそうな匂いですね! 俺、運びます!」
「あ、ありがとう」
こうして二人で料理をローテーブルへ並べ、向かい合わせに座った。
「いただきます」
「いただきます!」
挨拶をするとすぐに、朝陽はパスタを一口頬張り次の瞬間、ぱっと瞳を輝かせた。
「美味しいです!」
「ふふ」
その反応が可愛らしくて亜佑美の表情も自然と和らぐ。
「ごめんね、有り合わせだから、簡単な物しか作れなくて」
「え!? 全然です! 俺、パスタ好きなんで嬉しいですよ!」
「……そっか」
その言葉が嬉しくて亜佑美の胸の奥がじんわり温かくなる。
そこから暫くは穏やかな時間を過ごしながら、二人はゆっくり食事を楽しんでいく。
そして、食べ終えた直後だった。
「あ、そうだ」
何かを思い出したように朝陽が声を上げてスマートフォンを取り出すと、「これ……」と亜佑美へ画面を向けた。
「こんな感じでSNSにアップしようかなって思うんですけど……大丈夫でしょうか?」
「SNS?」
管野アリオ
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亜佑美が覗き込むと表示されていたのは朝陽のアカウント画面で、投稿記事の下書きらしく、そこには昼間食べたパンケーキの写真と共に、
『今日は大切な友人と、パンケーキが人気の喫茶店へ行きました!』という文章が添えられていた。
(……大切な友人)
その言葉に胸が少しだけくすぐったくなる。
嬉しいと思う反面、どこか物足りない。
そんな複雑な感情が頭を過ぎるけれど亜佑美は表情には出さず小さく微笑む。
「うん、問題ないと思うよ」
そう答えると朝陽はほっとしたように笑った。
「……あ」
そこでふと、亜佑美は先程から引っ掛かっていたことを思い出す。
「もしかしてさっきスマートフォン触ってたのって……これ書いてたの?」
それとなく尋ねると朝陽は少し照れたように笑った後、
「はい! その、投稿するの初めてだから木葉さんに確認してもらいたくて」
真面目な顔でそんなことを言うものだから亜佑美は思わずクスリと笑ってしまう。
「全然変じゃないよ」
「本当ですか?」
「うん。むしろ藍島くんっぽい」
「俺っぽい……?」
不思議そうに首を傾げる姿が妙に可笑しくて、亜佑美はまた小さく笑った。
「ふふ、何ていうか、ちゃんと丁寧な感じが」
「えぇ……」
照れ臭そうに視線を逸らす朝陽を見ながら亜佑美は、「それじゃあ私も投稿しようかな」とスマートフォンへ手を伸ばしたその瞬間に着信音が鳴った。