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「だって恵菜がすごく美人っていうのは、私も思ってる事だし。あ! 豪さん、もしかして、私に嫉妬して欲しかったんでしょ〜?」
運転席の豪に、ニヤッと笑う奈美。
(うわぁ…………ラブラブ過ぎない? この夫婦……)
二人のやり取りを見ながら、こんなに仲のいい夫婦も存在するのか、と恵菜は目を静かに見開いた。
思い返せば、恵菜が勇人と結婚していた時、ラブラブと言われていたのは、新婚と言われていた一年間だけだった気がする。
結婚して二年後は、自分が激太りしてしまい、かつての夫、勇人には、陰で『ブタ』と呼ばれる始末。
最終的に、勇人は野球部のマネージャーだった後輩、理穂と不倫をしていたのだ。
運転席と助手席に座っている本橋夫妻の場合、結婚して数ヶ月くらいだと思うけど、仲の良さの次元が既に違うな、と恵菜は思う。
「あ、そうそう、年末に会った上司の谷岡さん、豪さんの中学校時代の親友なの」
奈美が恵菜にチラリと視線を送った。
「ん? 相沢さん、純に会ったんだ?」
運転している豪は前方を見やったまま、自然と話に加わってくる。
「昨年のクリスマスに、立川の駅前で、私がよそ見をしてしまって、思いっきりぶつかってしまったんです……」
恵菜は、奈美の夫が、ぶつかった男性の親友だと聞き、言葉を失った。
(あの男の人、谷岡…………純さんって……言うんだ……)
親友の言葉に、落ち着いていた鼓動が、再びバクバクと弾み出す。
奈美と繋がっていると聞いただけでもビックリだったのに……。
人と人の縁は、本当にどこで繋がっているか分からないな、と恵菜は改めて実感していた。
「昨年の仕事納めの日、所長とパーク内にあるカフェにランチしに行ったら、恵菜と偶然再会して、そしたら所長と恵菜も面識あったみたいで、私も口がポカンとしちゃった!」
恵菜の話を繋げるように、奈美が豪に話を続けると、彼は眉間に皺を刻み、ムスッとした声色を滲ませた。