怖い、嫌だ、助けて……誰か、助けて……
心がそう叫んでいる。脳がそう警告している。行ったら駄目だ、確実にやられる、と。
それでも私は
「な、何?」
と、応じるしかなかった。
連れ込まれたのは放課後の女子トイレだった。
このトイレは東校舎の一階にあり、放課後ならまず誰も来ない場所である。
「こんなところで何するつもり?」
「お前さ~昨日自分で何したか分かってるよね〜?そんな偉そうな態度取っちゃっていいのかな?ねぇ?」
そう言うとそいつは勢いよく私にバケツいっぱいの水を頭から掛けてきた。
「キャ!!」
私は突然のことで身構えるくらいしかできなかった。そして続けてもう2杯。今度は横にいたやつがまた頭から水をかけてきた。
「ウッ…ヤ、ヤメッ……」
「おりゃ~ww」
必死に抵抗したが押し返されてしまい、私は壁に強く激突した。その拍子に窓の格子に頭をぶつけた。と、同時に“後頭部が熱い”という感覚が押し寄せてきた。
「ッ!!クッ……」
「うわ、これやばくね?」
「知らなかったふりしとくしかないよね~」
「見つかる前に早く帰ろ?」
「うん、そうだね」
「ま……待っ……t……」
声を出そうとしたがそこで意識を失ってしまった。
───昨日まで平常運転だった電車は、分岐点を間違え、脱線事故を起こしてしまったようだ……
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