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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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フゥッと息を整え、エナは短弓を構える。そもそもエナは、ここへは素材の採取に来ていただけだった。こんな強敵と戦うことになるとは、想定外。武器もいつも通り、短弓と最低限の矢、そして己の拳。
(こんな子供を守る義理なんてないんだけどね⋯⋯でもここで逃げたら、女が廃るってものなのよさ!)
「さぁ、かかってきなさい! 30秒くらいなら、耐えてみせるんだからね!」
「まったく、どいつもこいつも⋯⋯人間というのは、こんな奴らばかりか」
「小物は小物らしく、これでも喰らっとくのよさ!
流水武──『潮駆閃矢』!」
空を飛ぶ敵に対して編み出された技。1つ矢を避ければ、10の追撃が待っている。しかし、名無しにはあまり効果がなく、プスリと僅かに刺さっては瞬時に回復していた。
「チッ⋯⋯斬撃じゃないと意味ないってわけ!? あー、もう!
流水武──『鳴潮打』!」
絶え間なく放たれる、闘気の乱れ撃ち。これでようやく20秒。
(ほんっとにムカつく! 立ってるだけで強者感出しやがってぇ!)
「しゃーない! 玉砕覚悟でいくのよさ!
流水武──『瀑鳴陣撃』!」
「30秒だったな? ならば、これでキッカリだ」
「なっ⋯⋯!」
いつの間にか背後に回られていた事実に、エナの瞳は驚愕の意志を浮かべる。焦りで呼吸が乱れ、煙を深く吸い込む結果となってしまった。
(ま、あたしにしちゃあ頑張った方なのよさ)
いやらしい魔人を睨みつけ、悪態をつきながら眠りに落ちた。
「⋯⋯バーカ」
「フン、なんとでも言え。結果は変わらんがな」
そのまま名無しは地上へと降り立ち、支配するに足りるであろう人間を選んでいく。あの大剣使いのメイドと、先程の冒険者は確定⋯⋯あの金髪が持っている魔剣も欲しいな。そういえば、あのガキもそろそろ眠る頃か⋯⋯?
「どれ、せっかくだ。あのガキは我が育てて、優秀な手駒になるか試して⋯⋯って、なにぃ!?」
名無しは驚愕する⋯⋯まさかの生き残り。子供だから呼吸量が少なく、それで効いていないのだろうか。
「そっ、そこのガキ! 貴様といい、あの冒険者といい、なぜ我が魔煙が効かない!?」
「え?」
戦いを楽しく見させてもらった俺は、今更の質問に首を傾げながら答える。
「さぁ? ⋯⋯なんでだろ」
「なんでやしょうねぇ」
あまりにもふざけた回答に、名無しがワナワナと震えている。あれ、俺何か悪いことしちゃった?
「き、貴様⋯⋯この我の魔煙を耐えておきながら、さぁで済ます気⋯⋯って、お前よく見たら魔人か!」
ん? あぁ、カグアのことか。何だ、ずっと子供が使い魔にしている狸だとでも思っていたのだろうか。そのまま名無しはずっと喚いている。煩いなぁ。
「まさか貴様がそのガキを守っているのか!? てゆーか何だ、お前使い魔になっているのか! クハハッ、同じ魔人だとは思えんわ! それに何だその見た目は! あまりにも幼稚すぎるぞ〜?」
めっちゃ煽るな、この名無し。カグアが挑発に、乗っかってしまったぞ。
「お前、お前なぁ⋯⋯はぁ〜、ほんっとお前⋯⋯うん、まぁいいや」
「なんだ?」
「せいぜい吠え面かいとけよ、この名無しがよぉ!」
そう言うとカグアは、お願いしますと言わんばかりに、俺を前へと押し出すのだった。
「さーて、じゃあやるかぁ」
俺はウーンと伸びをして、詠唱を始める。兄さんたちに見られたくはないからな。ある意味、この魔煙はナイスな働きだ。これだけは褒めてやるぞ〜名無し!
