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こはるが小さな神社を後にして、再び商店街を歩き始めたその時、遠くの空から何かが聞こえてきた。
最初はただの飛行機の音だと思っていた。
だが、その音はだんだん大きく、そして重くなっていく。
「何だろう…?」
こはるは顔を上げて空を見た。
青く澄みきった空の中に、一機の銀色の爆撃機がゆっくりと、しかし確実にこちらへ向かっていた。
胸の奥が締めつけられるような感覚。
身体の中の何かが叫んでいる気がした。
「急いで家に帰らなきゃ」
急ぎ足で街を戻る道は、いつもよりも静かで、不自然なほどにざわついていた。
街の人々も空を見上げ、恐怖と混乱が広がり始めている。
だが、そのとき——
空が一瞬、眩い光に包まれた。
それは太陽よりも強烈で、すべてを呑み込むような光だった。
こはるは目を閉じ、強い熱を感じた。
その瞬間、世界は音も色も消えた。
——広島の空は、永遠に変わってしまった。