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立川南駅の近くまで来ると、白のSUV車がハザードランプを点滅させて止まっているのが見えた。
「豪さん、急にゴメンね。迎えに来てくれてありがとう」
奈美が助手席のドアを開け、運転席の夫に声を掛ける。
「ほら、恵菜も乗って!」
「すみません、お邪魔します。相沢恵菜と申します」
「奈美の高校時代の親友ですよね。初めまして。奈美の夫、本橋豪です」
豪は後ろを振り返り、後部座席に座った恵菜に挨拶した。
(うわぁ……奈美の旦那さん、俳優のオダガワショーみたいでイケメンじゃない……!?)
親友の夫が、恵菜にはカッコ良すぎて、思わず息を呑む。
「じゃあ、出発するぞ」
豪がステアリングを握り、緩やかにアクセルを踏んだ。
車は、国立に繋がる道を走行している。
「奈美の旦那さん、めちゃくちゃカッコいいからビックリ……!」
「でしょ? 豪さんは外見も性格もイケメンなの」
「ハハッ……ありがとうございます」
豪がルームミラー越しに、照れ笑いを映し出した。
(それにしても、奈美の惚気っぷり、すごいな。高校時代は大人しい性格だったと思うけど、性格も明るくなったし、やっぱり、女は男で変わるのかな……)
恵菜が漫然と考えていると、渋めの落ち着いた声音で我に返る。
「相沢さんも、日本人離れした顔立ちで、モデルみたいにすごく美人ですよね」
「いえ、全然……」
イケメンに褒められて、恵菜は、どんなリアクションを取っていいのか分からず、ヘラリと笑ってしまった。
車内が、ほんの少しの間、沈黙に覆われる。
「……奈美。俺が相沢さんにすごく美人だって言ってるのに、何とも思わないのか?」
豪が困惑しながらボヤくと、恵菜は呆気に取られながら、前の座席にいる夫婦を交互にガン見してしまった。