「学ラン君、ちょっとだけ話しましょ」
そう言ってさっちゃんはドアに背を預けてゆったりと腕を組んだ。
そんな動作の一つすら、なぜか 洗練(せんれん)されているように思える。
彼のスタイルが良いからだろう。
俺達の会話はみんなにもきっと聞こえている。
それでもさっちゃんは「俺」と話したがった。
「本当はさ、傍にいてあげたいのよ。前も言ったかもしれないけど、学ラン君、私の恋人に良く似ててね。まあ、顔立ちって言うか、性格かな。ううん、言動かな」
「前の、恋人……でしたっけ」
さっちゃんが少しだけ悲しそうに笑みを深める。
「そうなのかもしれないわ。でも、今でも私の恋人は……彼だけ。次の駅に取り残してきた、 祐樹(ゆうき)だけよ」
俺はじっとさっちゃんの眼を見ていた。
「私ね、本当はもう結構長いことこの電車に乗ってるの。最初は祐樹と一緒に乗り込んだ。******************
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