ま、時間を掛ける気はないからな。『符号術式』で詠唱も短くして⋯⋯っと。
「フン、魔法か、魔術か? 魔力を使った攻撃は、魔人には通用せんわ! ましてや、お前のようなガキが扱う下位程度の術など、たかがしれているがね」
む、随分と言ってくれる。これはもう、お仕置き案件だな。
「そういえば、カグアも言っていたな。魔人は魔術で死なないとか?」
「ま、前例はありやせんぜ」
「なるほど、なるほど? では、本当に耐えられるのか⋯⋯せっかくだし、コイツで実験するか!」
火属性上位魔術──『煉獄門』
水属性上位魔術──『海嘯界』
「ちょっ、まっ⋯⋯」
ん? 魔人がなんか慌ててるけど⋯⋯まぁ、大丈夫だろう。せっかくカグア以外の死なない実験協力者をゲットできたわけだしな。てなわけで⋯⋯。
風属性上位魔術──『天嵐界』
土属性上位魔術──『坤天陣』
雷属性上位魔術──『雷華門』
「ま、待て待てまてまてまてマテ!」
「煩いなぁ。ここまでやっておいて、待ったで済むわけないだろ。それに、お前罪もない熊ちゃんたちを操った挙句、俺たちにも手を出そうとしたんだからな。大人しくお縄についとけ⋯⋯さぁ、仕上げに入ろうか!」
氷属性上位魔術──『氷鏡界』
氷の壁で名無しを密閉すれば、五属性の上位魔術による攻撃が、永遠に入り続けるシステムの完成である。おぉっ、5種類の光が混ざり合って、凄く綺麗だな。
「ギャアアアアアァァァァァ」
こうして俺は名無しに10分間の魔術実験を施したのだった。実験の結果を見るために、俺は魔術を解除してやる。あれ? なんか凄く痩せっぽちになっちゃったな。
「やり過ぎですぜ、アステル様⋯⋯さすがにあんな真似されちゃあ、魔力の器が耐えられませんわ。許容範囲外の魔力を与えられたようなもんです。人間でいえば、飯食いすぎて、逆に全部吐き出しちまったって感じでしょうかね」
「なるほどなぁ」
そう話している内に、名無しの肉体はボロボロと灰に変化していく。よし、ちゃんと倒せたみたいだな。
「アステル様! コイツの魔力、俺が貰ってもいいですかい?」
「ん? 構わんぞ」
そう許可を出すと、カグアは名無しの灰を思いっきり吸い込んだ。少しむせながら、お腹をポコンと膨らませる。なるほど、共食いで魔力を蓄積できるのか。
「うーん⋯⋯?」
おっと、ルカ兄さんたちが目を覚まし始めたな。何とか誤魔化さないと⋯⋯。
「あ、アステル! 無事だったか!?」
「はい、俺は大丈夫です、ルカ兄さん!」
「あぁ、よかった⋯⋯ハッ、魔人は!?」
やっぱりそうくるよな。うーんと、えーっと⋯⋯そうだ!
「魔人なら、アルカスと名乗る冒険者が倒して⋯⋯」
「アルカス!?」
うわっ、エナがバネみたいに飛び起きてきた。あんなに戦っていたのに、元気だな。
「アステル! アルカスはどこにいるのよさ!?」
「いや、もうどこかへ行ってしまったから⋯⋯」
「じゃ、じゃああたしはこれで! アルカス、待ってるのよさーーー!」
あぁ、行っちゃった。探しても見つからないんだけどなぁ。俺と背中に隠れているカグアは、笑って顔を見合わせる。この時から歯車が回り始めていることに、俺たちはまだ気づいていないのだった。
コメント
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第14話、読み終えました!エナの短弓での奮闘、かっこよかったですね。30秒耐えるって啖呵切ってたのに、まさか煙でやられちゃうとは…でも「バーカ」って呟いて落ちるところに彼女らしさが出てて笑っちゃいました。 そしてアステル、まさかの“実験”で名無しを倒すとは!「死なない協力者ゲット」って発想がもう天才というか怖いというか(笑)。五属性同時展開の描写、綺麗でちょっとゾクッとしました。カグアとの連携も息ぴったりで、いいコンビですね。 エナが「アルカス!」って跳ね起きるシーン、あの元気さが好きです。そして最後の「歯車が回り始めている」が気になる…次が楽しみです!