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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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強く抱き締められた花純の耳には、壮馬の心臓の鼓動が聞こえる。

それはかなり激しい音を立てていた。


壮馬はこんなにも力を込めて花純の事を愛してくれたのだ。そう思うとなんだか壮馬の事が愛おしくなり胸がキュンとする。

その時初めて花純は『愛』というものを知ったような気がした。



(これが愛なの? これが人を好きになるっていう事なの?)



正直花純はセックスに対して冷めた感情しかなかった。

セックスは単に子孫を残す為の行為だ。植物で例えるなら被子植物の有性生殖だ。

しかし人間の世界では『セフレ』や『不倫』という言葉があるように繁殖行動を目的としない行為も存在している。

そこにずっと人間の愚かさを感じていた。

植物にとっては純粋に子孫を残す為の行為なのだがその純粋さが人間にはないような気がしていた。


花純は壮馬とのセックスを経験してみてその考えが全く変わってしまった事に気付いた。

花純は壮馬に抱かれている時壮馬の深い愛情を感じていた。それは一瞬ではない。二人が触れ合っている間中ずっとだ。


『そこに愛はあるんですか?』


なんて馬鹿な事を聞いてしまったのだろうと花純は自分を恥じた。愛があるかどうかは壮馬の行動を見ればすぐにわかる事なのに。

愛があるから壮馬はこの上なく優しくそして激しく花純を求めたのだ。いくら恋愛経験のない花純にだってそれくらいは本能でわかる。



花純が物思いに耽っていると壮馬がティッシュで花純の濡れた場所を拭いてくれた。ティッシュには血が滲んでいた。


「少し出血したな。痛かっただろう? ごめん」

「ううん、大丈夫」


花純ははにかんで答える。しかし壮馬はすまなそうな顔をしたまま丁寧に拭き取ってくれた。

それから花純をギュッと抱き締めるとおでこにチュッとキスをする。そしてそのまま花純の隣に仰向けになると言った。


「おいで」


どうやら腕枕をしてくれるらしい。花純は嬉しくて腕の中へ入る。あまりにも花純が素直に従ったので壮馬は嬉しそうだ。

壮馬は花純の事が可愛くて仕方がないといった様子でしきりに花純のおでこや鼻の上にキスの雨を降らせる。


「くすぐったいです」

「仕方ないだろう。花純が可愛くて仕方がないんだ」

「でも甘やかし過ぎると調子に乗りますよ」

「俺は全然構わないよ。むしろその方が嬉しい」


壮馬は余裕の笑みを浮かべる。


「もうっ」


花純は怒ったふりをして壮馬の胸を軽く叩きながらクスクスと笑った。

そんな花純を愛おしそうに見つめながら壮馬が言った。


「俺の事を好きになっただろう?」

「何ですか? その自信」

「そりゃ自信はあるさ。あれだけ君を悦ばせたんだから」

「もうっ!」


花純は再び壮馬の胸を叩く。すると今度は壮馬が声を出して笑った。


「いや、でもマジな話好きになっただろう?」

「どうでしょうか?」

「おや? まだ俺からの愛が足りないのかな?」


壮馬が再び花純に覆いかぶさろうとしたので花純は慌てて答えた。


「好きになりました」

「ん? 聞こえなかったぞ?」

「嘘! 聞こえたでしょう? ズルいです」

「いや、本当に聞こえなかったんだって。頼むからもう一度言ってくれないか?」

「……だからぁ、好きになりました」


壮馬はその言葉にニッコリ微笑むと花純にキスをしてから言った。


「よし、いい子だ。じゃあすぐに結婚しよう」

「え?」

「俺は一日も早く花純と結婚したいんだ。いいだろう?」

「うーん、どうしようかなぁ?」

「君に選択権はないんだよ」

「あっ、ずるーい! そんなの反則です….」


花純がまだ言い終わらないうちに再び壮馬が花純の唇を奪う。


そこから二人は再び甘くとろけるような夜を過ごした。




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