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【ラヌスの世界】 作 夢宮 楓
『無理だ、到底、無理だ、なぜ書けるのだ……なぜ!』
僕が追っかけている【ラヌス】
彼は有名な名言を言った人物だ。
けれど彼は売れない作家でもあったのだ。
そんな時、彼はある筆をとった。
『私は、売れないのだろうか……、けれど私の中にある私の世界は私にしか書けないものだから、私は書くよ』
そう親戚に送った手紙、それこそが後に、彼の名言になった。
彼の書く、世界は、独特で、確かに彼しか書けないものだ。どんな世界か、言い表すのが難しい……唯一説明できるといえば、彼は想像の中の恐怖を再現できるのだろう。
彼の実体験なのか……と、思わす、文章。
彼の文章は、人物にきっと影響を与えると言っても過言ではないと僕は思った。
僕は彼がなぜ、売れなかったのか……
彼の書く世界は、リアリティー、そう、いえばもうすぐその場でおこるような、現実の恐怖をそのまま描写してある。殺人犯が殺人をおこす、それは当たり前か?それは当たり前ではない。彼は現実でおこりそうなことをフィクションだと思えないぐらい、リアルに理解できない犯人目線で書いてあるのだ。犯人の気持ちを理解できないと言われているが……その通りだ。わからない……、けれど彼達は普通のことをしているつもりなのだろう、だからこそ怖いのだ。それをうまく表現している彼は僕は素晴らしい……そう思った。だからこそ、彼は売れなかったのだろう。
彼の望んだ、世界は、世界に認められず、ただ彼は、書きたい世界を書いていった。
彼は人間を知り、人間はどんな動物か伝えたかったのではないかと、勝手な憶測をすることを僕はやめることができずにいた。
【そばにいることがどんなに幸せか】
僕が彼と言う人物を知ったきっかけの作品だ。
内容は、別れた元恋人の彼女が、別れているという現実を受け入れず、未だに付き合っていると思っている。そして彼の家へ、平気で上がったり、料理を作ったり、彼を家で待っていたり、彼が新しい彼女を連れているのを見かけた時は、『なんで浮気するの?……私のこと愛してるんでしょう?前に言ったじゃない』という手紙を送ったり、ある意味、ストーカー行為を無意識ですると言った内容だ……。この作品は僕にとって衝撃的な話だったのだ。
この話を僕は怖いと感じたのだ。
彼女はストーカーの犯人そのものだ、だが別れていなければ、彼女は、普通のことをしているだけだからだ。怖い?……確かに怖い、だがこれは本当に悪いことなのか?と思わせるような、ある意味、犯人が悪いという感覚よりも、自分達がおかしいと感じさせるような文章で、僕はとても面白いと感じた。
犯人目線、それが彼の世界をつくっている。
彼が言いたかったのは、ある正義だと思っていた1つ考えをまだ違う目線でその考えを考えると、自分がその犯人にもなれてしまうということを言いたかったのだろうか……。
僕はラヌスが求めた、人間同士の恐怖。
僕は今、彼が残した最後の作品を読んでいる
それはラヌスが、生前、考えていた気持ちを全て書いた、ラヌス自身の思いを込めた作品。
私は認めていた。
いや、正しくは認めてほしかった……。
誰でもいいから、自分を認めてほしかったのだ。
そんな願望さえも、人間らしいと感じる。
私はこの気持ちを作品にしよう……。
【ラヌスの世界】
それがラヌスがラヌス自身について、作品について色々と考えを残した。
僕の、私の、最後の作品だった。
終
【作品について】
……これは、最後まで読んだ方でもわかってもらえるか、微妙な話だと思いますが、これは、ラヌスが最後の作品を読んでいるって言う話です。
ラヌスは最後に自分の作品を、別の人物として客観視して書いた文、それが【ラヌスの世界】という最後の作品だったというもの。(自画自賛してるところもあるけれど、それはそう思いたかったという、ラヌス自身の思いです。
【登場人物】
主人公(男性)(ラヌスの小説を素晴らしいと評価している1人の青年(ラヌス自身である)ある意味ラヌスは人として認められたかった。そういう部分の願望を込めてラヌスの世界を書いたのかもしれない)
ラヌス(男性)(主人公が評価している作家がラヌスであり、その主人公はラヌス自身でもある。ラヌスの世界という作品を書いた、その後、独り身で癌で亡くなる)