テラーノベル
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その日の夜、向井はベッドの中でずっと眠れずにいた。
図書室での目黒の表情と声が頭から離れなかった。
自分はどうしたいのか、目黒とどんな関係でいたいのか。その答えが出せないもどかしい時間だけが流れていた。
相部屋の他の生徒は全員寝静まっているようだ。
ギィ…
その時、部屋のドアが小さく動く音がした。
🧡(だっ、誰か入ってきた…!?)
消灯時間を遠にすぎた12時過ぎだ、こんな時間に誰かが彷徨いてる時点でイレギュラー。向井はバッと掛け布団を頭から被り息を潜めた。
しかし、聞こえてきた声は聞き覚えのあるものだった。
🩷「康二…起きて」
🧡「えっ…さ、さっくん…?」
🩷「起きてた?ちょっとさ、散歩に付き合ってよ」
🧡「深夜の徘徊は規則違反やで?」
🩷「お願いっ!用が済んだらすぐ戻るから」
周りを起こさないようにヒソヒソと話す。
佐久間は戸惑う向井の手を引き、ハッフルパフのローブだけ羽織らせこっそり外へ出た。
佐久間につられて行き着いた先は普段は全く人が出入りしないホグワーツの地下倉庫だった。
佐久間は持っていた鍵をさし回すと容易く扉は開かれた。広い倉庫の奥の奥へと佐久間は迷わず進む。
🧡「さっくんこんなとこ勝手に入ってええん?というかなんで鍵持っとん?」
🩷「あべちゃんとラウールがね、貸してくれたの」
🧡「あべちゃん?ラウール?」
🩷「あの2人ここの掃除やれって言われたみたいでさ。終わるまで借りっぱなりらしいよ」
🧡「あぁ…この前の騒動のペナルティか」
阿部とラウールは2週間ほど前、ホグワーツ内を勝手に大改造した罰としてこの倉庫の整理、手入れを任されている真っ最中だ。
🧡「なんでこんなとこ連れてきてん」
🩷「あの2人が見つけたらしいんだけど、ちょっと康二に見て欲しいものがあるんだよね」
倉庫の隅にカバーがかけられた何かの前に立った。
佐久間がカバーをそっと外すと中から巨大な鏡が現れた。
🧡「鏡?なんこれ」
🩷「聞いたことある?Mirror of Erisedってやつ」
🧡「みぞの鏡?」
🩷「鏡のフレーム見てみ」
佐久間の言われた通り鏡のフレームをみると文字が刻まれていた。
Erised stra ehru oyt ube cafru oyt on wohsi
🧡「この文おかしない?読めへんのやけど…」
🩷「反対から呼んでみ」
I show not your facebut yourheart’s desire
🩷「あべちゃんが言ってた。Erisedは反対から読むとDesireになる。だから日本語でも『みぞの鏡』って呼ぶって」
🧡「へぇ…」
🩷「その人の心の奥で何を望んでるかを映すんだって。だから人によって見えるものが違う。
俺はね、おっきな家の庭でたーっくさんの魔法生物に囲まれて暮らしてる姿が映ってる!」
🩷「自分がどうしたいか分かんないって言ってたでしょ?頭で『あいつのため』とか『自分なんて』って考えるんじゃなくてさ。 康二の心が何を望んでるか…見てみたら?」
🧡「俺の心が…望んどること?」
佐久間に優しく背中を押され、向井は固唾を飲み鏡の前に立ってみる。
すると鏡には二人の人間が映し出された。
🧡「俺とめめが映っとる…」
🩷「どんな感じ?」
鏡に映った2人は今よりも大人になっているようだった。制服は来ておらず、満面の笑みで絶えず会話をしながらイギリスの街中を歩く姿が見える。
🧡(…あぁ、やっぱ俺とめめは親友でおりたいんや。大人になっても前と変わらん距離で、笑いあってればそれで───)
自分の中の望みはこれだったんだ。
そう納得しようとしたのに、次の瞬間一変する。
見えてしまったのだ。
鏡の中に映る二人の薬指で光るお揃いのシルバーリングが。
🧡「……あっ…」
向井から小さな悲鳴のような声が漏れた。
そして自覚した瞬間涙があふれた。
「友達」なんかじゃない。
目黒蓮という人間のたった1人の「特別」になりたかったのだ。
血筋も、将来も、周りの目も気にせずにパートナーとして彼の隣に立ちたい。
だが生まれも育ちも将来も違うという自分に対するコンプレックスが知らず知らずのうちに芽生え、そんな気持ちに気づかないように見て見ぬふりをさせていた。
🧡「俺…っ、めめのこと…」
涙も拭わず立ち尽くす。
そんな向井に佐久間は隣に立ち鏡を見つめながら小さな声で向井に話す。
🩷「自分の気持ちを殺しちゃダメだよ。康二の幸せは康二の心が1番知ってるんだから」
