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#普通
野々さくら
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ありあ
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一同が事務所の中で、佐敷千秋に関する資料を探していると、不意に扉が開いた。
そこへ、一人の年配の男性が入ってくる。
「何をやってるんだ?」
突然の声に、美沙が振り返った。
「社長!?」
現れたのは、この芸能事務所の社長・武尊だった。
武は室内を見回し、見慣れない高校生たちに鋭い視線を向ける。
「それに彼らは誰だ?事務所に関係者以外を
入れるとは、佐敷くん、君は何を考えているんだ?」
「申し訳ありません」
美沙はすぐに頭を下げた。
「しかし緊急事態なんです」
「緊急?何だね?」
「Zappでの照明落下事故についてです」
その言葉に、武は「ああ」と小さく頷いた。
「ああ、君から連絡もらった件だよな?
確か摩耶を庇った高校生が怪我を負ったんだろ?」
「は、はい・・・」
「きちんと保護者には謝罪はしたのか?」
「はい、もちろんです。安全対策の
強化を約束してくれるなら
穏便に済ませると言って頂けました」
「そうか・・・ならよかった」
武は安堵したように息をついた。
「だからと言ってそのご好意に
甘えてばかりはいられないからな?
学校の送り迎えの際の交通費なども
ウチで負担しなければならん、いいな?」
美沙は少し迷ったあと、再び口を開く。
「は、はい・・それは勿論なんですが
それと別件で、ちょっと気になる事がありまして」
「なんだ?」
「三年前まで事務所に在籍していた筈の
佐敷千秋さんに関するあらゆる資料が
全て破棄されているんです」
美沙は武の顔を真っ直ぐ見つめた。
「社長は何かご存知ないですか?」
「佐敷千秋?」
武はその名前を繰り返した。
「ええ、三年前まで摩耶の
アシスタント兼マネージャーをやっていた」
その瞬間だった。
武の目つきが、明らかに変わった。
「さあ・・・知らんな」
美沙がさらに言葉を続けようとする。
「ですが──」
武の声から、それまでの穏やかさが消えた。
「私は知らないと、そう言ったはずだ
私の言葉が聞こえなかったか?」
室内に、重苦しい沈黙が落ちる。
さくらがそっと信愛に顔を寄せ、小声で囁いた。
「な、なんか雰囲気悪くない?」
「だ、だね・・・」
武はそんな二人を一瞥すると、再び美沙へ視線を戻した。
「それより、君はなぜその佐敷千秋の事を
調べているんだ?摩耶の件と何か関係があるのか?」
「い、いえ、それはまだ分かりませんけど」
「なら調べるな」
「え?で、でも──」
「社長であるこの私が調べるなと言っているんだ!」
武の怒声が事務所に響き渡った。
先ほどまでとは明らかに違う態度。
まるで佐敷千秋という名前そのものに、触れられたくない何かがある。そんか様子だった。
信愛は一歩前へ出ると、武を真っ直ぐ見据えた。
「なぜそこまで頑なに
調べさせないようにするんですか?」
武は眉一つ動かさず、冷たく言い放つ。
「無関係だからだ」
その答えに、信愛は一切怯まなかった。
「なぜ無関係だと分かるんですか?」
横からさくらが慌てて袖を引く。
「ちょ、ちょっと信愛」
しかし、武は二人を制するように軽く手を上げると、静かに言った。
「もうZappに戻りましょうよ」
その空気を変えるように、朝陽が口を開く。
「もう千秋さん本人に話を聞きましょう」
武の表情がわずかに固まる。
「ん?千秋さん本人?」
ゆっくりと朝陽へ視線を向ける。
「君・・・それはどういう意味だ?」
「あ・・いや・・それは・・・」
朝陽は言葉に詰まった。
武はさらに一歩踏み出す。
「佐敷千秋はすでに自殺していて
この世に居ないはずだが?」
「あ、いや、えっと・・・」
答えられない朝陽を見つめたまま、武はしばらく黙り込む。
やがて無言のまま振り返ると、背後のドアへ歩み寄った。
──カチャリ。
重たい金属音が事務所に響く。
武はドアに鍵を掛けた。
「社長!?」
美沙が思わず声を上げる。
武はゆっくりと振り返り、不気味な笑みを浮かべた。
「どうやら君たちには、もう少し
話を聞く必要がありそうだな」
「どういうつもりですか?」
「佐敷千秋の件を調べられると色々困るんだよ」
その一言で、部屋の空気が凍りつく。
信愛は恐る恐る問い返した。
「それは事務所が自殺に関係しているって事ですか?」
「調べるなと言ったはずだ!」
武の怒声が響く。
「それに君らには関係の無い話だろ?」
すると、さくらが前へ出た。
「はぁ?私たちの大切な友達が怪我を
負ったんだけど?全然無関係なんかじゃないし!」
朝陽も力強く頷く。
「そ、そうです!」
武尊は小さく笑った。
「ほう・・そうか・・・なら仕方ないな」
武は机の横に立て掛けられていたゴルフクラブを手に取る。
「それをどうするつもりなんですか?」
誰かの震える声が響く。
武はクラブを肩に担ぎ、何の躊躇もなく答えた。
「悪いが・・・君らには死んでもらう」
その言葉に、全員の顔から血の気が引いた。
信愛は息を呑み、美沙は信じられないという表情で武を見つめる。
「社長・・・本気で言ってるんですか?」
「ああ・・・本気だ」
武の目に迷いは一切なかった。
「あの件が表沙汰になれば、私は終わるからな・・」
さくらは呆然と呟いた。
「まじで・・・」
「バカな真似はやめてください!」
美沙の叫びにも、武は首を横に振る。
「悪いがね、私は事務所を守るためなら
悪魔にだって魂を売り払う!」
そして、ゆっくりとゴルフクラブを握り直す。
「悪いがな・・死んでくれ!」
次の瞬間、武は思い切りゴルフクラブを振り下ろした。
「やばいよこの人、本気で私たちを殺す気だよ!」
信愛の悲鳴にも似た声が響く。
「嘘でしょ!?」
さくらは後ずさる。
朝陽は慌てて出口へ視線を向けた。
「やばいですよ!出入り口はひとつしか
ありませんし・・あの人が居て近づけない」
信愛は恐怖で震える手を握り締めた。
(やばい・・・どうしよう)
武尊の常軌を逸した行動を前に、その場にいた誰もが恐怖に身体を硬直させていた。
すると突然小さな少女が目の前に現れた。
それは佳苗だった。
「ごめんね・・信愛」
「え?なんで佳苗──」
信愛が全てを言い切る前に、皆を白い光が包み込んだ。
コメント
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わあ……最後の佳苗ちゃんの登場、めっちゃタイミング良すぎて鳥肌立ちました!社長の豹変っぷりが本当に怖くて、ゴルフクラブ振り下ろすところは息を呑みましたよ。さくらさんの「まじで…」の一言に、その場の空気が全部詰まってる感じがしました。あの白い光、何が起こるんだろう…続きが気になって仕方ないです!