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『奏ちゃん、瑠衣です。お久しぶりです。実は先日、響野先生と恋人同士になりました。昨日、先生のミニコンサートのお手伝いに行った時に、アンコールで『トランペットラブレター』を演奏していて、先を越されちゃったので、トリオ版で練習していこうか、などと考えてますが、奏ちゃんはどうでしょう?』
瑠衣がメッセージアプリで奏に送信すると、一分もしないうちにアプリ経由で奏から電話が掛かってきた。
「……もしもし」
『あ、瑠衣ちゃん? メッセージ見たよ。良かったね! すっごく嬉しいんだけどっ!』
クールビューティな見た目に反して、サバサバした話し方の奏に、思わず笑みが溢れる。
「ありがとう」
『響野先生から言われたの?』
「うん…………まぁそんな感じ」
『先生、昨日『トランペットラブレター』を吹いたんでしょ? 何か素敵!』
「そこでなんだけど、原曲版の演奏は響野先生に先を越されちゃったから、奏ちゃんはピアノ弾けるし、葉山さんはサックス吹けるし、せっかくだからトリオ版で練習したいなぁって思ったんだけど、どうかな?」
『いいね! 今度の練習は金曜日だっけ? そしたらトリオ版のスコア持ってそっちに行くよ。後でトリオ版の動画を怜さんと一緒に観てみるね。何だか楽しみになってきたんだけどっ!』
「じゃあ、金曜日ね」
『うん。色々話が聞けるのを楽しみにしてるね。またね!』
瑠衣は通話を終了させ、防音室を出てリビングに向かうと、侑はソファーに座りテレビを見ていた。
「…………遅かったな」
顔だけこちらを向けた侑が、少し不貞腐れたような声音で言ってきて焦る瑠衣。
「今、奏ちゃんと電話してて、次の練習の日程を決めてたので……」
「ああ、音羽さんか」
「今度の金曜日に、防音室で合わせ練習しようかと」
「…………そうだな。伴奏者とコミュニケーションを取る事は大事だ。恐らく、金曜だったら、怜も仕事の後に音羽さんを迎えに来るだろうし、いいんじゃないか?」
瑠衣はキッチンへ向かい、ピザトーストとフレッシュハーブのサラダを作り、コーヒーを淹れると、二人で他愛もない話をしながら昼食を摂った。