テラーノベル
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楽しいひとときは、あっという間に過ぎ去っていった。
笑い声に包まれていた宴も、気づけば締めくくりの時間を迎える。
そんな中、銚子と多摩雄は静かに席を立ち、参列者たちの前へ歩み出た。
二人は顔を見合わせると、小さく頷き合い、銚子が穏やかな声で口を開く。
「今日は私たち夫婦のために、このような素敵な
会を開いていただき、誠にありがとうございます」
続いて多摩雄も深く頭を下げる。
「ありがとうございます」
二人の真心のこもった言葉に、会場は静かな空気に包まれた。
その時、信愛が小さく呟く。
「お母さん・・・」
銚子はゆっくりと息を吸い、少し遠くを見るような目で語り始めた。
「皆さんもご存知の通り、私はかつて
御船愛子という名前で霊媒師をやっていました
一時はマスコミに追われ、孤独に苦しみ
命を絶とうと考えたこともありました」
その重い言葉に、部屋の空気が張り詰める。
さくらは言葉を失い、ただ静かに銚子を見つめていた。
「ですが、そんな時、私の心の拠り所だったのは、当時
『未解決事件調査隊』でADをやっていた夫でした」
銚子は隣に立つ多摩雄へ優しく微笑みかける。
「夫は常に私に寄り添い、味方で居てくれました」
多摩雄も照れくさそうに微笑み返す。
「こんな人と一緒に生きていけるのなら
結婚式が出来ないことなど、どうということはない
愛する夫と愛する娘と歩む人生
こんな夢のような暮らしが出来ているのだから
それ以上を求めるのは贅沢だと。そう思って
ずっと今日、この日まで生きて来ました」
会場の誰もが、銚子の一言一句を噛み締めるように耳を傾けていた。
しかし銚子は、小さく首を横に振る。
「ですが、心の何処かでは結婚式に
憧れを抱いていた自分もいました。ですが今更
結婚式なんてと、自分の心に蓋をしていました」
焔垂も朝陽も、何も言えずに俯く。
そして銚子は、涙を浮かべながら優しく微笑んだ。
「ですが今日、私は夢が叶いました」
声は少し震えていた。
「こんな大勢の人に囲まれ、憧れていた結婚式を
開いてもらえた。本当に夢のような時間です」
涙が頬を伝う。
「みなさん、本当にありがとうございます」
そう言うと銚子は深く頭を下げた。
信愛は目に涙を溜めながら、思わず声を漏らす。
「お母さん・・・ぐすっ」
参列者たちは涙を浮かべながら大きな拍手を送った。
茜は目元を拭いながら嗚咽混じりに笑う。
「感動しましたぁ~!」
焔垂は呆れたように肩を竦める。
「泣きすぎだろ」
しかし茜は首を横に振るばかりだった。
「こんなん泣くじゃん・・うわぁぁぁん」
その様子に銚子は涙を拭いながら笑みを浮かべる。
「ふふふ。私より泣いてるじゃない」
その言葉に会場には優しい笑いが広がった。
美月は穏やかに微笑み、龍河も苦笑しながら肩をすくめる。
「相変わらず騒々しいな。まぁ怪異
探求倶楽部らしいっちゃ・・らしいか」
忍も豪快に笑った。
「わははは、だな」
佳苗も目を潤ませながら頷く。
「私も感動したよ」
銚子は優しく微笑み返した。
「佳苗ちゃん、ありがとう。千歳さんもありがとうね」
千歳は静かに頭を下げる。
「いえ、銚子さんには最期に
お母さんに会わせてもらった恩がありますから」
その言葉に銚子は胸が熱くなるのを感じた。
「ほんと、素敵な子たちね」
多摩雄も感慨深げに周囲を見渡す。
「こんな素敵な人たちに囲まれて結婚式を
挙げる事が出来るなんて夢にも思ってなかった」
銚子も静かに頷いた。
「ふふふ、そうね」
やがて結婚式は名残惜しさを残しながら幕を閉じる。
そして最後は、TAMAYAことChiakiによるミニライブ。
優しい歌声が会場を包み込み、誰もが今日という一日を胸に刻みながら、その余韻に身を委ねた。
銚子と多摩雄にとって、この結婚式はきっと一生忘れることのない、かけがえのない時間となるのだろう。
#普通
野々さくら
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ありあ
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コメント
1件
うわあ、素敵な回でしたね…。銚子さんの「夢が叶いました」という言葉、心に沁みました。過去に辛い思いをしてきた人が、こんなにも温かい結婚式を迎えられて、本当に良かった。多摩雄さんとの絆も、信愛ちゃんの涙も、全部が尊い。読んでいて胸が熱くなりました。