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翌日、何故か布団から起き上がれなかった。身体が高校へ向かうのを拒否しているようだった。
「起きなきゃ…。起きないと…。」
私はなんとか身体を起こした。鏡を見ると、そこにはうっすらとくまができている自分の顔が映っていた。私は目の下をそっと触った。そして私はため息をついた。その時、ドアをノックする音が聞こえる。
「マリー。」
その声は、父だ。私はドアを開けて笑顔で挨拶をした。
「おはようございます。お父様。」
父はぱあっと顔を明るくして「おはよう。」と返した。その後は特に問われることはなかった。だが、いつもより少し心配そうな顔をしていた。
「行って参ります。お父様。」
「あぁ、いってらっしゃい。」
学校についた時、私の足が密かに震えていた。でもそれは、私だけしか分からないほどの小さな震えだった。私は震える足でなんとか一歩前に進む。
(大丈夫。歩くだけ。)
とん、とん。ローファーの音が少しずつ多くなる。そして次第に少なくなる。怖くて顔を俯かせる。その時、背後からセローナの声がした。
「マリー…様…。」
振り返ると、そこにはセローナと、セローナの友達が2人ほど立っていた。セローナの友達はセローナを置いて教室に向かう。
「だ、大丈夫です」
「あら、セローナ様ではありませんか。」
セローナの後ろに立っていたのはあの三人組の中の一人だった。
「その虫けらがどうかしたのですか?」
「あ…っ。」
セローナはなにも言わずに私を見つめる。その目は回りの人とは違う意味をもたらす目をしていた。
「なんでもないですわ。行きましょう。」
そういってセローナは私の前から去ったいった。私はセローナを追うことはせず、ただ一歩、一歩と前に進んだ。教室のドアを開けると、上から黒板消しがポトンと落ちる。チョークの粉が私の頭に舞う。その様子を見て周りは笑う。私はその場で頭を払って席に座った。いつもは後ろの席にいるはずのパーソンが、今日は三人組の輪の中にいた。
(…私のこと、裏切らないよね?)
私はただ祈るしかなかった。時間が経ち、放課後になった。昨日と同じように屋上へ呼び出されたが、私はまだ席に座っていた。どうしても足が動かないのだ。
「行かなきゃ…っ。行かなきゃでしょ…。」
自分にそう言い聞かせても、私の足は震えるだけ。私の足のはずなのに、私の思うように動かない。
「マリー様っ。」
パーソンがわざわざ屋上から私を呼びに来たようだ。
「…な、なんですの?」
「来ないでくださいっ。」
私は目を丸くする。パーソンは続けていった。
「きっと、昨日よりも酷いことをされるに決まってますっ。だか」
「あら、パーソン様。そこで何してるんですの?」
後ろには、三人組の中の一人がニヤッとした表情で立っていた。パーソンは後ずさりをする。
「パーソン様ぁ、もしかして…、その虫けらに、変な事言ったんじゃないでしょうねぇ?」
「そ、そんなことっ…。」
「そうよねぇ。それじゃあ、屋上に戻っててくださる?」
それを聞いて、パーソンは私をチラッと見てから教室を出ていった。
「さぁ、私たちも行きましょう。マリー様。」
彼女の笑みはとても不気味だった。
ー続くー
ご視聴いただきありがとうございました。