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アーサー「大丈夫ですか!?」
僕は倒れ込んでいる女性に声をかけた。
???「あぁ、ごめんね。すぐ片付けるわ。」
アーサー「僕も手伝います。」
???「助かるわ。」
色々な器具を片付けた女性は立ち上がった。
???「貴方お名前は?」
アーサー「アーサーです。貴方は?」
ソフィア「私は『ソフィア エバンス』、錬金術師よ。」
アーサー「錬金術ですか、色んな物を作り出す事ですよね。」
ソフィア「そう、物質から生命まで何でも作り出そうとする錬金術よ。」
錬金術師か。
何でも作れるのはいいな。
ソフィア「アーサー君でいいのかな?」
アーサー「はい。」
ソフィア「もしかしてここの仮眠室に入ろうとしてた?」
アーサー「そうですけど…何かあったんですか?」
ソフィア「えぇ、さっき満員になったところなのよ。」
アーサー「えっ!満員ですか。」
ソフィア「そうなの。だけどどうして仮眠室に?」
アーサー「少し船酔いが酷くて、それで行こうかなと。」
ソフィア「酔い止めか、酔い止めだったらこれはどうかな?」
ソフィアさんはそう言って一つの薬品入りの試験官を取り出した。
アーサー「これは?」
ソフィア「これは最近私が作り出した酔い止め薬の『MsM』。よく効く薬よ。」
アーサー「へぇー、船酔いの人にピッタリですね。」
ソフィア「そうなの、お一ついかが?」
アーサー「いくらですか?」
ソフィア「無料でいいよ、金銭目的で作った訳じゃないし。」
アーサー「無料でいいんですか!」
ソフィア「えぇ、はいどうぞ。」
ソフィアさんから渡された薬は少し青みがかっていた。
僕は試験官をグイッと飲み干すと、頭が痛いのが落ち着いてきた。
アーサー「すぐ効きますね。」
ソフィア「そうなの。これがMsMのいいところなのよね。」
アーサー「へぇー。」
ソフィア「一応、休憩できる場所行く?」
アーサー「行こうかな。」
ソフィア「休憩する広間の場所はわかる?」
アーサー「さっきの仮眠室しか知らないです。」
ソフィア「そう…じゃあ一緒に行く?私も用があったし。」
アーサー「ぜひ!」
僕たちは廊下を歩きだした。
ソフィア「アーサー君は何の職業なの?」
アーサー「旅人です。」
ソフィア「へぇー、それは何でなの?」
アーサー「実は自分に関する記憶がなくて…それで旅をすると記憶が戻るのでは、ということです。」
ソフィア「記憶がないのね。それは大変ね。」
アーサー「驚かないんですね。」
ソフィア「まぁ、私もそういう感じだから…」
アーサー「と言うと?」
ソフィア「さっき錬金術師って言ったでしょ、それのせいで滅多に出来ない、いやできるわけがないとされる賢者の石というのがあるんだけど、それが奇跡的に出来てしまったの。」
アーサー「賢者の石って何ですか?」
ソフィア「賢者の石っていうのは不老不死になる石のこと。まぁ、出来てしまったのは不老だけの欠陥品なんだけどね。」
アーサー「不老ってことは歳をとらないですよね。」
ソフィア「そう、つまり私は不老の人間ってこと。」
アーサー「不老ですか。そっちこそ大変じゃないですか?」
ソフィア「まぁ大変だけど、そのおかげでMsMとかが作れたしね。」
アーサー「成程。」
ソフィア「そうだからと言って…嫌な予感。アーサー君しゃがんで!」
アーサー「なんでですか?」
ソフィア「しゃがんだ方が良さそうだから。」
ソフィアさんの言う通りにしゃがんだ直後、突然船が激しく揺れた。
アーサー「うわっ!」
ソフィア「激しい揺れね!」
すると甲板の方からディランさんの声が聞こえた。
ディラン「クラーケンが出たぞー!」
僕たちはその声を聞いた後、直ぐに甲板に向かった。