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立川北駅近くの高級ホテルの駐車場に、黒のセダンを止めた中崎なかざき 拓人たくとは、大きくため息をついた後、運転席から出た。


ゴールデンウィーク中は、好きな女を救うために、闇バイトに手を染めた拓人。


監禁された彼女を助け出してからの数日間、追っ手から逃げるために、現在もスマホの電源を落としたままでいる。


闇バイトに応募した際、居場所が特定され、自動送信させられるアプリを仕込まれてしまったためだ。


車で適当にフラフラして、行き着いた場所が、東京郊外でも比較的大きな街、立川である。


渋谷の自宅には、もう半月以上帰っていない。


ヤツらは、自宅で張り込みしている事も予想される。


それも見据えた拓人は、都内のホテルを点々としつつ、銀座に立ち寄り、デパートでスーツを三着、ワイシャツを数枚、ネクタイも数本買った。


カジュアルな服は多めに買い込み、大型のキャリーケースも購入。


(家には当分帰れないよな。まぁ……ひとまず、都下でホテル暮らしでもするか)


拓人は、貴重品の入ったバッグと、トランクからキャリーケースを引っ張り出すと、近くにあるエレベーターに乗り込み、一階にあるホテルのフロントを目指した。




スタッフは、モカベージュの長袖のTシャツ、ワンウォッシュのデニムといったラフな出立ちの拓人を見ながら、営業スマイルと訝しげな表情を織り交ぜている。


だが、彼が財布からブラックのクレジットカードを取り出して提示し、ホテル住まいを希望すると、途端に態度が急変し、宿泊フロアの最上階にあるロイヤルスイートルームを手配。


ベルボーイに部屋を案内されると、拓人は真っ先にバスルームに向かい、シャワーを浴びた。


時間を掛けて、汚れた身体と髪を丁寧に洗い、久々に、ゆったりとした気持ちで身体を清める。


(シャワーを浴び終わったら、買い物がてら、駅周辺を歩いてみるか……)


彼はバスルームから出ると、髪を乾かし、備え付けの整髪剤でセットする。


大部屋のような広いリビングに戻り、キャリーケースから真新しい黒のスーツとワイシャツを取り出して身支度を整えた。


バッグに入れっぱなしだったスマートフォンを取り出すと、男は考え込むような表情を浮かべた後、スーツの上着にねじ込む。


ネクタイは締めずに、部屋を後にした。




本来の姿で、立川駅周辺を闊歩する拓人は、女とすれ違う度に振り返られる。


周囲の目も気にせず、デパートや二つの駅ビルを回った後、ちょっとした日用品を買おうと考えた彼は、通り沿いのドラッグストアへ入っていった。


整然と商品が陳列されている棚をすり抜け、プチプライスのコスメコーナーを通り掛かった時。


モデルを思わせるような出立ちの女が、どこか思い詰めた表情で、手にしている商品を凝視している姿が目に留まった。

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