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「はぁ……」
「今日はついてないなぁ」
私――山崎真夕美は放課後の帰り道、ひとりため息を零した。
視線を前の方に向ける。
そこには、以前まで仲良くしていた一軍グループの女子たちが群がっていた。
私もついさっきまではあそこに居たのだ。
でも、私が一人の意見に批判するなり、途端にグループから外された。
最初から分かりきっていた。
ここにいても楽しくはないし、価値もないと。
だけど私には、そこ以外の居場所がなかったのだ。
孤独は嫌。
だから必死に毎日藻掻き続けていた。
でも、そんな日々は今日で終わりだ。
明日から私の居場所はない。
だけど少し、息がしやすくなった。
楽になった。
私はそう前向きに考えた。
そして歩き出す。
その時、私はある言葉を思い出した。
『真夕美ってくだらない人間だよね』
『あたし達の引き立て役でしかないのに、必死になってついてこようとしててさぁ』
『みっともないと思わないの?』
『生まれ持った才能に、努力ごときで勝てる訳ないのにね』
『努力で勝てたらこの世の中、苦労しないよねぇ?』
『あんたにはぼっちが一番お似合いよ!!!』
「っ………」
これは今日の朝、私が女子達に言われた言葉だ。
友達だと思ってたのに。
いや、思ってはいなかった。
でも、こんなにも急に突き放されたら、誰だって悲しくなるよ。
―――私は上を向いた。
涙が溢れないように。
―――その時だった。
「…………お前、何してんの?」
後ろから、聞き覚えのない声がした。
でも確かに私を呼んでいる。
何故なら、私以外にここには誰も居ないから。
私は振り向かず、前を見たまま 必死に声を振り絞って答えた。
「なんにもないよ」
「大丈夫」
それは相手に向けた言葉のはずだった。
なのに、いつしか自分へ言い聞かせているようにしか聞こえなくなった。
そんな自分が情けなくて。
私は一滴の涙を地面に零してしまった。
乾いたアスファルトに、みるみる染み込んでいく。
バンッッ!!!!
「っ!?!?」
背中に強い衝撃が走った。
私は思わず飛び跳ねる。
恐る恐る左を向くと、そこには見覚えのある姿があった。
「……霞くん?」
霞くん―――フルネームは霞迅。
私と同じ1年2組の男子生徒。
普段常に一人で行動していて、クラスでは一匹狼のような存在だ。
そんな彼に、クラスの誰もが近づこうとしない。
どこか冷酷な雰囲気を纏う彼からは「近づくな」と警告されている気がするのだ。
そんな霞くんが、今私の真隣にいる。
改めて並ぶと、背が私より10cmほど高いからか、威圧感がある。
前髪が長くて表情もよく見えないので、余計に。
―――私の背中を叩いたのは、彼だろうか?
(いや、霞くんしかいないよね…?)
(だって、前後ろ見ても誰も居ないし…)
(でも、なんで?)
そんな私の考えを汲み取ったのか、霞くんが話し出した。
「………ほんとは、一人になりたいんだろ」
「え?」
彼は真剣な眼差しで言う。
「でも、一人になるのが怖いから、アイツらに纏わりついてる」
「そういうの、金魚のフンって言うんだよ」
「そっ、そこまで言わなくても…!」
「でも正しいだろ」
「なんか文句ある?」
「………」
「一人の方が楽なのに、正しいのに」
「なんでわざわざしんどい方を選ぶんだよ?」
「俺にはお前の思考が理解できない」
彼はそう言って立ち去ってしまった。
「………」
一体何だったんだろう。
何が目的なんだろう。
人を貶して、そんなに楽しい?
生き方なんて自由じゃない!人それぞれじゃない!
あんたが決めることじゃないでしょ!?
………思わず怒りが込み上げた。
いくら伝えたいことがあったとしても、言い方にも問題はあるはず。
私は明日、霞くんに話を持ちかけることにした。
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