コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
伯爵邸に連れて来られた6人は、その屋敷のあまりの大きさに屋敷の前で絶句していた。
恐らく
恐らく、建物だけでも彼らの家の5倍は余裕であるであろうその屋敷の門の前には、門番と思しき屈強な男が2人槍を持ってたっていた。
門「お帰りなさいませ、伯爵様」
門「その方々は?」
伯「私の客人だ。中で部屋の用意を」
伯爵はそれだけ言うと、みんなを屋敷の敷地の中に入れてくれた。
庭もまた広く、庭の面積だけでもみんなの家の面積の10倍は余裕である。
伯爵のその権力の強さが伺えるほどの伯爵の所有地の広さに、シクフォニの6人は愕然とするのだった。
更に、屋敷の中もまた煌びやかで、明らかに高価だとわかるものがそこら中に飾られていた。
なるべくそんなようなものに触れないようちしながら、それでも6人は食事を楽しみに待つ。
通された大広間に用意された長い食卓に指示通りに座り、6人はそわそわしながら辺りを見渡した。
伯「待たせたね」
しばらくしてから、どこかへ行っていた伯爵もまた大広間に来ていちばんの上座に座った。
そこに、次々と料理が運ばれてくる。
じゅるりと涎を垂らしたこさめの腕を、隣に座っていたいるまが小突く。
まだ食べていいって言われてないだろ、と言うような視線に、こさめは小さく「わかってるよ」と返した。
その顔は不満げで、わかっているけれど早く食べたいという気持ちが滲み出ていた。
そんなこさめを見て、伯爵は呆れたように笑い、食事を勧めた。
他「「「「「「いただきます」」」」」」
待ってました、と言うようにメンバー6人全員が声を揃え、カトラリーを手にする。
雰囲気的にマナーは守らなくてはならないようだから、みんなやや緊張しながら静かに食事を始めた。
その、キッチリした食事に慣れない様子に、伯爵はまた微笑んで、自分も食事を始めた。
しばらくの間誰も喋らず、カチャカチャという食器と食器がぶつかり合う微かな音が大広間に響く。
そんな沈黙を破ったのは、伯爵本人だった。
伯「さて、改めて君たちのことを聞かせてくれるかな。どこから来たのか、何日前に来たのか」
ら「はい。俺らは日本という国から来ました。ここに飛ばされたのは、、、昨日ですね」
メンバー6人を代表して、LANが答える。
その言葉にメンバーも頷き、伯爵は少しだけ目を細めた。
大広間を囲うように立っていた使用人が、微かに動揺するように気配を揺らがせた。
伯「じゃあ君たちは、自分たちが勇者だという自覚はあるかい?」
こ「ゆーしゃ?」
暇「え、勇者って勇者!?ゲームに出てくる!?」
い「ゲームに出てくる、、、かは知らんけど勇者」
暇「冒険系のゲームには大体出てくるやつ」
い「あー、、、冒険系はめっちゃ出てくるよな」
す「俺らが勇者、、、?( ᐛ )」
み「ヤバいな、、、すぐ死んじゃう、、、」
シクフォニの6人は、勇者というパワーワードに各々の反応を示す。
LANもまた無言であわあわし、自分の服を見下ろしたりみんなの服をちょいちょいと摘んだり。
だけど誰にも相手にされず、LANはひとりで上半身だけではんなダンスをしているような人になってしまった。
自由人すぎる6人に伯爵は呆れを通り越してもはや笑えてきたようで、喉の奥でくつくつと笑っていた。
伯「げーむ、というものが何かはわからないが、勇者というものは民のために魔物と戦ってくださる異世界人のことだ。最近、この国には魔物の出現が多くてな。昨日の朝方、王城で勇者召喚の儀式を行ったところなのだ」
つまり伯爵が言いたいのは、勇者召喚で呼ばれた勇者がどこに来たのかわからず、探していたら轟王熊(キンググロウルベア)に見つけられてしまい、何とか罠に嵌めた轟王熊(キンググロウルベア)を倒すために腕の立つ冒険者を連れてきたが、それをみことが倒してしまったということだった。
更に、みことを含む6人は異世界からやってきたと言う。
勇者には予め、神から授けられたチート的力が備わっているらしい。
だから伯爵は、6人を勇者だと思ったのだった。
ちなみに、呼び出される勇者の人数はまちまちで、1人の時もあれば10人のときもあるのだとか。
この王国はシンフォニア王国といって、魔物と人間が共存している国だそうだ。
最近、魔王の力が強まって魔物があちこちで暴れ始め、人間に被害が出ている。
こういうことは12年に1度あることらしく、そのたびに勇者召喚で勇者を呼び出していたそうだ。
ら「つまり、俺らは選ばれし勇者だと?」
伯「ああ、そういうことだ」
こ「え、何それー!w」
暇「俺らが勇者?まじウケるんだがw」
い「おいおいw、思っても言うなよw」
す「つまりいるまちゃんもそう思ってたと」
み「まあ、、、普通に考えてありえんからな」
伯「勇者じゃないのか?」
伯爵に悲しそうな顔で見られて、6人は目をぱちくりとさせる。
そして、代表しているまがなぜウケるのか話した。
日本では『運命を掴みとる最強の6人グループ・シクフォニ』として、大陰キャ厨二病大人気2.5次元歌い手アイドルをやっていた。
まぁ、単なる青春に置いていかれた青年たちがガチでやっているアイドル(?)だったというわけだ。
それが、突然異世界に飛ばされたと思ったら勇者だと言われ、普通に笑えるという話だった。
だが、伯爵にはよくわからない話だったらしく、説明しても伯爵も後ろに控えている使用人たちも首を傾げていた。
い「まあつまり、こっちの常識的に考えて俺らは勇者なんだろうけど、向こうで普通の人間として暮らしていた身としては信じられないよなってことっすわ」
伯「ああ、、、そうかい、、?」
伯爵は、納得したような納得していないような微妙な返事をして、それでも何とか納得してくれた。
勇者に選ばれるのは、この国の人たちとってとても名誉なことで、勇者の権力は王にも及ぶ。
それ故に、自分が勇者であることを「ウケる」と称したのは彼らが初めてだったらしい。
こ「そういえば、轟王熊(キンググロウルベア)って何ー?」
伯「それらは全て、陛下からお話いただくつもりだ」
こさめの質問に、伯爵はそう返す。
そっか、と思ってから、6人はハッとした。
ここに王様が来る、又は自分たちがこれから王城に行かねば、王様には会えない。
つまり、、、純粋な日本男子として育ってきた彼らにとっては、一大イベントというわけだ。
伯「君たちにはこれから、王城に行ってもらう」
他「「「「「「マジすか!!あざっす!!」」」」」」
王様に会うなんてことは一生ないだろうと無意識に思っていた、ただの一般ピープルの6人。
一大イベントに大興奮したのであった。