第22話
キツネ「ちょっと、話したい事があるんだ。」
そう呼び止められて、屋上へ連れてこられたアザラシ君。
アザラシ「どうしたの?」
キツネ「俺、皆よりもアザラ君の方が話を聞いてくれるかなって。」
アザラシ「、、、、、、。」
アザラシ君は、何を言っているのか理解できなかった。
だが、少し言いたい事は察した。
キツネ「俺の秘密、聞いてくれるか?」
ごくりとアザラシは唾液を飲んだ。
キツネ「俺の家族はまだ伝えてなかっただろ?」
アザラシ「うん。」
キツネ「実は俺の家族って、、、、、
アザラシ「へ?」
キツネ「唐突すぎて、よくわからないよな。」
キツネ君はニヤッと笑いながら、また話し出す。
キツネ「俺の家族は母さん父さんの他にも、凄く歳の離れた
10歳上の兄貴が居る。」
アザラシ「うん、、、。」
キツネ「俺が物心ついた時から、兄貴は変わっている。
兄貴のそばには友達もいない。休日にはいつも部屋に閉じこもってる。
それにゲームに俺は誘っても断れる。」
アザラシ「うん、、、、、。」
キツネ「まぁ、それは皆ある事だから別だけど
その数年後に大きな事件があったんだ。」
そういうと、キツネは顔を暗くさせた。
そして重い口を明かす。
キツネ「俺が中学生で兄貴が大学生の時に、俺は兄貴に呼ばれて
近くの公園に行った。
兄貴と横で歩いている時には、兄貴は何も言わずにただ歩き続けてて。」
キツネ「それで俺が、『公園に行くくらいなら、どこかに買い物にでも行かないか?
俺ちょうど兄貴と行きたい気分だから』って言ったら
突然突き飛ばされた。」
アザラシ「、、、、、、。」
アザラシは息を呑んだ。
嫌な予感がした。
キツネ「兄貴は『てめぇなんか、いらねぇ』って言って馬乗りになったんだ。
そして、激しく殴られた。」
アザラシ「、、、、、、、。」
キツネ「『お前はいつも。いつもいつもいつも親に慕われてて、
勉強もできる。友達もたくさんいる。おまけに運動もできる。
俺なんてこの世なんか生きてる意味なんざねぇ。』って大声で。」
キツネ「そこから、翌日から兄貴が行方不明になってしまった。
家族たちは、悲しんでいた。」
キツネ「そして、兄貴が僕から姿を消てから数か月後に
俺はテレビで見たんだ。」
アザラシ「、、、、、ッ!!」
キツネ「今はあいつは、闇にそまったヤクザになってる。」
アザラシ「、、、、、、、ッ!!」
キツネ「だから、もう会う事すらできない。
危険だから。」
アザラシ「そうなんだ。」
キツネ「あの頃の俺、もっと兄貴と楽しんでいれば
こんな事にはなってないのに。」
キツネは丸くして蹲った。
アザラシ「、、、、、、、、。
僕もどうしたらいいか分からない。」
アザラシはキツネを置いて、教室に戻った。
一方――
【雪島町・繁華街で】
男性「ひぃぃ。ごめんなさい。」
???「おらぁ。うるせぇんだよ。ああ?」
俺は、この町で一番有名な裏社会
『雪島闇所グループ』の一人、
北極狼。22歳。通称雪国の悪魔。
狼「てめぇは俺のおもちゃにでもなってろ。はは」
そう言って、逆らう人々を罵っては殴って
そうやって金を盗む、こればっかりだ。
最近つまらなくなってきた。
狼「そういえば、弟は今どうしてるのだろうか。」
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