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第2話:壊れていく日常
7月31日
外のセミの声がうるさいのに、急にぜんぶ止まった。
時計の針も止まっていた。
その間、ノートのページがひとりでにめくれた。
風なんてふいていないのに。
8月3日
夜中に夢を見た。
天井から黒い手がのびてきて、ぼくをつかもうとした。
目をさましたら、本当に天井に黒いしみがあった。
朝になっても、そのしみは消えてなかった。
⸻
病室
8月6日
病院にいる。
白い天井、白い壁。まぶしいライト。
ママもパパもいない。
白い天井のしみが、だんだん大きくなってる。
そこから「おいで」って声がする。
?月?日
日付が書けない。カレンダーも時計も止まったまま。
手が勝手に動いて「かえして」って文字を書いた。
ぼくじゃない。ぼくは書いてないのに。