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キャァー(*´艸`*)🩷🩷🩷一緒に住みますぅ🩷🩷🩷
一緒に住みますか?岳大さん心の声の本音が口から出たのよ!優羽ちゃん。お隣りの木崎さん☝️心強いお隣りさんになるよね?きっと😊😊😊
キュンキュンすぎるぅぅぅ·̩͙꒰ঌ( *´˘`* )໒꒱·̩͙ 💖 抱きしめた岳大さんはどんなに愛おしく安心したことか…🥹 それでも敬語で話す岳大さんに更にキュン💖 いつどのタイミングで気持ちを伝えるんだろう💓
翌日の昼前、優羽は岳大の引っ越しの手伝いへと向かった。
山荘を出る際、優羽は三橋からおにぎりといなり寿司を渡された。
休憩の時にお茶と一緒にテレビ局の人達に出しなさいと三橋が持たせてくれたのだ。
優羽は必要な物を車に積み込んでから山荘を出発した。
流星の保育園の前を通り過ぎしばらく進んでから右折する。そしてその後左折してから50メートルほど進んだ所に岳大の新居があった。道路はそこで行き止まりなのでとても静かな環境だ。
岳大が借りたテラスハウスは左右に一軒ずつで、まだ出来立ての新築で新しい。
玄関前には屋根付きの広いガレージがあり雪の季節には便利そうだ。
テラスハウスの向こう側は森が広がり街中にある割には自然に恵まれている。付近に大きな建物や施設がないので夜はおそらく星空が綺麗に見られるだろう。
引越しのトラックやテレビ局の車はまだ到着していない。早速優羽はテラスハウスの中へ入ってみる事にした。
玄関のドアを開けようとした時、隣家の玄関がカチャッと開いた。
中からは優羽と同年代の女性が出て来た。
「こんにちは!」
「こんにちは! あ、もしかしてお隣に越して来る方ですか?」
「いえ、私はここに越してくる者の会社の者です。初めまして森村と申します」
「あっ、私は木崎です。先週から夫とここに住んでいます」
木崎という女性はニッコリと微笑んだ。
「お引っ越しのお手伝いですか?」
「はい。あと1~2時間したら佐伯という者がこちらに越して来ます。また改めてご挨拶に伺いますが、今日はうるさくなってしまいすみません」
「いいえ、お互い様なので気にしないで下さい。こちらこそこれからよろしくお願いします」
木崎はまたニッコリ微笑んで会釈をすると、赤い車に乗り込み出かけて行った。
優羽はとても感じが良い人だなと思いながら新居へ入った。
ドアを開けて玄関へ入ると廊下があり左手に扉が二つある。おそらくトイレとバスルームだろう。そして廊下の突き当りの扉を開けるとそこは広いリビングになっていた。室内には新築の木の香りが漂っていた。
岳大の東京のマンション程広くはないが賃貸アパートにしては広いリビングだった。
天井は斜めの吹き抜けになっていてとても開放的で、リビングの隅にあるキッチンにはカウンターもついている。
壁もキッチンも白で統一されていて明るく清潔感に溢れていた。
リビングの片隅にはドアが一つあり個室へ続いていた。その反対側にはスケルトン式の階段がありそこっから二階へ上がると個室が二つあった。一つは六畳、もう一つは八畳の部屋だった。
八畳の部屋には天窓がありはめ込み式のガラスからは青空が見えた。
この天窓の下にベッドを置けば寝転がりながら星空が見えるだろう。優羽はこの部屋を使う岳大が羨ましくなった。
優羽はとりあえず二階の部屋の窓を開け放ってから一階へ下りて同じように窓を開けて空気を入れ替えた。
リビングの窓の外には白いウッドデッキがありデッキと庭には雪が積もっている。そして庭の奥には森が見えた。
(素敵!)
ここからの景色はまさに借景だ。ここが住宅街の一角とは思えないほど目の前には美しい自然が広がっていた。
うっとり外を眺めていた優羽は急にハッとする。そして今日は引っ越しの手伝いに来たのだと思い出す。
優羽は慌ててエプロンを身に着けると軽く室内の掃除を始めた。
掃除を終え空気が入れ替わった所で暖房を入れる。そしてお茶の用意もした。その時外で車の音が聞こえた。
優羽が慌てて玄関へ向かうと岳大の車が停まっていた。
岳大に会うのは久しぶりだったので、優羽は少し緊張しながら玄関の外へ出た。
その時岳大は長距離運転を終えて漸く新居へ辿り着いた。引っ越しのトラックよりも先に着いたようだ。
一刻も早く長野へ移住したいと思っていた岳大は、今日漸く引越しの日を迎えた。そしてやっと長野へ到着した。
あの事件があってから岳大はずっと生きた心地がしなかった。常に心配だった為あれから岳大は優羽に小まめに連絡を取っていた。しかしその行為は優羽の安否を確認する一方で自分を安心させる為の行為でもあったような気がした。
それほど岳大は優羽の事が心配だった。
しかし今日からはもうそんな心配は一切なくなる。近くにいればすぐに駆け付けられるのだ。そう思うと岳大の心の中の重圧は一気に解放された。
岳大はエンジンを切ると、サングラスをはずして車を出た。その時新居の扉が開きエプロンをつけた優羽が笑顔で出て来た。
優羽の姿を見た途端岳大は心臓の鼓動が激しく高まるのを感じていた。
優羽は雪の反射を受けて眩しいくらいにキラキラと輝いていた。まるで天使のようだ。
岳大はその天使を優しい眼差しで見つめながらゆったりと歩みを前に進める。そして逞しい両腕を広げると愛らしい天使を包み込むように抱き締めた。
「ただいま」
岳大はギュッと優羽を抱き締める。
いきなり抱き締められた優羽はびっくりして動けなかった。
こういう場合はどうしたらいいのだろう? 押し返すのも失礼だしこのままでいるのも恥ずかしい…優羽がパニックになりながら思考を巡らせていると、優羽は懐かしい香りを感じた。柑橘系の爽やかな香りに少し甘さをプラスしたような大人の男性の芳醇な香りが優羽の鼻をくすぐる。岳大の匂いだ。
その香りを嗅いでいるとなぜか深い安らぎに包まれる。岳大の筋肉質の身体に強く抱き締められていると守られているようでホッとする。あまりにも心地良いので優羽はしばらくその身を預けた。
どのくらい抱き合っていただろうか? 岳大は満足すると優羽の顔を覗き込みながら言った。
「ただいまって言ったんですが?」
「あ、お帰りなさい!」
優羽は恥ずかしそうに顔を赤らめてから言った。そして同時に二人は笑った。
「今日は急に手伝いを頼んじゃって悪かったね」
「ううん、アシスタントですから当然です。部屋の中見ますか?」
「うん。中はどうでしたか?」
「とっても素敵です。私が住みたいくらい」
「じゃあ一緒に住んでみますか?」
岳大が真顔で言ったので優羽はドキッとした。
「冗談ですよ!」
岳大が声を出して笑うと、優羽は、
「いじわる!」
と拗ねたように部屋の中へ入って行った。
岳大はそんな優羽の後ろ姿を愛おしそうに見つめながら後を追いかけた。