🧡「うぐ…っ、ぐすんっ…」
🩷「時間はかかるかもしんないけどさ、ゆっくり向き合いなよ。蓮は待ってくれるよ」
🧡「ゔん…ありがと…さっくん…」
そんな中、誰にも気づかれないようにひっそりと地下倉庫の扉が開き、廊下を歩く影が2つあった。
🤍「聞き耳立てに来るくらいなら最初から佐久間くんに鍵渡す必要なかったんじゃない?」
💚「いや、これでいいんだよ。寮からここに連れてこれるのは佐久間だけだし」
🤍「俺らがここの掃除のペナルティ食らってなかったらあの伝説の鏡がこんなとこにあるなんて知らなかったもんね」
💚「どういう巡り合わせなんだか…笑」
🤍「めめの方は?ふっかさんかしょっぴー?」
💚「いや、それよりも適任がいるよ。ちょうど今日、校内見回り当番だしね」
時を同じくして真夜中のフクロウ小屋。
夜風にあたり呆然と夜空を眺める目黒がいた。
図書室での向井の泣き声がフラッシュバックする。
🖤「…ハァ」
💛「…こんなとこで何してんの」
背後から声がした。振り返ると見回り当番の岩本が灯りを手に立っていた。
🖤「岩本くん。……すいません、すぐ戻ります」
💛「いや、いいけどさ」
岩本は足元に灯りを置き、目黒の隣の手すりに寄りかかる。
💛「康二、最近お前の隣にいないじゃん。喧嘩でもした?」
目黒は黙り込んだ。「なんでもない」と突っぱねることも出来たが、岩本には前に向井のことを話したことがある。
つい、頼りたくなった。
🖤「……追い詰めすぎました」
💛「………」
🖤「俺のわがままで泣かせちゃって」
💛「うん」
🖤「俺の事嫌いになったかって聞いたら…『戻れなくなる』って。それ以上近づけませんでした」
💛「…うん」
🖤「俺、アイツに嫌われたらどうしたらいいか分からなくて…どうにもできない状態です」
それは初めて聞く弱音だった。話す目黒の声は後悔に満たされ、完全に行き詰まっているようだった。
💛「泣かせたのはダメだけどさ。康二は『戻れなくなる』って言ったんだろ?」
🖤「え?あ、はい」
💛「『嫌い』とか『迷惑』じゃなくて『戻れなくなる』なんだろ?」
🖤「それが…?」
💛「それってさ、康二にとってもお前が『ただの友達じゃない』ってことなんじゃねぇの。1歩踏み出したら戻れないくらい、デカイ存在になってんだよ」
目黒の瞳がハッと揺れた。
💛「アイツは優しいからさ。自分より周りとか立場を気にすんだよ。お前は純血の家系だから余計な」
🖤「…小さい頃からそれが嫌だったんです。みんな血筋でしか見てない、俺自身を見てくれない」
🖤「俺は…康二の立場とか、家系とか、そんなの気にしないで素で接してくれる所を好きになったのに…」
💛「そりゃ、恋愛ってなると結婚も将来も絡んでくるからだろ。康二がめめのことすごい考えてる証拠じゃん?」
🖤「……そっか」
💛「たぶん康二は今、 ちゃんと自分の中で答えを出そうとしてんだよ。だから今は待ってやれ 」
🖤「…はい」
💛「そんで康二も覚悟を持った上で向き合うってなるんなら、お前はその覚悟ごと抱え込んでやれよ。家を捨てたって良いくらい本気で好きになったんだろ?」
🖤「…もちろんです」
💛「分かったら今日はもう戻れ。明日の授業に響く。俺は見回りに戻る」
岩本は置いた灯りを持ち先に歩き出した。
その背中に目黒は頭を下げた。
🖤「岩本くん。ありがとうございました」
フクロウ小屋を出る目黒の足取りは来た時よりも軽いものになっていた。
そして岩本が参加している三大魔法学校対抗試合の第二試合の前に行われる特大イベントの幕が開けようとしていた。
あとがき
読まなくても️⭕️
▷本編にある阿部さんとラウールさんの学校中を巻き込んだ大騒動のお話はanother短編集の
【ハリポタパロ】異才💚、🤍 にて読めます。
▷また岩本さんと目黒さんの恋バナも同じくanother短編集の
【ハリポタ】羨望🖤、💛 にて読めます。
another短編集はフォロワー様限定で読めるようになっていますが、気が向けばぜひ読んでみてください♡
▷みぞの鏡
本編で説明があったように見た人の心の奥で望んでいるものを映し出す鏡。
原作では「賢者の石」にて登場。主人公のハリーが見た時には亡くなった両親が隣になっている姿が映っていました。
#いわふか
あべさく正義♡
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コメント
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🧡が泣いちゃうところがマジで好きです! マジで続き楽しみです✨