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慌てて玄関に入り、息切れしている状態の呼吸を胸に手を当てて整えていると、すぐさま侑も入ってきた。
先ほど言い過ぎたと思ったのか、侑は瑠衣を抱き寄せながら小さな頭をそっと撫で続けている。
「瑠衣……すまなかった……」
「私も…………ごめんなさい。ここの所の体調不良を考えてたら、妊娠したんじゃないかって思って……。生理も四月の中旬にあったきりだし、あんな事もあったから……まずは妊娠検査薬を買って自分で検査してから、先生に言おうと思ってた……」
侑は彼女を見下ろすと、妊娠検査薬のパッケージを持つ手が震え、青ざめた表情を浮かべている。
「正直…………怖い。検査して結果を知るの…………凄く……怖い……!」
瑠衣の恐怖心を感じ取った侑が、更に強く抱き締める。
彼女の心の奥に潜む不安も恐怖も、全て消え去るように、筋張った腕に力を込めた。
「…………どんな結果が出ようとも、俺は瑠衣の全てを受け止めると決めたんだ。瑠衣の気持ちが落ち着いたら、すぐに検査しよう。万が一の結果が出たら…………俺も一緒に病院へ行くから」
「…………わかった。今……してくる」
「…………大丈夫か?」
正直なところ、大丈夫とは言い切れない。
侑との情交は必ずコンドームで避妊していたが、あの忌々しい出来事では、不特定多数の男たちに避妊せずに放たれているのだから。
仮に陽性反応が出たとしたら、それは高い確率で侑との子ではないと考えられる。
これ以上心配掛けないように、瑠衣は濁すように笑いながら答えた。
「うん……。先生はリビングで待ってて……」
「…………分かった」
侑はリビングへ入っていき、瑠衣はトイレへ向かった。
トイレに入ると、パッケージから検査用のスティックを取り出し、動揺している心を落ち着かせるように深呼吸する。
それでも次から次へと不安が押し寄せ、全く落ち着かない。
スティックを持つ右手が震え、左手で覆ってギュッと握り締めた。
腹を括り、瑠衣は手順通りに検査薬を使用した後、キャップを閉じて蓋付きの小さなダストボックスの上に乗せる。
「……!!」
胸騒ぎに比例するかのように、判定窓からジワジワと赤い縦線が浮かび上がってきた。